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水戸薬局の取り組みとは -第7回 みんなで選ぶ薬局アワードのプレゼン紹介
今回は「第7回 みんなで選ぶ 薬局アワード」に代表薬局として登壇した、水戸薬局(東京都葛飾区) 今西利香さんのプレゼンテーションをご紹介します。
誰一人取りこぼさない、途切れのない支援を通じて、薬局を地域のよろず相談所へ
では、これより水戸薬局の発表を始めさせていただきます。株式会社水戸薬局の今西と申します。どうぞよろしくお願いいたします。かなり緊張してるんで、飛ばさないようにして、ちゃんと喋れるか不安ですが、頑張りたいと思います。
水戸薬局の紹介
まずは簡単に水戸薬局の紹介をさせてください。
水戸薬局は昭和2年、1927年、男はつらいよの寅さんで有名な柴又帝釈天にほど近い、葛飾区高砂で創業し、今年で97年の薬局です。右上の写真ですが、これが創業当時の写真なんですけれども。もう町並みはね。その当時とはすっかり変わってしまいましたが、道を1本入ると、皆さんが想像するような下町情緒がまだまだ色濃く残る地域です。
水戸薬局と言うと、よく茨城県の水戸市と間違えられるんです。先ほども間違えられたんですが、東京23区内の東部に位置する葛飾区っていうところの柴又高砂地域に、そのエリアを中心に11店舗。地域に密着した店舗展開をしております。
在宅訪問や緩和医療など、創業当時より地域に寄り添って活動している薬局になります。
そのほかにも、今でこそ、ドラッグストアやコンビニなどで気軽にOTC薬が買えるようになりましたか、水戸薬局では以前から薬局製剤の販売にも力を入れており、今でも「感冒剤3号A」や「鎮咳去痰剤13号」などを製造販売しており、昔からのファンが多い人気商品となっております。これからの時期はU・E・Hクリーム等がよく売れてきます。
水戸薬局の地域支援のきっかけ
薬局の支援のきっかけですが、もともと私、学校薬剤師をしており、そこで生活リズムのお話をした時に、子どもたちに「朝ご飯食べてる?」「今日何食べてきた?」って聞いてみたんです。すると、「ジュース飲んだよ」「バナナ食べた!」「食べる時間がなかった。そもそも起きられないし…」という感じで、朝ごはんをきちんと食べていない子どもが多いことにびっくりしたんです。さらに、登校前と下校後、一人で過ごしているお子さんも数多くいることを知り、何とかできないかな、朝ご飯って大切なんだけどな、誰かと一緒に食べることって楽しいんだけどな…などと考えていました。
その矢先、2020年春、世界はこれまで誰も経験したことのない未知の感染症による不安が広がり、人との接触を避け、町からは人が消え、薬局にも人が来なくなりました。水戸薬局でも集団感染を避けるためテレワークが開始されました。
マスクなしでは外出できない状況の中、薬局に普通にあったマスクがなくなって、地域の薬局としてどうにかしたい。何かできることはないだろうかと考えて、テレワークの時間にちょうど白衣を新調するタイミングであったので、白衣を利用したり、ハンカチや古着などを使ってマスク作成をしました。
マスクのゴムが不足していたために、ストッキングやタイツなんかも切って、マスクのゴムにしました。これが意外に優しくて、耳が痛くならないってそこも良かったのかと思います。1枚300円の寄付を募って店舗に置いたところ、素人が作ったマスクですが地域の方に喜んでいただき、ドクターからの口コミもあって、たくさんの皆様に利用していただきました。
そこで、手作りマスク配布で得た寄付を元手に、フィンランド語で「暖かい」っていう意味を持つ、「kuuma(クーマ)」という支援団体を設立し、同時にkuumaの活動拠点となるオープンスペースを開設。
そして2020年12月、第1回のこども食堂を開催し、地域の子どもたちへの食事支援を開始しました。
水戸薬局の支援活動
コロナ禍で不安は、とてもいっぱいあったんですけれども、今やらないといつやるの?という思いに駆られ、できる限りの感染対策をして、翌年1月からやりたかった「みとちゃんの朝ごはん」を月2回、会食形式と、やはり感染不安があるので…希望により持ち帰りありの形式で開始することができました。
朝夕合わせて月3回の食事提供を約1年続けていくうちに、参加人数は着実に増えてきたけど…子どもの笑顔もたくさん見れたけれど、それだけでいいの?ちゃんと必要な人に支援は届いてる?と、食堂だけでは支援しきれない人たちがいるんじゃないだろうか、ということに気づき、行政との連携による経済的困窮家庭への食糧配布を行う「kuumaフードパントリー」や、地域の子どもたちが気軽に立ち寄り、ほかの子どもたちとのコミュニケーションが取れる場として「みとちゃんち」を開始しました。
そこには、地域の方や患者様もボランティアとして参加してくださっています。
今までコロナ禍で行けなかったんですが、今年8月にはバス遠足に行ってきました。
そこで初めて会う子、身体が少し不自由な子、心が少し疲れている子。そんなの全然関係なく、子どもたちの最高の笑顔が見られました。思い切って良かったです。私たちもすごく元気をもらいました。
現在では、子ども食堂やフードパントリーはもとより、脳を活性化させるシナプソロジーや、お仕事や育児で疲れた体を癒すヨガ体験などの健康教室を月一回開催したり、回想法を用いた介護施設でのレクリエーション、「高砂音楽祭」といった街のお祭りでお薬相談・血管年齢測定・野菜足りてますかチェックなど、あらゆる世代における地域住民の健康維持活動を行っております。
水戸薬局の思い
薬局だからこそ気づけること、薬局だからこそ支援できることが、きっとあるはずです。
ふと、足を止めて周りを見た時、これまで気づけなかった、支援を必要としている方がたくさんいることに気づきました。100点満点の支援じゃなくてもいい、小さなことからで構いません。コンビニより多いと言われる薬局だからこそ、少しでも多くの薬局がこの活動に賛同してくだされば、誰も地域から孤立することなく、地域全体で見守っていけると思っています。
水戸薬局は地域のよろず相談所でありたいと思っております。薬局が、ただお薬をお渡しする場所ではなく、赤ちゃんから高齢者まで誰も地域で孤立することなく、何でも話せる場所、いつ行っても誰かがいる場所、行けばなんだかホッとする場所、そしておなかも心も満たしてくれる場所…
水戸薬局はこの地で創業して今年で97年。これからも地域の皆さんにとって、そのような場所であり続けたいと思っております。
最後に、たくさんのご支援ありがとうございました。
これで発表を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
審査員のコメント
司会:
ありがとうございました。それでは、審査員の方からコメントを頂戴したいと思います。鈴木伸之様、お願いいたします。
患医ねっと代表 鈴木 信行氏
鈴木:
発表お疲れ様でした。まず発表の中で、さりげなくおっしゃってるけれども、学校薬剤師の中で、講演をして子どもたちの課題に気づくっていう。それをとっても僕はすごいと思ったんです。そういうことまで目の届く学校薬剤師って、なかなかいないなと思っていました。
そういうさまざまな活動の中で一つ、今日は子ども食堂というのがキーワードで挙がっているなと思ったので、こちらについて少し質問させていただきたいなと思います。
こども食堂で、特に朝運営するスタッフを集めるって、すごく大変ではないですか?地域の中でその活動を定着させる御苦労とかもあったのではないのかなと思うんです。そういう中で、地域の運営する側の人たちを巻き込んでいくコツとか、ご経験とか、うまくいった事例とか。その辺を教えていただきたいなと思いました。
今西:
そうですね。確かに朝ごはんの場合って、初期から会食形式でやったので、まず感染が不安だったんですけれども。子ども食堂の朝のスタッフについては、朝は早いんですよね。だから、仕事(本業)に行く前とかにできて、さらにそこで食べてからそれぞれ出勤するっていう形ができるので。患者様とかでも、高齢の方は早起きな方が多く(笑)。時間も「朝だったら行けるわよ」という感じで、協力してくれる方もいらっしゃったので、一生懸命声掛けをすることで集めることができました。
鈴木:
なるほど。そういうシーズ(Seeds)があるところにちゃんと目をつけられたっていうことかなと思いました。どうもありがとうございます。
司会:
ありがとうございます。もう一方、中山智紀様お願いします。
厚生労働省 医薬局医療機器審査管理課長 / 元保険局医療課薬剤管理官 中山智紀氏
中山:
どうもありがとうございました。水戸薬局さんは、創業1927年で歴史がありますよね。
薬局はかつて、地域の町の薬剤師さんって言うか、地域に頼られる存在として薬局の存在があったけれど、途中、調剤がどっと増えた時に調剤専門になってしまって。そこで、やっぱり、もっと町に貢献する薬局であろうよということから、積極的にさまざまな取り組みをみんなやって行こうっていう流れがあると思うのですが。
水戸薬局さんは創業当時から、やっぱりそういう地域に根差したような活動っていうのはずっとされてきたっていうことなんでしょうか?
今西:
そうです。地域に根差した活動をしたと言うか、やっぱり、水戸さん、水戸さんと言って、近所を歩いていても、結構声をかけられるような環境になってたので、そういう形はできてたのかなとは思います。
中山:
こうした取り組みをする時って、やっぱりその行政との連携は必要で、恐らく食事を出したりすると、食中毒になったりとか、そういうことを心配する人だって、たくさんいるんじゃないかと思うんですが、そこはどういうふうに取り組まれたんでしょうか。
今西:
最初はやっぱりそこを懸念されたんですけれども、ちゃんと保健所の方にも行って、講習も受けて、許可ももらって。あとは社会福祉協議会の方とかにも相談したり、もう区の子ども食堂のネットワークがあるんですね。そこにも行かせてもらって、あらゆる勉強をしました。
中山:
水戸薬局さんは、おそらく、もうその地域では名の知れた、地域に根差した薬局ということなんだと思うので、行政機関と連携しながらですね。薬局の業務にとどまらず、そういった社会的な貢献というところで、ますます地位を築いていただきたいなと思いました。期待しております。よろしくお願いします。
今西:
ありがとうございます。頑張ります。
——
今西さん、ご発表ありがとうございました!
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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