【2021年最新】大手調剤薬局の売上ランキングと上位薬局の特徴

調剤薬局は中小企業が乱立している状態ですが、調剤報酬の引き下げや異業種からの参入など、調剤薬局を取り巻く経営環境は大きく変化し、事業構造の転換を進める企業もでてきています。M&Aでは、大型薬局の出店は行いつつ基準を引き上げ、小規模店舗は撤退するなどして、事業規模の拡大や経営効率化を各社推進しています。

加えて、2020年は新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の感染拡大に伴い、外来診療の抑制や処方日数の長期化の影響もありました。

大手調剤薬局各社の業績は一体どのように変化しているのでしょうか。

今回は、大手調剤薬局チェーンの調剤薬局事業 売上高と店舗数を各社の公式サイトや新卒・中途向け求人サイトに掲載されている会社データなどより、独自にリサーチして まとめました。

各社の2020年2月期以降の決算情報をもとにした最新ランキング、事業の特徴、研修やスキルアップに関する情報、さらには最新の薬剤師 求人情報を見ていきたいと思います。

大手調剤薬局 調剤薬局事業ランキング【2021年最新】

以下の表は、各社の公式サイトや転職・就職サイトに掲載されていた2020年2月期以降の会社・決算情報を元に、ファーマシストライフ編集部が独自にまとめたものです。

大手調剤薬局チェーン 店舗数ランキング（調剤薬局事業より）

まずは大手調剤薬局チェーン17社の店舗数ランキングを見ていきましょう。

2021年 大手調剤薬局チェーン 売上高ランキング（調剤薬局事業より）

売上高順に並び替えると、ランキングはこのように変わります。

前年度8位だった、なの花薬局を運営するメディカルシステムネットワークが2020年では5位にランクインしています。

一方、前年度5位だった総合メディカルは、持ち株会社の総合メディカルHDを吸収合併。株式を非公開化し、2020年4月東証一部への上場を廃止しました。

業界における競争が激化していることが窺えます。

調剤薬局大手チェーンの特徴【2021年最新】

このような厳しい時期でも調剤薬局事業 売上高1000億円以上の業界トップクラスの大手調剤には、どういった特徴があるのか各社の事業の特徴を見ていきましょう。

また新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の影響から薬剤師求人にも変化がありましたので、就職・転職を考える薬剤師のために、実際の薬剤師の募集状況も調べてまとめました（2020年12月現在）。

株式会社アインファーマシーズ

ファーマシー事業（2020年4月期）
売上高: 1位 2637.50億円、店舗数: 1位 1,088店舗

アイングループ https://www.ainj.co.jp/

調剤薬局 売上高・店舗数 No.1のリーディングカンパニー

株式会社アインホールディングスで主なファーマシー事業とリテール事業を担うのが株式会社アインファーマシーズです。

1969年8月設立で、札幌市に本社があり、全国で保険調剤薬局とコスメ＆ドラッグストアの経営を行っています。

門前型の調剤薬局に加え、医療モールの開発による薬局出店にも力を入れており、新規出店とM&Aにより、毎期100店舗前後の出店を目指しています。

「健康拠点としてのサービス」を全国に提供するため、OTC医薬品や健康食品の充実、血圧計の設置など、調剤が必要ない患者さんにも健康相談で利用してもらえる店舗づくりをしています。

在宅医療は2008年から取り組んでおり、全国90%以上の薬局で在宅訪問の実績があります。

調剤についても、業界に先駆けてIT技術を取り入れ、調剤過誤防止システム、散剤監査システム、自動ピッキング機、自動水剤分注機など設備を整え、より安全で安心な調剤を行うための対策を行っています。

2012年よりスマートフォンを利用した電子お薬手帳である「アインお薬手帳」のサービスを開始しました。

薬剤師は、未経験からキャリアまで継続した教育が受けられます。また、社長自ら、着実な昇給もあると明言しています。

【アイン薬局】実際の求人内容をチェック

アイン薬局の薬剤師求人を探すなら、正社員・パートともにアイングループの公式求人情報サイトはチェックしておく必要がありそうです。

アイン薬局の薬剤師求人は、株式会社アインホールディングスの子会社である、株式会社メディウェルが運営する薬剤師転職ドットコムもあります。

日本調剤株式会社

調剤薬局事業（2020年3月期）
売上高: 2位 2310.01億円、店舗数: 6位 650店舗

日本調剤 https://www.nicho.co.jp/

自社ジェネリックを持つ大手調剤薬局チェーン

1980年創業。「医薬分業」の推進を企業理念として、全国47都道府県の、主に大型総合病院の門前に調剤薬局を構えています。

店舗数ではTOP5に及びませんが、売上高は堂々の業界2位をキープし続けています。

これは在宅医療対応の強化とジェネリック医薬品の使用拡大などの調剤技術料の改善により、1店舗当たりの顧客数や処方箋1枚当たりの収益獲得が実を結んでいるということが要因として考えられます。

調剤に関しては、最先端のIT技術を活用しており、いち早く生体静脈認証システムを採用し、調剤業務の透明性を確保することに努めています。

在宅医療への取り組みや、介護施設向けの調剤管理も積極的に推し進めています。

日本調剤グループでは、ジェネリック医薬品の製造・販売を行っており、他の企業にはない大きな特色といえます。

日本調剤も、独自の電子お薬手帳である「お薬手帳プラス」というサービスを開始しています。特に便利な機能として、「処方せん送信機能」があり、調剤の待ち時間を短縮することが出来ます。

薬剤師には充実した教育システムが保障されており、福利厚生の待遇が手厚いと言われています。

【日本調剤】実際の求人内容をチェック

日本調剤にも公式の中途採用サイトがあります。そこでは薬局薬剤師（正社員、契約社員、パート）、在宅医療専任薬剤師（正社員）、病院支援薬剤師（派遣）の募集要項の確認とエントリーができます。

日本調剤グループの株式会社メディカルリソースが運営しているファルマスタッフでも日本調剤の求人を探すことができます。

2020年12月現在、日本調剤は他の薬剤師転職サイトでも、薬剤師の積極採用を行っていました。

日本調剤オンラインストアの管理薬剤師 (パート・アルバイト)

こちらは マイナビ薬剤師で見つけた求人情報です。

※2020年12月現在

9:00-18:00、実働1日8時間シフト制ということで、パート・アルバイトでも安定して働くことができそうですね。

調剤未経験も歓迎！総合門前の調剤薬局の正社員求人【東京都大田区】

マイナビ薬剤師で薬局薬剤師の正社員求人も見つけられました。

※2020年12月現在

「関東甲信越エリア薬剤師を積極採用中！嬉しい土日祝休み店舗！」ということで、他にも募集がでていましたので、日本調剤の求人情報が気になる方は、公式サイトやファルマスタッフ、 マイナビ薬剤師でチェックしてみてくださいね。

クラフト株式会社

新卒採用サイトの2020年3月時点情報より
売上高: 3位 1,937億円、店舗数: 2位 1002店

クラフト株式会社 http://www.kraft-net.co.jp/

北海道～近畿地方を中心に500以上の店舗をもつ調剤薬局

設立は1982年。クラフト株式会社が展開する調剤薬局「さくら薬局」は東京を中心に約1000を展開する調剤薬局チェーンです。

地域の一員として、「かかりつけ薬局」として、身近な薬と健康のアドバイザーとして、生活をサポートしていくことを目指しています。

主な事業内容としては、在宅介護支援、24時間処方せん応需体制、節薬サービス、市民講座などを推し進めています。過誤防止の様々なツールや機器も充実しているようですね。

さくら薬局の取組みとしては、調剤薬局としての業務の他に、”薬剤師としてだけではなく、人として何ができるか？”という「人を想う力」を大事にしている方針。

各店舗独自のアイデアを提案・実行できる”リトルチャレンジ”をやらせてもらえる環境があります。リトルチャレンジについては、薬局製剤、特急調剤サービス、アロマ、市民講座、お花の日など、各店舗によって取り組み内容は様々のようです。

【さくら薬局】の実際の求人内容をチェック

さくら薬局の求人は公式の採用サイトがあります。そちらで中途採用、パート・アルバイトの募集要項の確認とエントリーができます。

実はヤクジョブを運営するクラシス株式会社はクラフトの関連会社。ですので「さくら薬局」の取扱い求人数については、ヤクジョブが多いかもしれませんね。

2020年12月現在、さくら薬局は他の薬剤師転職サイトでも、薬剤師の積極採用を行っていました。

調剤未経験もＯＫ！さくら薬局での薬剤師（正社員）【東京都三鷹市】

こちらは マイナビ薬剤師で見つけた求人情報です。

※2020年12月現在

パート社員・準社員・契約社員を希望するかたも応募可能となっています。

クラフトへの転職を検討している薬剤師は、公式サイトのほか、ヤクジョブと マイナビ薬剤師などで求人情報を探してみてくださいね。

クオール株式会社

保険薬局事業（2020年3月期）
売上高: 4位 1531.85億円、店舗数: 3位 805店舗

クオール株式会社 https://www.qol-net.co.jp/

マンツーマン薬局と新業態薬局の2本柱で展開

クオールホールディングス株式会社で主な調剤薬局事業を担う、クオール株式会社。

1992年、調剤薬局の運営と医薬品の販売を目的として設立された企業です。

医療機関と1対1の信頼関係に基づくマンツーマン出店を基本に展開しており、地域や処方元医療機関の特性に合わせた店舗作りを行っています。

マンツーマン店舗以外にも、異業種とのパートナーシップによる新業態店舗の開発に力を入れているという特徴があります。ローソンと提携したコンビニ併設型調剤薬局、ビックカメラ内での調剤薬局、JR西日本グループとの駅ナカOTC店舗など、新たな市場開拓にチャレンジしています。

その他には、サプリなどのオリジナル商品も開発。

在宅医療や施設訪問医療に取り組んでいる店舗は約100店舗あります。

『クオールカード』という、全国のクオール薬局で患者個々の情報を照会できるサービスを行っており、全店への導入を予定しています。

薬剤師は、オリジナルテキストを学習し、『クオール独自の認定薬剤師』の資格を受けることができます。糖尿病や高血圧など疾患別に取得でき、高度な専門知識を身につけることができます。

【クオール薬局】実際の求人内容をチェック

クオール薬局の薬剤師求人は公式の採用サイトがあります。そちらで中途採用は正社員、パートの募集要項の確認と応募ができます。

APOPLUS薬剤師を運営するアポプラスステーション株式会社はクオールのグループ会社。「クオール薬局」の取扱い求人数については、APOPLUS薬剤師が多いようです

中国/四国地方のクオール薬局 求人はマイナビ薬剤師でも見つけることができました。

まとめ：大手調剤薬局の今後の見通し

最近の調剤報酬改定では、地域におけるかかりつけ機能に応じた適切な評価と対物業務から対人業務への構造的な転換を推進することを目的として評価の重点化と適正化が行われました。

引き続き、大手調剤薬局では「かかりつけ薬剤師・薬局」としての機能を発揮するべく、

• 地域医療連携
• お薬手帳等を活用した薬剤に関する情報の一元的・継続的な把握
• それに基づく薬学的管理・指導の強化
• ジェネリック医薬品の使用促進
• ICTの活用や機械化の推進

などに取り組んでいくことでしょう。

さらに厚生労働省より2020年４月10日に発出された「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」の事務連絡に基づき、感染の拡大防止を目的として、調剤薬局でも特例措置による処方箋の受け入れ準備を整え、電話やオンラインによる服薬指導を本格的に開始したところも多かったと思います。

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) がいまだ収束のめどが立っていないことから調剤薬局大手であっても経営環境はより厳しいものとなっていくことが予想されます。この超高齢化社会・ウィズコロナ時代、在宅・介護・オンラインの強化は各社避けることができない取り組みといえます。

大手調剤薬局への転職を考える薬剤師は、しっかり情報収集を行い、自分の知識やスキルを高めて、今後も必要とされる薬剤師を目指しましょう。