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【第4回 後編】薬剤師もどんどん声を上げるべき時が来た – ヨガインストラクター・薬剤師 吉田奈央さん

薬学知識を生かしながら、ホリスティックで心身両面をサポート。
広い視野で、患者や地域医療に役立ちたい。

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自分自身の健康問題から、薬剤師として患者さんの健康とどう向き合うべきか、薬はどんな役割を果たせるのかを、以前にも増して考えるようになったという吉田さん。
折しも、2016年4月の診療報酬改定に伴い、「かかりつけ薬剤師制度」が新設されました。今後、薬剤師のあり方はどう変わっていくべきかを、うかがってみました。
※ 吉田奈央さんへのインタビュー【前編】はこちらからご覧いただけます

 

患者さんのために、地域医療のために、薬剤師もどんどん声を上げるべきタイミングが来た。

 

ー薬剤師とヨガインストラクターという2つの資格保有者となり、また吉田さんご自身が病気で苦しんだことで、「健康」や「薬」について、あらためてどんな思いが湧きましたか。

 

そうですね。WHO(世界保健機関)では、健康の定義を、「病気ではないとか弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」としています。

社会的というのは、家族や職場、地域に豊かな人間関係を結んでいるかどうかですね。

私自身も、そうした全体のバランスが人間にはとても大切だと思っています。

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ーこれまで吉田さんが勉強してきた、ホリスティック医療の観点が得意とする分野ですよね。

 

たとえばヨガにしても、日本ではだいぶ誤解されている部分があります。

ヨガはポーズを取ることが大事なのではなく、心と体のつながりを意識し、心をコントロールできるようにするのが最終目的

ダイエットや美容の効果に陽が当たりがちですが、呼吸に集中することで思考をリセットできたり、ものの見方を変えたりできるのが、ヨガの本質なんです。

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ヨガをすることで自然治癒力が上がると言われています。

それをたくさんの人たちにどうアプローチしていけばいいのか、まだ自分の中では方法は固まっていないんですが、より広い視野に立って、メンタルとフィジカルの両面からみんなの健康をサポートしていくのが、自分の役割ではないかと思うようになりました。

そう考えると、自分が医師ではなく薬剤師であることがプラスなんです。

なぜなら医師とは異なり薬剤師は全ての科を対象にしており、それぞれの薬のつながりもわかっているため全体的に健康の相談にのることができる。

心身のバランスをサポートすることと、薬剤師の知識をどうリンクさせていくのかは、私自身の課題でもあります。

 

ー翌年の’15年に、ニューヨークへヨガ留学されましたよね。公式の資格を得たことが自信になったんでしょうか。

 

いえ、逆なんですよ。ニューヨークに行ってむしろ自信をなくしました(笑)

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資格は取ったんですが、とてもカリキュラムが厳しかったので、もともと体も硬く、スポーツマンでもない自分が、体を使ってちゃんを教えられるのかと悩み、どーんと落ち込んで…。

 

ーそのどん底からどうやって立ち直ったんですか。

 

はっきり覚えていないのですが、信頼できる人たち…身近な人ばかりではなく、周囲にはいないような人とも率直に話をして、少しずつ視点を変えることができたからですね。

悩みながらも薬剤師の仕事をきちんとして、日常を取り戻していくうちに、「こうやって堂々めぐりしている時間も一生は続かないだろう。やがて答えが出るだろう」と悟ったというか。

気持ちを切り替えてやり過ごすうちに、私自身が変わっていきました。

「なるようになる」という考え方ができるようになったのは、ヨガのおかげかもしれません。

 

以前、メンタルクリニックの処方とその他の処方の割合が半々くらいの門前薬局に勤めていたことがあるんです。

薬剤師仲間でも話題になっていたんですが、精神科が処方する薬は、一度はよくなってやめても、うち半数くらいはまた戻ってくる。この薬で完治しました!という人はまず見たことがありません。

メンタルを薬でコントロールするのは難しいというのが実感でした。

 

実は、家族も精神科の薬で問題を抱えたことがあって、一種のトラウマなんです。

家族の看病の末に自分が精神的に追い込まれた時、「薬を飲んで楽になりたい」と思わなかったわけではないですが、薬剤師として見てきた現状や実際病院に行く勇気もなくて。

オーストラリアで学んだアロマやハーブを使ったり、色から自分を理解していくオーラソーマとの出会いもあり私の心は回復していきました。

こうした薬に頼らないケアにしたのは正解だったと思っています。

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ーさて、2016年からの診療報酬改定で、「かかりつけ薬剤師」制度が新設されました。薬剤師や薬局に新たな役割が課せられるようになります。それについてはどう思いますか。

 

ひとりの患者さんに対しひとりの保険薬剤師が「かかりつけ薬剤師」となる。服薬状況や患者さんの状態をより密に見ていけるようになったわけです。

そこにはやはりプラス面もマイナス面もあります。

ひとりの薬剤師が患者さんの全ての薬について継続的に管理するので、患者さんが安心して治療を続けていけることはメリットですが、これまでのように定期的に何人かの薬剤師がその患者さんの全体像を広く複眼的にチェックすることがなくなれば、薬剤師の目は一元的になってしまう。諸刃の剣かもしれません。

ケースバイケースだと思いますが、個人的には今まで通りの「ひとりの患者さんにひとつの薬局」というスタンスを制度として強化する形の方が良かったのではないかと思います。

その方が多くの患者さんに適用でき、かかりつけ薬局という概念がより浸透したのではないかと思うからです。

また、いかにこの制度を世の中に正しく認知してもらい、必要であると思ってもらえるかも課題だと思います。

 

薬剤師の仕事は現状でも、オーバーワークと感じています。

お昼休みの1時間以外は、お茶を飲む時間すらなく、何時間も集中しっぱなしというのが常態化しています。

薬剤師は最後の砦なので、安全に確実に薬をお渡ししなくてはいけない。だから相当神経を使って仕事をしています。長時間の勤務ですと正直疲れ果ててしまいます。

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医師も同じ状況ですが、ちょっとしたブレイクを持つことでパフォーマンスはもっと上がるはず。

にもかかわらず、4月からは、担当患者から24時間相談に応じる体制になるので、ますます過酷です。

それがどんな影響として出てくるのか不安もあります。

 

いずれにしても、この改正によって、昔のような「町の薬屋さん」という地域密着の役割がさらに期待されていくのであればなおのこと、薬剤師がもっと声を上げて、就労環境を改善し、地域住民の健康に寄与できる身近な存在に変わっていければいいなと思っています。

 

ー最後に、今後のビジョンをお聞かせください。

 

薬剤師という仕事は、法律によってサービスの領域は定められています。

ヨガの仕事は真逆で、自分でいくらでも創造力を働かせてレッスンができる。ニーズに応えて柔軟に自由に作り上げていけるところに魅力を感じています

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今後は今まで学んできたアロマセラピー、オーラソーマなどを組み合わせたオリジナルでユニークなヨガを提供しつつ、薬剤師の経験を生かした健康の相談にものることのできる存在になっていきたいと思っています。

健康を維持することは高齢化社会にともなう医療費増大を軽減することにもつながってきます。

その一つの方法として呼吸をコントロールすることで自律神経を整え心と体をつなげ、自然治癒力を上げていくヨガに可能性を感じています。

 

薬剤師を辞めたいと悩んだこともありますが、最近は、薬剤師も私のひとつのアイデンティティーだから、ヨガの仕事と両方とも必要だと思うようになってきました。

そのバランスがあってこそ自分が世の中に貢献できるのではないかと。

たくさんの葛藤を経て、ようやく自分の道が見えてきました。どんな経験も無駄ではなく自分の道へとつながっていくものだとしみじみ感じています。

今後は、地域医療にも貢献しているような、健康をトータルにサポートする薬局に所属して、そこでヨガもできたら最高ですね。

個人的にはまだまだヨガでの仕事は多くないので、ヨガインストラクターとして活躍できる場をもっと増やしていきたいです。

 

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吉田 奈央(よしだ なお)さん プロフィール

1979年、広島生まれ、千葉育ち。2003年、東邦大学薬学部を卒業。調剤薬局勤務を経て’09年にワーキングホリデーでオーストラリアに。豊かな自然に癒されアロマテラピーを学んだり、小学校英語指導者資格を取得。’11年に一時帰国した際に、福島で被災。再びオーストラリアへ戻り、’12年に帰国、転勤で仙台へ。’13年より東京。’14年に潰瘍性大腸炎を発症。病気を機にさまざまな気づきや出会いを得て、ヨガのインストラクターになることを決意する。’15年の夏にニューヨークに滞在し、全米ヨガアライアンス200時間を取得。

活動内容

現在は派遣の薬剤師として病院に勤務。また、「ヨガで心も体も健やかにHappy Lifeを!」をモットーに、フリーランスのヨガインストラクターとしても活動中。

※詳しくは、ブログ Ph.Nao’s Blog Integrative Beauty | 薬剤師 Nao

 

※ 第4回 吉田奈央さん【前編】はこちらからご覧いただけます。

 

ファーマシストライフ編集部 (取材・文/三浦天紗子)

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