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【前編】2023年度 薬局アワード最優秀賞―ナカジマ薬局 特別インタビュー

2023年11月12日開催された第7回みんなで選ぶ 薬局アワード。最優秀賞は、北海道札幌市の「ナカジマ薬局」でした。

ナカジマ薬局の取り組みについて、詳しくは【最優秀賞】 ナカジマ薬局の取り組みとは -第7回 みんなで選ぶ薬局アワードのプレゼン紹介のページでご覧いただけます。

今回の特別インタビュー【前編】では、ナカジマ薬局のプレゼンターの佐々木剛さんに薬局の取り組みについて詳しく伺うとともに、地域に寄り添い見守る 、ナカジマ薬局と佐々木剛さんの魅力に迫っていきます。

<プロフィール>
佐々木剛 ささき・たかし ナカジマ薬局、薬剤師。1982年生まれ、北海道函館市出身、北海道医療大学薬学部卒。卒業後は北海道函館市にある函館脳神経外科病院へ就職後、北海道札幌市へ移住し、小笠原クリニック札幌病院(現:真駒内札幌病院)の薬局長を経て、現在のナカジマ薬局へ勤務となる。ナカジマ薬局では在宅専門薬局の薬剤師として勤務し、現在は在宅部門の統括を行っている。
竹中孝行 たけなか・たかゆき 株式会社バンブー 代表取締役、一般社団法人薬局支援協会 代表理事、薬剤師。1984年生まれ、静岡県出身。共立薬科大学卒。外資系製薬会社に勤務後、調剤薬局勤務を経て独立。薬局事業、介護事業、エステなどの美容事業、コラム執筆・監修などのメディア事業などを手がける。

後編では、薬局・薬剤師の未来について伺っていきます。

薬局アワードの参加について

竹中:
あらためまして、みんなで選ぶ薬局アワード最優秀賞おめでとうございます。

佐々木:
ありがとうございます。

竹中:
佐々木さんは、なぜ薬局アワードに応募してくださったのでしょうか。

佐々木:
薬剤師を含めて医療従事者は社会貢献することが使命であると考えており、実際に行っている現場の声を発信することで、改めて、社会貢献活動や医療従事者であることの素晴らしさ、社会的意義を感じて欲しいと考え、今回の応募へ至りました。

竹中:
みごと最優秀賞でしたね。

※薬局アワード当日の様子

佐々木:
受賞後、とある施設を訪問した際に、看護師さんから「薬局アワード、見ましたよ。優勝おめでとうございます。素晴らしい取り組みですね」と声を掛けていただいたことが印象的でした。正直、薬剤師以外の職種の方が視聴していると思っておらず、驚いたことを今でも覚えております。

また、今回お話しさせていただいたことをきっかけに、別の場でも当社活動について発表する機会をいただくことができました。

竹中:
良いきっかけとなって、よかったです!「地域見守り活動」は、本当に素晴らしい取り組みでしたね。見守りの際の記録で、独自の評価基準を設けたことから、再現性が高いとの声が多かったです。

佐々木:
地域見守り活動は、受診勧奨や飲み忘れの発見に非常に有効
と考えておりますので、どんどん広げていけたらと考えております。

薬局アワード当日は時間的に詳しく紹介できませんでしたが、実は、尿路上皮がんの発見につながった事例もあります。定期の体調確認を実施した際、患者様からのお話と症状の聞き取りから受診勧奨を行い、その後、検査にて発見に至りました。

こういった事例において、やはり薬剤師のスキル育成が重要と思います。決定的な症状がない状況での受診というのは多くの方が消極的になりやすいです。健康診断や人間ドックにおける受診率の低さがそれを裏付けています。

竹中:
「定期の服薬フォローから受診勧奨につなげるスキル」を持った薬剤師の育成
が、非常に大切ですよね。

佐々木:
はい。聞き取った症状から異常を察知するスキルだけではなく、受診勧奨により実際に受診してくれるような信頼関係を患者様と構築できているか、この点がさらに重要です。これが本当に大変だと考えております。

ナカジマ薬局について

竹中:
あらためて、ナカジマ薬局について教えていただけますか。

佐々木:
ナカジマ薬局は北海道帯広市を発祥とし、1997年に僅か8坪の店舗からスタートした薬局です。開局当時、「医薬分業」という言葉は一般化されておらず、実際に分業率も1%以下という状況でした。

当社の現取締役社長は、病院薬剤師として勤務していた際、とくかく、より多く、より早く調剤を行えばよいという立場に疑問を感じておりました。そんな環境において「もっと患者様の近くで、患者様とお話しできる薬剤師になりたい」という思いから立ち上げたのが始まりです。

こういった思いに基づいて立ち上げられた薬局であるため、「テレフォン服薬サポート®」のような患者様に寄り添うための取り組みを数多く考えつくに至ったのだと感じております。

※ナカジマ薬局「テレフォン服薬サポート®」資料(薬局アワード当日)

ちなみに、アフターフォロー以外でも、当社では「ドライブスルー薬局」といった店舗を営業しております。これは車に乗ったまま処方箋受付から服薬指導までを行える店舗です。身体が不自由な方や小さいお子様連れの方などでも、車から降りることなくお薬を受け取ることができるので非常にありがたい、というお言葉をいただいております。

竹中:
ドライブスルー薬局は感染症対策としても非常に効果を発揮できますよね。

なるほど。「もっと患者様の近くで、患者様とお話しできる薬剤師になりたい」という思いから始まった薬局だからこそ、「テレフォン服薬サポート®」」のような取り組みが生まれたんですね。

薬剤師の働き方とやりがい

竹中:
ナカジマ薬局にはどんなスタッフの方がいるんでしょうか。

佐々木:
当社では、より専門性の高い相談を応需できるよう、専門資格の取得に力を入れております。例えば、外来がん治療専門薬剤師という資格を持つ薬剤師はその名の通り、がん治療に特化した薬剤師で、治療継続中における日常生活の過ごし方やお困りごとの相談など幅広く対応してくれます。また、全国でも取得人数が少ない心不全療養指導士栄養サポートチーム専門療法士といった薬剤師も勤務しており、様々な相談に乗ることが可能です。当社において専門資格を持つ薬剤師は資格を示すネームプレートをつけておりますので、患者様から見てもわかりやすいと思います。

※薬局アワード当日の様子

竹中:
素晴らしいスタッフの方々が揃っているのですね。

佐々木:
はい。同時に、それぞれの職能を最大限発揮できるよう、自分自身も薬剤師としてできることに全力で取り組むことを意識しております。私は在宅専門薬局にて業務を行っておりますが、現在は本当に多職種の連携が進んできていると感じております。

各職種がお互いの立場や技能を尊重しあって患者様を支える姿が一般化し、相互協力を行いながら患者様を取り囲むことができる現在の在宅医療は、本当に素晴らしいと感じております。これらの積み重ねが患者様の笑顔につながると考え、日々業務を行っております。

私自身、これからも、薬剤師は医療従事者であるということを常日頃から意識するよう、継続して指導することを大切にしていきたいと思っています。こうした考え方を常日頃からスタッフに指導することで、医療に対して真摯に向き合う意識が芽生え、それぞれがプロフェッショナルの集団としての自負をもって仕事に臨んでくれていると実感することにつながっていくはずです。

竹中:
プロフェッショナルの集団としての自負をもち、医療従事者であるということを薬剤師も常日頃から意識することが大切ってことですね。

プロフェッショナルの集団としての自負をもつ薬剤師…そうしたモチベーションはどのように保ったらよいでしょう。佐々木さんはどうされていますか。

佐々木:
私は「薬剤師は薬の専門家」という立場であることを自負し、処方内容に対して積極的に介入し、医師と連携を行う必要があると考えております。そして、薬剤師の意見をしっかり聞き入れてもらうには医師との信頼関係が重要であり、この構築を行う過程で薬剤師の職能を理解してもらう必要があります。

これらの過程をクリアし、その行動が患者様にとって有益となる処方提案へ繋がり、結果として患者様やご家族から感謝の言葉をいただけたときは、 本当に薬剤師という職業に就いてよかったと感じます。そうした達成感がモチベーションのひとつかもしれませんね。

実際、ご提案した内容でご家族が涙して喜んでくださったこともあり、そういった経験は忘れることができません。

※ナカジマ薬局 訪問診療同行風景

薬剤師の有用性を広めていきたい

竹中:
薬局アワードでもご紹介いただきましたが、北海道の地方圏では、とくに過疎化・高齢化が深刻化していますね。ナカジマ薬局と協働し「地域見守り活動」を取り組んでいる自治体など、孤独死の現状や対策に関して、大きな危機感をもって検討している印象を受けました。そして、これからまたナカジマ薬局で、いろいろ取り組んでいくのかなと思いますが、直近ではどんなことを考えていらっしゃるのでしょうか。

佐々木:
実は、先日の発表以降、また新たな自治体と見守りの協定締結に向けて打ち合わせを行うことができたんです。近日中に締結する見通しです。本活動に対して、当自治体は非常に大きな期待を寄せて下さっており、活動に対する確認も入念に行って下さっております。

また、今回の発表を経て、本活動に対する理解がより一層深まったのか、今まで以上に当社職員も詳細な説明を行うことが可能になりました。

竹中:
自治体も薬局スタッフも士気が上がっているんですね。見守り活動の取り組みに賛同いただいている企業との協働についても、薬局アワード当日に話題にあがっていましたよね。何か動きはありましたか。

佐々木:
はい。現在、協働先を検討している段階でして、2024年4月より順次打ち合わせを行っていく予定です。また、新しいツールを利用した見守りについても検討中です。

竹中:
素晴らしいことですね!ナカジマ薬局は、今後どんな薬局を目指していくのでしょうか。

佐々木:
ナカジマ薬局に頼れば大丈夫、という立ち位置の薬局を目指し、患者様はもちろんのこと、医療機関からも信頼される薬局を作っていきたいと考えております。

当社は地域に根差す薬局を目指しております。そういった観点から、たとえ処方箋がなくても気軽に立ち寄り、色々なことを相談できる街の相談所、といった立ち位置にできればと、薬局全体で考えております。そして、難渋症例等を含めて、医療機関から「ナカジマ薬局に依頼すればサポート含め、間違いない」という認識を持っていただけるよう努力を重ねていきます。

※薬局アワード当日の様子

竹中:
佐々木さんご自身は、今後はどんなことに挑戦していきたいとお考えでしょうか。

佐々木:
私は、薬剤師の有用性をより多くの人へ知ってもらいたいと考えているんです。

例えば、協働した職種から「薬剤師が関わることで、こんなに多くの処方に対してアドバイスをもらえたり、処方の管理が楽になるなんて考えていなかった。もっと早くから一緒に働いていればよかった」といったお言葉をいただいた経験があります。

これは薬剤師の業務を評価をしていただいた非常に嬉しいお言葉であると同時に、薬剤師が処方に関わることの有用性が認知されていないということでもあります。同じ医療従事者からそう思われるということは、一般の方からすれば、薬剤師に対する理解はさらに低いということです。

薬剤師の有用性について、私は一般の方、医療従事者を問わず、多くの方々に知ってもらいたいと考えております。そのため、小さなことでも少しずつ世間に発信し、やがては日本中に薬剤師の価値を広めていきたいと考えています。

竹中:
薬剤師の有用性について、私もどんどん広めていきたいと思っています。

おわりに

竹中:
ところで、佐々木さんって、私の勝手な印象ですが話し方が丁寧なのもあり、すごくまじめな方という印象です。日頃、患者さんやスタッフの方とはどんな風に接しているのでしょう。ふと気になってしまいました(笑)。

佐々木:
そうですね…まじめかどうかは自分ではわかりませんが、患者様のみならず、医師や看護師、ケアマネージャー等の他職種の方々からも、お薬の説明や勉強会を行った際には、「話が分かりやすく、頭に入ってきやすい」というお言葉を頂戴することが多いかもしれません。薬剤師の後輩からは「ウィキペディアのような人」と言われたこともあります(笑)。

お薬の説明を行う際には相手がどういった点に疑問を持っているか、どう話したら分かりやすいかを考えて対応しているので、このようなお言葉を頂戴できるのかもしれません。

竹中:
ウィキペディアのような人(笑)知識が豊富ということですよね。しかも相手の立場にたち分かりやすく話せて、医療従事者としての自負もある…薬剤師として非の打ちどころがないですね!

※ナカジマ薬局患者様向け勉強会風景

>>後編に続く

取材/ファーマシストライフ編集部
写真提供/薬局支援協会・ナカジマ薬局

みんなで選ぶ 薬局アワードとは? 】
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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