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2024年「第8回みんなで選ぶ薬局アワード」結果発表レポート
2024年11月10日、薬局支援協会主催の「第8回 みんなで選ぶ薬局アワード」が開催されました。会場は、東京大学本郷キャンパス福武ラーニングシアターで、現地とオンラインのハイブリッド開催です。
以下に「第8回みんなで選ぶ薬局アワード」の結果発表をまとめて紹介していきます。
2024年度の代表薬局
本年度、代表薬局に選ばれたのは以下6薬局です(五十音順)。
・越前堀薬局【東京都中央区】
・オリーブ薬局【東京都墨田区】
・スター調剤薬局 坂之上店【鹿児島県鹿児島市】
・nanacara薬局【大阪府大阪市】
・ホソタ薬局【岩手県久慈市】
・みなみぐち薬局【神奈川県小田原市】
薬局アワード本選の参加申し込みは約153名(イベント管理サービスpeatixより)。一般参加者が注目する中、今年も素晴らしい薬局の取り組みが発表されました。
「薬局ってどこも一緒じゃないの?」「信頼のおける薬局を探したい」そんな患者さんの疑問や要望に応えるべく、一般の方々に薬局の取り組みを知ってもらうイベント。薬局アワードの代表薬局は、背景・思い、患者視点、独創性、社会性、再現性、将来性という6つの評価項目に基づき、1次審査、2次審査を経て6組の薬局が代表に選ばれる。そしてイベント当日、それぞれの取り組みについて代表薬局の発表を聞いた上で、薬局アワード参加者と審査員の投票により受賞薬局を決定する。
なお、2024年度の特別審査員は以下6名です(五十音順)。
・井手口直子 氏
帝京平成大学薬学部 教授/大学院薬学研究科 教授/博士(薬学)/博士(教育)
・鎌形博展 氏
株式会社EN 代表取締役CEO/医療法人社団季邦会 理事長/東京医科大学病院 非常勤医師
・鈴木信行 氏
患医ねっと 代表
・中山茜 氏
AKANE株式会社 代表取締役/第4回みんなで選ぶ薬局アワード 最優秀賞/第1回JACDS セルフメディケーションアワードコンクール優秀賞
・廣川重男 氏
株式会社京都廣川書店 代表取締役/社団法人医療統計推進協会 代表理事
・馬越春莉 氏
一般社団法人日本薬学生連盟/会長
2024年の受賞結果!
- 最優秀賞は「越前堀薬局」
- 特別審査員賞は「nanacara薬局」
※特別審査員賞:特別審査員から最も支持された薬局に与えられる賞 - オーディエンス賞は「みなみぐち薬局」
※オーディエンス賞:一般参加者から最も支持された薬局に与えられる賞
最優秀賞:越前堀薬局
『多くの引き出しを持つことで最初の「相談相手」に選ばれる工夫』
越前堀薬局は、東京都中央区新川にある街の薬局。発表者・犬伏洋夫氏の曽祖父が一般用医薬品(OTC医薬品)を販売する薬局として大正12年に創業。現在では調剤のほか、約2300品目にもおよぶOTC医薬品を取り扱っている。
越前堀薬局の大きな特徴は、薬局製造販売医薬品(薬局製剤)。薬局製剤は、薬剤師が薬局で製造し直接患者に販売する医薬品であるため、その薬局・薬剤師が信頼されて初めて使ってもらえる。薬局製剤の製造販売を行う薬局は年々減少しており、現在、薬局製剤の製造販売の許可を受けている薬局数は全国で6%程度。このような時代に、薬局製剤が売れているということは、その薬局・薬剤師が信頼されているという証拠にほかならない。患者からの何気ないLINE相談から、レッドフラッグサイン(危険な症状)に気づき、医療機関へ受診勧奨した事例も紹介。
「ご家庭の幸福は健康から」の薬局理念のもと、地元の人が認める薬局として、今後も薬局を深堀りしていくつもりとのこと。一般の方々に薬局を知っていただくという、薬局アワードの目的を体現する取り組みだった。
特別審査員賞:nanacara薬局
『薬剤師を、てんかん医療の新たなプレイヤーに』
難病や希少疾患の患者家族の生活を支えるITプラットフォームを提供するノックオンザドア株式会社は、第一弾として、てんかん患者家族が症状を簡単に記録し、医療関係者と共有できるアプリ「nanacara」を展開。患者や家族の声を反映して改善することを強みとしている。
今回の『薬剤師を、てんかん医療の新たなプレイヤーに』というテーマのもと、てんかんや難病の患者とその家族が安心して暮らせる地域づくりを目指し、大阪市都島区に「nanacara薬局」を設立。薬剤師がてんかんに関する専門知識を持ち、オンラインでの相談対応も行うなど、専門医不足を補いながら生活面でも支援を提供。また「てんかんマスター講座」を通じて認定薬剤師を育成し、地域薬局としての役割を強化している。
今後は、てんかん支援の拠点を増やし、スペシャリティーファーマシーとしての定着を図るとともに、日本の創薬市場活性化にも貢献する計画とのこと。医療を患者中心にデザインし、患者のニーズに寄り添う薬局の在り方を目指していく。
オーディエンス賞:みなみぐち薬局
『携帯心電図計を駆使する薬剤師の時代へ』
もともとは心電図の知識がなかったというみなみぐち薬局(株式会社なかいまち薬局)の土橋氏。心電図判読を学ぶため、書籍やYouTube、米山先生の心電図合宿勉強会などで基礎から学ぶ。その甲斐あって、外来や在宅の現場で携帯心電図計を活用し、患者の状態や薬の効果について、波形をもとに解説できるようになった。心電図波形の確認と解釈に取り組むことで、患者の理解や服薬コンプライアンス向上に役立てることができた事例を紹介。
また、携帯心電図計で心房細動の疑いありとなった患者に対して、心室性期外収縮の波形であることを確認し、必要に応じて医師に相談することを提案できた事例や、 心房細動の可能性ありとされた患者で、実際はペースメーカーが入っている人で、左脚ブロックと似た波形が出ることを確認したことで、信頼を得て、かかりつけ薬剤師契約の締結に繋がった事例なども紹介。
来るファンタスティック4(心不全治療)の進展に向けて、データを集積し継続して症例検討していくとのこと。心電図判読を活用した薬剤師の貢献も視野に入れており、心電図の知識を持つことで、薬剤師の役割が広がることが大いに期待できる取り組みとなった。
オリーブ薬局
『アート×薬局 ~薬局から届ける心の栄養~』
東京都墨田区のオリーブ薬局は、地域に根ざした健康サポート薬局として、住民が気軽に立ち寄れる場所を目指す。その一環として、薬局スペースで地域交流イベントを開催。最近はイラストレーターのAkiTOOON(池下暁人)氏と協力し、薬局で個展を開催し、作品を展示・販売。約30点のうち18点が販売され、薬局の新たなビジネスモデルとしても効果を発揮した。展示期間中には高齢者向けの絵画教室も開催し、地域住民が創作活動を楽しむ機会も提供。
また、子ども薬剤師体験を実施し、近隣の保育園との連携も深め、子どもたちが薬局に親しみを持てる機会を提供。これにより、地域貢献と薬局の利用促進につながった。今後は区の広報を通じて、他保育園への展開や、地元企業の製品展示など、さらに地域密着の活動を広げていく予定。さまざまな事業者団体とのコラボレーションを通して、薬局の新たな価値、ビジネスモデルを創出していく考えとのこと。
スター調剤薬局 坂之上店
『「人とまちを元気にする親切な企業」を目指して地域の方と薬局を繋ぐ』
白男川薬局は創業80年以上の歴史を持ち、鹿児島県で最初の保険調剤薬局として地域に根ざした在宅支援サービスを展開。経営理念「最高のホスピタリティをもって安心と感動を創造し、人とまちを元気にする親切な企業へ」に基づき、「まちのコンシェルジュ」を目指して住民に寄り添ったサービスを提供。在宅支援も薬剤師と事務員が二人一組となり実施し、先進的な医療システムも導入してる。
今回の取り組みは、地域農家支援として生姜栽培や在宅訪問先への生姜配布を行い、株式会社タニタとのコラボカフェも運営。薬局内に健康測定ラボを設け、セルフメディケーションを促進。さらに、プロスポーツ団体「フラーゴラッド鹿児島」の公式スポンサーとして選手を支援し、地域活性化に貢献するというもの。
これらの活動を通じて、地域の健康を包括的に支える薬局としての社会的責任と信用性を高め、持続可能な健康支援の確立に努めている。
ホソタ薬局
『地域の健康寿命を延ばすための「“健康”の相談ができる」薬局づくり』
株式会社ファーマラボは、久慈市に拠点を置く創業102年の企業であり、近年ではOTC製品の製造および関連会社である株式会社ヘルシーツリーを通じた健康食品ブランド「ファーマシーズセレクト」の展開に注力。本ブランドでは、病気予防および健康寿命の延伸を目的とした薬剤師監修の健康食品として開発されており、特にフレイル予防に寄与することを目指している。
代表的な製品「プロテインArutte」には、シニア層に配慮した動植物性タンパク質とグリシンが配合されており、低糖質・低脂肪・砂糖不使用といった特長を備えている。これにより、生活習慣病や老化による身体機能の低下を防ぐ効果が期待される。同社は、薬局の社会的役割を単なる薬剤提供の場から、地域住民に対する健康相談の提供と健康寿命延伸の支援を行う場へと再定義することを目指している。
他薬局との協働を視野に入れ、OTC販売や健康相談を包括したパッケージの提供を進め、地域全体でフレイル予防の取り組みを強化していく方針とのこと。
おわりに
どの薬局もそれぞれ違った強みを持って懸命に取り組んでおり、とても希望を感じる会でした。特別審査員の方々によれば、今年度ほど審査員室の議論が白熱した会はなかったとのことで、本当にどこが受賞してもおかしくないほどの差でした。
薬局の閉業、膨れ上がる医療費、ジェネリック医薬品・選定療養の推進など、薬局・薬剤師を取り巻く環境は、昨今も厳しい状況が続いています。しかし、年一回でも薬局アワードに参加することで、全国で頑張っている薬局・薬剤師の活動に賛同し「自分だったら何ができるのか。これなら自分の薬局でできるかもしれない。チャレンジしてみよう!」と薬局・薬剤師の方々が奮起するきっかけとなれば幸いです。地域を越え、日本の健康支援が薬局・薬剤師の力で活性化されることを強く願っています。
今後の予定
来年の第9回みんなで選ぶ薬局アワードは2025年11月開催予定です。
薬局アワードでは、今後もエントリー薬局や一緒に運営してくれる仲間、協賛いただける企業・団体を募集しているとのことです。興味のある方は、薬局支援協会のホームページよりお問い合わせ下さい。
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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