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薬局のパートナー制度(テクニシャン制度)ってなに?

厚生労働省が示す「患者のための薬局ビジョン」に明記されているように、薬剤師の業務は「くすり」中心の対物業務から、「患者様」中心の対人業務に重きを置くようシフトすることが求められています。厚生労働省 策定「患者のための薬局ビジョン」

しかし、これを薬剤師のみで対応するのは難しく、現実的とは言い難いことから、非薬剤師による薬剤師の業務支援施策となるパートナー制度(テクニシャン制度)の導入が模索されています。

今回は、最近のパートナー制度(テクニシャン制度)について紹介していきます。

パートナー制度(テクニシャン制度)とは?

まずは、そもそも「パートナー制度(テクニシャン制度)」とは何なのか、見ていきましょう。

欧米では、薬剤師の業務、たとえばピッキングなどを支援する役割をするスタッフを「ファーマシー・テクニシャン(調剤技師)」として雇い入れています。

薬剤師ではなくても行うことが可能な仕事を、このテクニシャンに任せることで、薬剤師は患者様への服薬指導など、学んだ知識を活かす仕事に注力できるようにするものです。

そのための仕組みが「パートナー制度(テクニシャン制度)」です。

パートナー制度(テクニシャン制度)導入の背景

なぜ、今、わが国で「パートナー制度(テクニシャン制度)」導入の是非が問われるようになってきたのでしょうか。

その背景にある事情として、冒頭でも述べたように社会から求められる薬剤師の役割が「対物業務から対人業務」へ変化してきたことが考えられます。

みなさんご存知の通り、対人業務では患者様に向き合う時間を多く確保することが必要になります。

では、そのための時間をどう作り出すかというと、薬剤師だけでは難しいです。

そこで、薬剤師ではなくても、薬剤師の指示のもとなどで実践できる業務をほかのスタッフ、つまりパートナー(テクニシャン)に代わってもらうという考え方が出てきたと推察されます。

では、そもそも、なぜ薬剤師だけで業務を回すことができないのか、また、薬剤師資格非所有者に、業務の一部を負担してもらわなければならないのかというと、すべての業務を社会から求められる質を保ちながら提供するための人材が不足していることにあります。

つまり、薬剤師が少なくマンパワー不足という背景をパートナー(テクニシャン)の力で補うという考え方が出てきたのです。

パートナー制度(テクニシャン制度)は法律ではどうなっているか?

ところで、薬剤師ではないスタッフが調剤業務を行うことは法律ではどのように解釈されているのでしょうか。

薬事法では第19条において「薬剤師でない者は、販売又は授与の目的で調剤してはならない」と定められています。

これに関わる事案として記憶に新しいのが、平成27年6月25日に厚生労働省医薬食品局からの「薬剤師以外の者による調剤行為事案の発生について」の通知ではないでしょうか。薬剤師以外の者による調剤行為事案の発生について」日本病院薬剤師会

ある薬局で、薬剤師以外の者が軟膏剤の混合を行った事案です。

通知のなかでは「当該事案を含め、少なくともこうした軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を薬剤師以外の者が直接計量、混合する行為は、たとえ薬剤師による途中の確認行為があったとしても同条への違反に該当する」と記載されています。

一方、計数調剤いわゆるピッキングの業務については「調剤」をどのように解釈するのかによるとされているようです。

今後、薬局の業務が、法的に薬剤師以外に任せられる業務と任せられない業務に判断、振り分けられていくのでしょう。

パートナー制度のメリット・デメリット

法的にはまだ課題がありそうなパートナー制度ですが、パートナー制度を導入することによって、たくさんのメリットを受けることができます。どんなメリットがあるのかを見てみましょう。

パートナー制度のメリット

1.薬剤師不足の解消に役立つ

パートナー制度を導入することのメリットは、なんといっても薬剤師不足を解消できることではないでしょうか。

テクニシャンが薬剤師以外でもできる業務を代行してくれるようになったら、薬剤師不足による患者様の待ち時間を短くすることや、患者様とのコミュニケーションの時間を多くとることにもつながります。

2.医療費削減に貢献できる

テクニシャンを導入すると、それにともなって調剤技術料も引き下げられるのではないかと言われています。それが結果的に医療費削減につながり、わが国の医療費を抑えることに貢献できるかもしれません。

3.薬剤師は薬学的専門知識を要する業務に専念できる

薬剤師がしなくてもできる業務をテクニシャンに支援してもらうことで、薬剤師はその職能を最大限に発揮できる業務、たとえば、監査、投薬、在宅訪問などに力を注ぐことができるようになります。

 

ここまでメリットを列記してきましたが、テクニシャン制度導入には、良いことばかりではなく、懸念点もあるとされています。

パートナー制度のデメリット

1.調剤ミスなどのリスクが増える

調剤業務に不慣れなテクニシャンによる調剤ミスのリスクが増えることが考えられます。

すると、調剤のやり直し監査時間の長時間化などが起こって、かえって患者様にお薬を出すまでの時間が長くなるかもしれません。

2.薬剤師の仕事減少

テクニシャンが薬剤師の仕事の一部を支援してくれることにより、より少ない薬剤師数で店舗を営業していくことができるようになるでしょう。

そうなれば、人件費が高額な薬剤師は最小限の雇用に留め、テクニシャンを大量に採用して業務を回すようにする薬局が増え、薬剤師の調剤薬局やドラッグストアなどへの就職が難しくなる可能性もあるかもしれません。

 

これらのメリットとデメリットを天秤にかけ、現在もなお「パートナー制度(テクニシャン制度)」導入の良し悪しが議論されている状況のようです。

今後パートナー制度(テクニシャン制度)はどう進んでいくか

将来「パートナー制度(テクニシャン制度)」が導入されることで、薬局業界はどのように進んでいくのでしょうか。

例えば、現在処方箋40枚あたりに薬剤師を1人配置するように定められていますが、パートナー制度が導入されたら、薬剤師1人でもっと多くの処方箋の薬を調剤できるようになるかでしょう。そうなれば、薬剤師の配置基準は撤廃されるかもしれません

つまり、今までよりも少ない薬剤師でより多くの処方箋を受けられるようになるため「薬剤師余り」が起こり、仕事ができない質の低い薬剤師は淘汰されていく可能性があります。

また、これまで人員不足のために在宅医療に対し、時間やマンパワーをあまりさくことができなかった薬局でも手厚い在宅医療の提供が可能になるでしょう。

それに伴い、地域の多職種と連携して職能を拡げていくことができるようになるかもしれません。

テクニシャン制度(パートナー制度)を導入している薬局の取り組みを紹介

ところで、わが国において実際にテクニシャン制度(パートナー制度)を導入している薬局はあるのかというと、残念ながらまだ見当たりませんでした。

ですが、薬剤師と医療事務スタッフなどが協働して、薬局業務を効率的に運営している薬局はあるようです。

1.ハザマ薬局

ハザマ薬局 公式サイト

2019年10月現在、近畿地方に7店舗展開中のハザマ薬局では医療事務スタッフのことを「パートナー」と呼び、レセコン入力やレセプト業務など以外の薬局業務にも積極的に介入してもらっているようです。

例えば、パートナーの仕事については、以下のようなものがあります。

  • 薬局内での外来の対応
  • 介護施設や高齢者のお宅へお薬配達
  • 施設の患者様やそのご家族への介護保険の説明

”薬局内での外来対応”は、おそらくどこの薬局でも行っていると思いますが、お薬配達介護保険の説明などは薬剤師しか行っていないという薬局もあるのではないでしょうか。

こんな風に、医療事務スタッフに薬剤師の片腕となって働いてもらうことで、仕事を分担することができるのですね。

ハザマ薬局に興味のあるかたは、ファルメディコ株式会社 代表取締役/医師の狭間研至先生へのインタビュー特集もぜひご覧ください。
狭間研至先生インタビュー「地域医療を進化させる 薬局と薬剤師のチカラ」

2.つなぐ薬局

つなぐ薬局 公式サイト

東京県足立区と千葉県柏市に薬局を構える、つなぐ薬局。ここでは薬剤師をサポートするパートナーについて、役割りごとに2つの呼び名があるようです。

  • 調剤事務(SP :Supportive Partner)…​主に​調剤薬局で事務業務を行う。
    電話応対、患者様への初期対応、クリニックや多職種の方への連絡など対外業務を始め、書類作成補助や物品発注など幅広く業務を行う。
  • テック(TP :Technical Partner)…調剤薬局で薬剤師をサポートするパートナー。
    薬剤師が職能を活かした業務に専念できるよう薬局のサービスの品質を保つことや運用を手伝う。今後業界で必要となる役割をいち早く取り入れていく。

それぞれ、役割に特化したキャリアプランを歩み、スキルアップしていくことができます。

アイセイ薬局

アイセイ薬局 公式サイト

アイセイ薬局の医療事務スタッフは、受付対応やレセコン入力のほかにも下記のような業務に携わります。

  • ジェネリック医薬品の案内
  • お薬手帳の案内
  • 処方箋の管理
  • 薬剤師の業務フォロー

薬局によっては薬剤師が実施している業務でも、医療事務スタッフが介入できる仕事については、積極的に任せている様子がうかがえます。

おわりに

ここまで、薬局の「パートナー制度(テクニシャン制度)」についてみてきました。

パートナー制度が導入されると、今までよりも少ない薬剤師数で薬局を運営していくことができるようになります。

すると、自己研鑽しない薬剤師は淘汰されることになるでしょう。また、求人数も少なくなるかもしれないという意味では、この制度はデメリットに思えるかもしれません。

しかし、患者様にとっては質の高い医療が提供されることにつながるので、地域の医療の質を保つという意味ではメリットになるともいえそうです。

パートナー制度(テクニシャン制度)の導入と薬剤師の職能拡大は、車の両輪といえますが、まずなんとしても優先して実施していくべきは、薬剤師の職能を社会の求めに応じて拡大していくことと考えられています。

今後、厚生労働省が示す「患者のための薬局ビジョン」に明記されている業務を担い、どのように社会に貢献するのかを薬剤師一人一人が考え、今後の働き方を思い描いていく必要がありそうです。

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マイナビ薬剤師より

在宅訪問にウェイトを置いている薬局では、ゆくゆくはパートナー制度の導入を検討している会社もあるかもしれませんね。

パートナー制度については今後の薬局運営にも関わるトピックスですので、最新情報を調べて、理解を深めていきましょう!

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