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- -前編- これからの薬局・薬剤師の可能性 薬局アワード特別対談
-前編- これからの薬局・薬剤師の可能性 薬局アワード特別対談
2021年10月24日、ONLINEで開催された「第5回 みんなで選ぶ 薬局アワード」。
全国から創意工夫をしている薬局のさまざまな取り組みについて、今回も多数の応募が寄せられ、第5回は開催史上最も意見が分かれた回だったという特別審査員の声もありました。
そんななか最優秀賞を射止めたのは、東京都荒川区にある「OGP薬局荒川店」代表の鈴木怜那さん。
今回の特別対談【前編】では、当イベントを主催する一般社団法人薬局支援協会代表理事の竹中孝行さんと、OGP薬局荒川店の鈴木怜那さんで語り合ってもらい、OGP薬局荒川店の取り組みを紹介するとともに、薬剤師・鈴木怜那さんの魅力に迫っていきます。
鈴木怜那 すずき・れいな 株式会社オージープランOGP薬局荒川店に勤務。女性と子どもの健康をサポートする薬剤師として、薬局での女性ヘルスケア講座や性教育講座を開催するなど、精力的に活動中。薬剤師をもっと身近に知ってもらうため、薬局外の活動(ワークショップの開催)も行っている。
竹中孝行 たけなか・たかゆき 株式会社バンブー 代表取締役、一般社団法人薬局支援協会 代表理事、薬剤師。1984年生まれ、静岡県出身。共立薬科大学卒。外資系製薬会社に勤務後、調剤薬局勤務を経て独立。薬局事業、介護事業、岩盤浴ヨガやエステなどの美容事業、コラム執筆・監修などのメディア事業などを手がける
※取材は新型コロナウイルス感染症に配慮しオンライン形式で行っております
OGP薬局荒川店とは?
竹中:
第5回みんなで選ぶ薬局アワードの最優秀賞おめでとうございます。
鈴木:
ありがとうございます。性教育というワードなど抵抗感がある方が多いと思っていたので、話を聞いていただけるだけでもと考えていたのですが、聞いてくださった方々の関心が思いのほか高くとても嬉しかったです。
竹中:
まずはOGP薬局荒川店について、少しお話いただきたいと思います。
鈴木:
はい。OGP薬局荒川店は2015年に開局した薬局です。
とてもわかりにくい場所にあって、初見の方はなかなか発見できないという(笑)。もう7年目になりますが、いまだに「こんな所に薬局があったんだ!」と言われます。奥まっているので、一見さんはなかなか来局しづらいかもしませんね。
店舗としては少し広いので、それを活かして健康講座を開催しています。
竹中:
健康講座は薬局アワードでもご紹介いただきましたが、とても好評でしたね。
鈴木:
イチ社員がやっていることや、近年話題になっている女性ヘルスケア問題について皆さんが興味を持ってくださっていたからこそだと思います。
竹中:
今回ご発表いただいた健康講座はどのようにして始まったのでしょうか?
鈴木:
まず女性ヘルスケアの活動をしようと思ったときに、産後ママのケア・サポートをしたいと思って保健所に挨拶に行ったのですが、薬局が営業に来たと思われたのか門前払いされてしまって…。
当時はまだ自分に実績がなかったからかもしれませんが、薬剤師がこうした活動をすることが受容されていないんだなと、すごく悲しい気持ちになりました。
だから、まずは薬局で発信して、それが地域に広まっていけばいいなと思って、薬局内での健康講座に力を入れ始めたんです。
竹中:
薬局で産後ママのケア・サポートをするというアイデアは素晴らしいと思いますが、一度、門前払いされていたのですね。そこで気持ちを切り替え、まずは薬局で発信しようと健康講座に力を入れたのは素晴らしい考えですね。
鈴木:
ありがとうございます。今では、ライフステージに合わせた女性ヘルスケア健康講座、認知症カフェ、性教育講座などを行って、地域の生活者の方と関われる場所になるように日々奮闘しております!
薬局アワードの参加について
竹中:
ところで、鈴木さんはどうして薬局アワードにエントリーしてくださったのですか。
鈴木:
私は薬剤師の中で女性ヘルスケアと性教育を広めていきたいという気持ちがあったのですが、それが薬局アワードで通用すると思っていなかったので、最初からエントリーを考えていたわけではなかったんです。
そうしたなかで尊敬する薬剤師さんから『あなたがやっている活動は良いことで、出場すればもっと皆に知ってもらえる』と言われ…自分の活動はまだ途中であり、何も成し遂げていないので、その状態で薬局アワードに参加していいものかとても悩みました。
最終的には活動を広めたいという思いが勝り、応募することに決めました。
竹中:
なるほど。その強い思いがあったからこそ、鈴木さんのプレゼンは多くの参加者の心を動かしたんですね。今回の薬局アワードで、みごと最優秀賞に輝きました。受賞により何か変化はありましたか。
鈴木:
予想外の変化がありました。薬学生からの問い合わせが増えたんです。私の活動に興味を持ってくれてすごく嬉しかったです。
それに、たくさん応援してくださった地域の情報サイトの方々も『私たちの地域の薬局が日本一なんですよ!』と私よりも受賞を喜んでくれて、とても有難かったです。
会社内でも『頑張っているね!』と興味を持っていただけたようです。
竹中:
良い変化があったようで何よりです。鈴木さん自身は、薬局アワードに参加してみてどうでしたか?
鈴木:
どの薬局の取り組みも本当に刺激的なものばかりで、お話を聞きながら『どうしたらこんな風に考えられるの?』、『コラボしたら面白そう!』などいろいろ妄想してしまいました。
また、プレゼンターは薬局経営者の方が多かったので、取り組みについて経営者視点のお話も聞くことができて『ここで働いてみたい!』と思う薬局ばかりで。
特にみどりや薬局の清水先生のお話は、私も薬局で認知症カフェを開催しているので大変参考になりましたね。薬局アワードの前からたくさん刺激をいただいている方なので、お話一つ一つが勉強になりました。
竹中:
嬉しいお言葉です!薬局アワードに参加してくださる薬局の方々は、本当に熱い方が多いんですよね。
コラボレーションが生まれるのも、薬局アワード参加の醍醐味だと思います。
薬局の取り組みを地域へ。そして全国へ
竹中:
薬局アワードでもご紹介いただきましたが、鈴木さんには「女性ヘルスケアと性教育を広めていきたい」という大きな目標があるんですよね。
鈴木:
その通りです。女性ヘルスケアや性教育に興味を持ってくださる方がもっと増えて欲しいんです。
緊急避妊薬は国の動きもそうですが、地域全体で取り組まないとなかなか解決できない問題です。まずは女性ヘルスケアについて知ってもらう活動をもっと精力的に行っていき、本当の意味の地域連携を構築していきたいです。
今は薬局内でやっている活動が多いですが、地域にもっと飛び出して女性ヘルスケアや性教育について知っていただけるようにしたいんです。地域で「女性ヘルスケアと性教育」と言ったら、OGP薬局や私の名前を思い浮かべて、相談してもらえるように活動していきたいです。
竹中:
今後もまだまだ広がりそうですね。
鈴木:
はい。この活動が全国に広まっていけばいいなと思っています。
私の基盤であるSRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:性と生殖に関する健康と権利)の考えを薬剤師の中に広めていき、生活者との向き合い方やこれからの薬剤師の在り方に一石を投じることができればと考えています。
竹中:
薬剤師として働きながら、こうした活動をするだけでもかなり凄いと思うのですが、鈴木さんは他にも活動されていると伺っています。
鈴木:
そうなんです(笑)。薬剤師が会社という垣根を超えて、何か作り上げられたら面白いかもしれないという思いと、地域の方にもっと薬剤師を身近に感じて欲しいという思いがあって、個人活動を始めました。
あと、もう一つ実現したいことがあり…。薬局の外でユース相談室をやりたいと考えていました。思春期の子どもや若者向けの相談室です。薬局という場所がハードルになっている人たちに、月に1回でも性のことや悩みを相談できる場所があれば思春期の子たちへのサポートができるのではないかなと思っています。
竹中:
情熱と行動力が凄いですね!
鈴木:
私はお節介で介入しがちなので、合わない人には合わないかもしれません。それでも「鈴木さんと出会えてよかった」と言われた時はとても嬉しくなります。もっと頼っていただけるように日々勉強しないといけないと思っています。
取材・文/ファーマシストライフ編集部
写真提供/薬局支援協会・OGP薬局荒川店
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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