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初めての薬局経営→失敗→再チャレンジ! – ららくま薬局 熊谷信さん【第2回】

長野県諏訪市で薬局を開業した熊谷信さんに薬局薬剤師と薬局経営の「今」と「未来」というテーマでお話を伺っています。

 

第2回目の今回は、熊谷さんの薬局開業エピソードや薬局経営を行う上で大切にしていることについて、詳しくお話を伺いました。

自ら意思決定できる独立の方が目的達成しやすいと思った

―どうして独立したいと思われたのでしょうか?

熊谷:

勤務薬剤師のほうが楽だという人もいますが、意思決定の自由度から独立を考えました。
サラリーマンと独立した場合とでは大きく違いますから。

サラリーマンとして働いていたトヨタ時代、また勤務薬剤師として働いていた頃を振り返ってみると、確かに給料をもらっているときは非常に楽でした。明日からの生活に困るといったことはまずありませんから。

しかし、自分の中にある「地域に貢献したい」という目的を達成するという事を考えると、やはり勤務薬剤師でいるより独立した方がそれを遂行しやすいのです。

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1度目の独立開業 -「何とかなるだろう」という思いが甘かった

―1度目の独立は薬学部を卒業してから何年目でしたか?

熊谷:

上田市の薬局で働いた後なので、卒業して2年目ですね。友人や家族に相談して、最終的には自分で決断しました。

少し早いように思われるかもしれませんが、私の場合は年齢的なこともあるため、早くに独立をしてしまいました。

しかし、もう少し勉強をしてからでも良かったと思っています。

 

―当時を振り返ってみてどうですか?

熊谷:

勤務薬剤師として2年やれば、一通りの薬局のフローは理解できますが、それが心底行動として身に付いているかというと、やはり少し話が違うんですよね。

当時は、「開局すれば何とかなるんじゃないか」という考え方がどこかにありまして…

経営コンサルタントの友人に相談した際、「自分のお手本になるキレイな絵がひとつあればいい」というアドバイスをもらって、その時はそうだなと思ってしまったんですが、もっと色々な絵を見ておいて、その中から良いところを取り入れるようにするべきでした。

独立前にもう少し長く「修行」をしてみるとか、他の業界を見てみるなどしても良かったなと。

例えば、立地の選定ですとか、経営的なことの判断ですとか、その辺りで「まあ何とかなるだろう」という思いがどこかであったのですよね。そこは非常に読みが甘かったところでした。

店をたたんだ当時はいろいろな要因があったと思っていましたが、一番の要因は”自分の努力が足りなかった”、”気持ちが追い付いていなかった”のではないか、今はそう感じています。

 

イキイキと仕事をするために2度目の独立開業を考える – 勤務薬剤師 再び –

一度店をたたみ、勤務薬剤師に戻った熊谷さん。再度、開業しようと思った背景にはどんな思いがあったのでしょうか。

―2度目の独立に至るまでには、どんな思いがあったのでしょうか?

熊谷:

いや、再び勤務薬剤師になった当時は、まさかもう一度自分で開局するなんて思ってもいませんでした(笑)ところが、色々な要因があり再び開局することになりまして…

気持ちとしては、リベンジ的な気持ちが半分イキイキと仕事をしたいという気持ちが半分ありました。

再び勤務薬剤師として働くことになった職場は非常に働きやすくアットホームで良かったのですが、お薬を渡して薬歴を書いてというルーチンワークの中に、自分のやりがいを見出すことができなかったのです。

もちろん、どこの薬局でもルーチンワークが中心にはなりますし、その薬局で決してやりがいがなかったわけではありません。

しかし、段々と「自分がイキイキと仕事ができていない」と思えてきたのです。
それならば多少苦労をしても自分のやりたいようにやりたいと。

それと、勤め人だと自分で業務のコントロールができず、なかなか身軽に動けないところにも歯がゆさを感じていました。

例えば、勤務薬剤師ですと在宅の話などが来たときに、すぐに話を聞きに行ってあげたくても、上司の許可を取ったりシフトを調整したり…と色々な行程を踏まなくてはいけません。

そういうことなどを経て、もう一度、自分で独立開業をしてみたいという気持ちになりました。

 

まずは患者さんとの信頼関係の構築に努める – 2度目の独立開業 –

こうして、2014年4月には長野県諏訪市に「ららくま薬局」を開設した熊谷さん。

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熊谷さんにとって、薬局経営で大切なこととは何なのか聞いてみました。

―開業してもうすぐ1年半ですね。経営面は順調ですか?

熊谷:

経営については開業してまだ1年半ですから、順調かといえば正直まだ軌道に乗らない部分もあります。
ただ、それでも今は非常に楽しくできていますし、とても充実していると感じています。

例えば、今オペレーターとして1人来てもらっていますが、その人と「これはよくないんじゃないか」「この業務フローは変えたほうがいいんじゃないか」といったことも、徹底的に話をして業務改善を図っているんですよね。

患者さんから声がかかればすぐに飛んで行けますし、そういう意味で非常に良い環境で仕事ができていると思っています。

 

―現在、お店で取り組んでいることはありますか?

熊谷:

やはり、まだ開業して1年半ですから、まずは患者さんとの信頼関係を構築することを考えています

そのためには、患者さん一人一人の生活、服用している薬、キャラクター(性格)を見極めて、その人に合った方法で患者さんごとに対応を変えています。

そして患者さんの生活の質を上げられるよう努力しています。

決して自慢ではありませんが、「薬局でこんなにようしてくれたのは初めてだ」とか「こんなに相談ができたのは他の薬局ではないよ」と言われることが、少しずつ増えてきましたね。

 

薬剤師が独立するために必要なこと

―独立を決意し、開業するまで…まず何をすべきでしょうか

熊谷:

そもそも、一人で開業するには限界があります。

薬局を開くにあたっては、まずは仲間を作ることが大切だと思います。
仲間と言っても友達ではなく、開業する際のパートナーとなってくれる友人や、取引先であったり。

そして、

  • どこに開局するのか
  • 人の流れはどうなのか
  • 収支予測はどうなのか など

こういった様々なシミュレーションを行うことも大切です。

仕事をしながら一人で開業の準備をすべてするというのは非常に難しいものですが、私の場合、薬局開局にあって、今の従業員もそうですし医薬品の卸も協力をしてくれ、とても感謝しています。

中でも特によく相談したのは、薬局に出入りしている医薬品業者さんですかね。
地域の医療機関の動向や立地はどこがいいなど、いろいろな情報を持っています。

そういう方たちがお手伝いをしてくれたので、開業の際には非常に心強い存在となりました。

 

―開業までの準備期間中に一番大変だったことは何ですか?

熊谷:

勤務薬剤師としての仕事をしながらの開業準備はとても大変でした。

時間的な制約がある中で、勤務時間外にほとんどのことをしなくてはなりません。
そういう意味でも、一人ではなく、パートナーの存在は欠かせませんね。

 

―今まで働いていた薬局での良い点は取り入れていますか?

熊谷:

4つの薬局を経験していますので、色々なところを見てきて、良かった点、悪かった点はそれぞれにあります。

そういったところを自分で薬局を立ち上げる際には、建物の設計の段階から入れ込んでいます。

もちろん、業務の中でもそうです。

例えば、患者さんに渡すお薬を入れるビニール袋ひとつをとってもいわゆるレジ袋のようなものに入れているところが多いと思いますが、そうではなく外が見えないような袋にしています。

通常のレジの袋より少し高いのですが、最初の上田の薬局でお薬を入れるときに、そうしていたことから自分の薬局にも取り入れました。

お薬がレジ袋に入っているかいないかはまったく意識の問題なのですが、そうしたところでも患者さんに少しでも満足していただければと考えています。

そんなちょっとした工夫なのですが、患者さんが少しでも満足して帰ってもらえるような工夫ができたらいいなと思い取り入れているつもりです。

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―薬局経営を目指している人は、やはり色々な薬局勤務を経験しておくべきでしょうか?

熊谷:

そうですね。幾つかの薬局を経験するのもいいでしょうし、他にも病院薬剤師をやってみるとかMRをやってみるとか、そういうルートから薬局を開局するのも、とても良いと思います。

自分が給料をどうやって稼ぐかとなると、なかなか会社勤めだけしているとそこまで意識が回らないですよね。

そういう意味で、色々なところでどんな方法でコネクションを作っていくのかとか、仕事をとってくるのかとか、そういう具体的な方法を色々と持っているのは自分が薬局を経営する上でも良いと思います。

 

―最後に、ズバリ!独立に必要な心構えとは何でしょう?

熊谷:

全て自分の意志で決断ができますが、それに対して責任が伴います。
その責任をすべて受け止めるだけの覚悟が必要です。

雇われている身と経営者。一番の違いは、仕事に対する意識の違いが大きいのではないかと思います。

一概にどちらがいいとは言えませんが、個人的には、独立することをオススメしますね。

 

>【第3回】これから生き残る薬剤師と薬局に必要なこと に続く

 

熊谷信(くまがい しん)
薬剤師。1973年長野県生まれ。96年信州大学経済学部卒業、2002年東邦大学薬学部卒業。自動車ディーラーの職に就くが、「自分で薬局を開きたい」との思いから、社会人入試を経て薬剤師に。2004年、くまがい薬局を開局したが、3年4カ月で廃業し、勤務薬剤師に。2014年4月、長野県諏訪市にららくま薬局を開局。
ご本人のブログ「薬局のオモテとウラ」が連載中の他、日経DIコラム熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」、薬局新聞コラム「ソーシャルPメンター&ニュース」も執筆中。

[取材・文:川端真弓]

次回はいよいよ最終回。
「これから生き残る薬剤師と薬局に必要なこと」について、熊谷さんに詳しく伺っていきますよ。お楽しみに!
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現役薬剤師・エリコ

都内の調剤薬局に勤務中。

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