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【第1回 後編】 アフリカ医療支援NPO 『AfriMedico』 代表理事 町井恵理さん

薬剤師というスキルが、
今のNPO代表に導いてくれた

 

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ニジェールで、懸命に医療支援に取り組んだものの、それは、ある種の悔しさを味わう体験でもありました。しかし町井さんは、それをバネにします。町井さんに訪れたある気づきと、さらなる飛躍のきっかけとは。NPOの立ち上げから現在の活動について、伺いました。

※ 町井恵理さんへのインタビュー【前編】はこちらからご覧いただけます

 

医師ではなく薬剤師だったからこそ、薬でできる社会貢献を思いついたのだと思う。

 

– 製薬会社で働きながら、経営を学ぶというのがなかなかパワフルだと思います。入学されたのが2011年。そのステップボードがあって、NPO設立へと結びついていきますね。

 

いま考えれば、入学時には、あまりはっきりとした目標を持っていたわけではありませんでした。

入学に際しては、志望動機を説明しなくてはいけないのですが、「医療を通じてアフリカと日本をつなぐことに貢献したい」という思いはあったものの、具体的に何をしたらいいのかよくわからなくて、ずっともやもやしていました。

そんなころ、ビジネスモデルを考える研究プロジェクトに取り組むことになり、人を集め始めたんです。

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でも、「アフリカ」と「薬」の組み合わせはマニアックなので、最初のころは全然賛同してくれる人がいませんでした。あきらめかけた矢先に、運良くサポートしてくれる同級生が現れたんですね。

結局、4人で研究をスタートさせることができました。

その後、ある人から、東京都主催のビジネスプランコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY 2014」を勧められ、応募しました。

 

– そこで、応募総数448のビジネスプランの中から見事、最優秀賞に輝きます。

 

置き薬は、私が研究を始めたころから軸に据えていたビジネスモデルでした。

アフリカにそのシステムを普及させたいというと、よく聞かれたのが、「薬を置いたからって、命が救えるんですか?」というものです。

グロービスでのディスカッションやビジネスコンテストの選考過程において、教授や経営者から、あまりに「本当に効果はあるのか」とツッコまれるので、モデルを1回潰してゼロから作り直してみたこともあります。

そのとき100個のビジネスモデルを考え、本当にアフリカの医療貢献につながるかどうかを、ひとつひとつ検証し直してみたんです。

徹底的に分析した結果、「置き薬」が最も課題解決に繋がる可能性があり、実現性という観点からも一番いいだろうと自信を深めました。

ツッコまれたときにきちんと論拠を語られるなら、自分の中でさまざまなものが固まっている証拠なんですね。考え抜いたからこそ、自信を持って運営できているんだと思います。

 

– 今後のビジョンをお聞かせください。

 

日本の製薬会社とのさらなる連携ですね。

すでに何社かには参加していただいているのですが、その横の連携が課題です。

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というのも、アフリカでボランティアをしている時も同じ問題がありました。

例えば、マラリアに対する活動においてマラリアに対する支援団体はいくつもあるんです。でも似たようなことを団体ごとにやっているので、めざましい変化につながらない。

各団体が力を合わせることができたら、もっと大きな事業になるはずなんです。

同様に、「置き薬」も、複合的な連携を取って展開できればと。現地で複数の団体と連携して運営できるようにするのが目下の目標です。

 

日本の製薬会社には、CSR(社会的な責任、貢献)として関わってもらうことも、ビジネスとして関わってもらうことも、私の中ではとても期待しています。

率直にいって、配置薬って決して利益率は高くないんですね。それでもアフリカの将来的な発展を見据えていけば、日本の薬剤のブランドが刷り込まれていくことによって、CSRとビジネス両面で良い効果が期待できると思っています。

青年海外協力隊時代は啓発活動などが主で、薬剤師ならではの専門知識はあまり生かせませんでした。

けれど、私がいちばんやりたいのは、医薬品の専門知識と、アフリカ支援のマッチングです。

 

私は医師ではなく、薬剤師だからこそ、薬を通じて貢献したいという思いがあり、置き薬のミッションが生まれたと思っています。

もともと私は「セルフメディケーション」の知識がとても重要だと考えています。みんな、病気になると病院へ行きますね。

けれど、ひとりひとりに予防やケアの知識が増えれば、受診の必要性も減り、病院の待ち時間改善など医療の状況もよくなると確信しています。

 

– 薬剤師とNPO代表という、やりがいのあるふたつの使命に邁進していらっしゃる町井さんですが、いま薬剤師として働いているけれど、何か物足りないような気がしているという人に、どうやって打ち込めるものを見つければよいか、メッセージをお願いします。

 

このあいだ、若い世代向けの転職セミナーでも同じことを聞かれまして、そのときおすすめしたのは、「自分の心をマーケティングすること」です。

自分は何をしているときに昂揚するのか。何に好奇心がわくのか。心の声を自分で聞いて、何かしら行動を起こしてみる。それしかないと思います。

まずは、「やってみたいな」と思うことにはとりあえず首を突っ込んでみるといいですよね。そうしたら何か感じることがある。自分にショックを与えるような体験があれば、自然と次のステップに踏み出せるのではないでしょうか。

他のメンバーも私のように、二足のわらじをはいています。薬剤師も、そうじゃない人もいますが、全メンバーが本職を別に持って活動しています。

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彼・彼女たちも皆、心で引き寄せられてきた人たちで、何か行動することで人生の幅を広げられている気がします。

 

私自身がいま勤めているのは、協力隊に行く前に勤めていた会社とは別の製薬会社で、がん治療を扱っています。前の会社で扱っていたのは、統合失調症・鬱病・水虫のような生死に直接関わりのない病気の薬でしたが、現業務では、がんなど命に関わる病気の薬です。

そして、ここでも患者さんだけでなく、家族との関わりを考える出来事がしばしばあります。たとえば、余命半年と診断された患者さんが、抗がん薬を投与すると寿命が2、3年延びると言われたとします。

でも、そうすると家族の生活にもまた違う影響がありますし、がん治療の苦痛は続くかもしれません。それは手放しに幸せだと思えなくて、考えさせられるんです。

なぜなら、アフリカならば、そもそも診断、そして治療そのものがかなわない地域もあります

 

日本では、治療するもしないも、どんな方法にするかも、自分で決められるんですね。

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選ぶことができるのは、ものすごく幸せなことだと思うんです。アフリカで死を身近に見てきたからこそ、より強く感じます。

製薬会社での仕事はずっと楽しんできましたし、いまも面白いです。でもNPOも面白い。たぶん、私はいろいろと受け入れてしまうんだと思います。

だからこそ、気をつけなくちゃいけないなと自戒するんですね。

日本人に生まれたからこそ、安易に過ぎ去ってしまう。

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やりたいこと、やるべきことにフォーカスしないと、自分の一生なんてすぐに終わってしまうなあと思うんですよね。

 

– 両立の大変さは、町井さんご自身がいちばん感じていらっしゃるでしょうが、そこまで自分をなげうつ情熱は、どこから湧くんですか。

 

周りからは「すこし休んだら」という声も上がりますね。私自身、やめた人生を考えてみたことがあります。そのときごく自然に、「それはあまり面白くないな」と思ったんです。

アフリカへ行く段取りも、メンバーや支援者みんなの協力があってできること。私は現地の最終ゴールを走ってつないでくる役に過ぎません。

いろんな人に助けられているから、私も刺激されるんですね。自分ひとりだったらぜったいできていない。後ろに誰もいなかったら寂しくなって、私も引っ込んじゃうと思います。

 

実は、結婚の予定がありまして。女性がトップだと、活動だけに注力しないといけないという空気もあるんですね。私自身、プライベートにかまけている余裕はないと思っていたこともあります。

ただ、ある時期から私も家族を作るような経験も積まないと、医療に関わる身として、家族という概念や親が子供を思う気持ちや周囲への感謝の気持ちなど、本当のところはわからないんじゃないかと思うようになったんです。

夫になる人は私の状況を理解してくれていますし、結婚についても何回も話し合ってきました。後ろでそっと応援してくれている、いい聞き役を得たなと思っています。

 

まだまだ課題は沢山ですが、これから自分自身を改革しつつ組織としても成長し、この活動を通じて自分なりの人生を一歩ずつ進めていきたいと感じています。

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町井恵理さん プロフィール

薬剤師。大学卒業後に製薬会社に勤務。2008年より2年間、青年海外協力隊としてアフリカのニジェール共和国に派遣され、感染症対策のボランティア活動に従事する。ニジェールでの経験を通し、医療問題を根本から改善するために、グロービス経営大学院へ進学。帰国後に2013年にNPO「AfriMedico(アフリメディコ)」を立ち上げる。

支援内容

日本の伝統的な「富山の置き薬」(配置薬)の仕組みをアフリカに広める活動を展開。家庭などに薬を預け、後に使用した分の代金を回収、薬の補充を行い、早期治療や重症化防止などを目的としている。現在、理事とプロボノ(専門知識を生かしたボランティアスタッフ)を含めて23人が所属。アフリカでの医療環境の調査、配置薬システムの普及、医薬品を通じた医療教育や知識啓発、アフリカの現況を伝えるためのイベント活動など。

 

※ 第1回 町井恵理さん【前編】はこちらからご覧いただけます。

 

ファーマシストライフ編集部 (取材・文/三浦天紗子)

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