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【第3回 前編】薬剤師として働きながら弁護士に – 弁護士・薬剤師 赤羽根秀宜さん

薬剤師時代に培った知識と経験が
あるからこそ、弁護士として、
より踏み込んだ法的支援ができる
と考えています。

 

弁護士・薬剤師 中外合同法律事務所 所属 赤羽根秀宜さん

 

薬剤師で、弁護士!? 誰もが驚くキャリアを積み上げ、現在は法曹界で活躍する赤羽根秀宜さん。薬剤師資格を取るだけでも大変なのに、なぜ弁護士資格にまで挑戦しようと思ったのか。なぜ転職先が弁護士だったのか。個性的なキャリアを持つに至ったそのわけは、赤羽根さんの、ある“志(こころざし)”にありました。
※ 赤羽根秀宜さんへのインタビュー【後編】はこちらからご覧いただけます

 

赤羽根 秀宜(あかばね ひでのり)さん プロフィール

1997年に帝京大学薬学部を卒業し、薬剤師として薬局に勤務。その後、2005年に東海大学法科大学院に入学、働きながら弁護士を目指す。08年に同法科大学院を卒業。司法修習を終え、09年より、現在の法律事務所に入所(第二東京弁護士会)、弁護士としての活動を始める。その傍ら、東京薬科大学非常勤講師、帝京大学薬学部非常勤講師、東京薬科大学附属社会医療研究所教授を兼任。

活動内容

薬学の知識を生かして、医療や薬事、健康、介護にかかわる法的業務を多く扱う“薬剤師資格を持つ弁護士”。そのほか、会社法務や一般民事の案件も担当する。また、大学の非常勤講師として教鞭を執るほか、業界誌等での執筆、講演も多数。プライベートでは3児の父。
※詳しくは赤羽根秀宜オフィシャルサイト

 

日本のよりよい医療のために役立ちたい。その思いは薬剤師のときから変わっていません。

 

ー薬剤師として、専業時代と法科大学院の学生だったころのアルバイト時代を合わせると、約10年の就業経験をお持ちとか。なのに、弁護士を目指されたというのは、つまり…薬剤師がイヤだったんですか。

 

そう思われちゃいますよね、よく聞かれます。「薬剤師、辞めたかったの?」って(笑)

でも、正直、仕事は楽しかったんですよ。

 

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日進月歩の薬剤の知識を、常に学ばなくてはいけないのは大変でしたが、その知識を患者さんに伝えたり、患者さんと日常的なやりとりをしたり、日々やりがいがありました。

なりたてのころは「いずれは自分の薬局を開業したいな」と、薬剤師としての未来設計にも関心を持っていましたが、働き始めて3年めの1999年に、法律に興味が湧くような事件があったんです。

 

ーどんなことでしょう。

 

僕が弁護士を志したダイレクトなきっかけとは言えないのですが、1999年に、いまのような医療情報公開の流れをつけたといわれる大きな医療事故が立て続けに起きたんですね。

 

まず1月に、横浜市立大学病院で、肺手術と心臓手術の患者を取り違えて手術するという医療過誤。

2月には都立広尾病院で、リウマチ手術をした患者さんが手術は成功したのに、血管に誤って消毒液を注射されたために死亡。

7月には、「杏林大学病院割り箸事件」といわれる、割り箸を喉に突き刺した男児が軽傷と診断され帰宅した翌朝に死亡する事故がありました。

そのころから医療従事者に対するバッシングが強くなっていったんですね

 

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当時すごく注目された話題でもあったので、関連記事もよくメディアに載っていて、僕も積極的に読んでいました。

気になったのは、市民感情やメディアの対応だけでなく、裁判の判決も医療従事者にとても厳しかったことでした。

 

被害者のことを考えれば、十分に保証されるべきだとは思います。けれど、そもそも100%の安全が保証されるわけではない医療の現場において、医療従事者に過度な責任を負わせるというのはどうなのか。

医療従事者への刑事罰や損害賠償などが認められる傾向に流れていっている状況に、僕自身は疑問を感じたんですね。

 

ミスが一切許されないとなると、医療従事者は萎縮するし、挑戦的な治療もしにくくなる。これでは、医療の現場が成り立たなくなる。そんな危機感さえ覚えました。

そして、なぜこんな状況になっているのかを突き詰めてみたら、要は、医療の現場がわかっていない法律家たちによって裁かれているからではないかと思い至ったのです。

 

裁判には、建築や医療などプロフェッショナルな知識と経験なしには正しい判断ができない専門訴訟がたくさんあります。

医療訴訟も、専門的な知見が加わることで、被害者救済の名目でただ医療従事者に厳しくなっていた傾向を是正ができるかもしれない。その一翼を自分も担いたい。そう思うようになりました。

具体的にそう思ったのは、折しも、法科大学院制度が創設された時期でした。

 

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法曹界も専門性の高い裁判に対応できることを求め始めており、そうしてできたロー・スクールの理念と、僕自身の考え方がマッチしていたんですね。それで2005年にロー・スクールの門を叩くことにしたんです。

 

ーそのようなモチベーションで法科大学院を目指されたとはいえ、入試の準備も、実際に入学されてからも、薬剤師として働きながらの二足のわらじです。きっと大変だったと思うのですが…

 

当時はただ必死で、ハードだという実感もあまりなかったんですが、振り返ってみれば我ながらよくやったと思います。

入学試験そのものは適性試験や小論文、面接などですからなんとかなったとはいえ、法律の勉強は、薬学を学んでいたのと比べてだいぶ畑違いでしたから。

僕は未修学者のコースでしたので、3年間、これ以上はないくらい勉強しました

 

カリキュラムとしての授業は午前だけ、あるいは午後だけといったことも多く、空き時間は「新司法試験」のための勉強を自分でしてくださいという感じなんです。

けれど、僕は当時もう結婚していましたので、授業のない時間は薬局でアルバイトもしていました。

もちろん勉強は忙しく、バイトなどしなくてすむならしたくはなかったんですが、学費分くらいは自分で出さないと、働いて生活を支えてくれていた妻に悪いなと思ったので。

 

ーそれにしても、「弁護士になりたい」と相談したとき、奥様の反応はどうだったんですか。反対されましたか。

 

ありがたいことに、「やりたいなら挑戦してみたら?」とすんなり受け入れてくれたんですね。でも2年生のときに子どもが産まれまして。

アルバイトの僕が、主に家事や送り迎えなどをする時間的な融通は利かせていましたが、「これは必修の授業」「この日は試験」など動かせないこともあるんですね。

3年生になっていよいよ「新司法試験」が迫ってきたころは何となく落ち着かなくて、思わず「試験に落ちたらもう1年か…」と言っちゃったんです。

 

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そのときは、「受からなくても、来年はもう(目指すのは)やめてほしい」ときっぱり言われました(笑)

仕事と育児の両立は、さすがにつらかったようです。それが僕にとっては背水の陣にもなりましたが。

 

ー奥様がそうおっしゃったときのお気持ち、よくわかります。でも、勉強しているご本人としては、「自分もこんなにがんばっているのに!」と言いたい気持ちもあったのでは。

 

実は、薬学部を選んだのは成り行きだったところもありましたが、学ぶ楽しさは薬学部で教えてもらいました。

学ぶ楽しさが分かっていましたし、自分から率先して決めた法学の勉強だったので、法学は薬学よりずっと面白かったです。

 

それに、裁判にしろ契約締結等の場面にしろ、六法全書や判例を丸暗記しておく必要はないんです。

法律で社会的に適切な答えを出すのが司法なので、法というものに個別の事件を当てはめてどう解決するかという応用力が試されます

何かの公式にはめ込んで考えるというのは、むしろ数学に近いですよね。そう考えると法律は、案外、理系アタマの人に向いている世界かもしれないなと思っているんですよ。

 

>>後編につづく

 

ファーマシストライフ編集部 (取材・文/三浦天紗子、写真/岡本あゆみ)

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