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復興支援活動をきっかけに薬剤師として被災地へ移住 – 名古屋茜さん

地域密着、子どもたちとの触れ合いで感じた 薬剤師として『人の役に立つ』手応え - 第5回 マイ・ファーマシストライフ! 岩手県大船渡市「とうごう薬局」管理薬剤師 名古屋茜さん

なごや・あかね 1983年、東京都出身。2006年、北里大学薬学部薬学科を卒業。同年、地域密着型のドラッグストア運営会社に入社、品川区にある調剤薬局に配属される。1年2ヶ月で退職し、以後、派遣薬剤師として約4年間働く。2011年の東日本大震災直後から陸前高田や大船渡、福島などさまざまな被災地で、ボランティアに参加。その中で、薬剤師を含む医療人のニーズを強く感じて、移住を決意する。同年の夏より岩手県気仙地域のロッツ株式会社に入社。同社が陸前高田市に開設した調剤薬局に配属される。現在は、大船渡市の調剤薬局「とうごう薬局」に勤務。

 

復興支援活動をきっかけに、薬剤師として被災地へ移住

名古屋:

薬剤師になりたいと強く思っていたわけではないんです。祖父母が重い病気や障害に苦しんでいたので、進路を決めるときには、医療や栄養学など理系畑で人の役に立てる仕事がいいと考え、薬学部を選びました。

最初の就職先では、患者さんといろいろお話したりできるのは楽しかったですが、想像していたような環境ではなかった気がします。

1年2ヶ月ほどでその会社を辞め、派遣会社に登録。昼間は派遣の薬剤師として働き、仕事のあとは友達と飲みに行ったり……。ストレス発散した分、仕事もがんばるという生活も楽しかったですが、薬剤師としてのやりがいがどれほどあったかと言えば、微妙でした。

 

名古屋:

東日本大震災が起き、縁あって、いま私が働いているロッツ株式会社が行っていた被災地支援に参加するようになりました。仮設住宅の人々に支援物資を配りに行くなどの活動に始まり、次第に被災者から直接話を聞いて調剤や投薬に関わるように。

被災地域の大変な状況を目の当たりにして居ても立ってもいられず、すぐさま移住を決めました。自分の寝場所と食事が確保できれば充分、「微力でも役に立ちたい」というささやかな決意でした。

本当に、衝動的にです。冷静だったら転職していないかもしれませんね(笑)。

私はもともと、誰かに相談したりせず、何でも自分で決めてしまって事後報告というタイプ。なので「思い切ったね」と応援してくれる人も、「何でまたあなたが?」と批判的な人も、周囲の反応は両方ありましたね。ただ母は、あれこれ言わずに送り出してくれました。

 

名古屋:

震災で突然価値観が変わって、ボランティアなど支援に目覚めたというのとは違うような気がします。

社会人になって学生時代のときとは違ういろんな方々との出会いがあり、それによって自分の価値観や考え方が少しずつ広がってきていたんだろうと思います。

被害の大きかった陸前高田市プレハブの薬局を作るという復興支援活動を手伝ったのち、大船渡での薬局開設や運営に携わることとなりました。

自分がそういう活動ができる人間だと思っていなかったので、我ながら不思議な気持ちです。我が事ながら、人間にはいろいろな可能性があるのだと、ひしひしと感じましたね。

現在は、その「とうごう薬局」の管理薬剤師を務めるかたわら、会社の経理や総務的な業務、母校での講義、地域の学校薬剤師、介護認定審査委員、大船渡青年会議所の会員などをしています。

 

子どもたちの「ありがとう」に支えられ、職場では笑顔が絶えない

名古屋:

もともとあった薬局が震災でなくなってしまい、その代わりにできたのがこの調剤薬局です。

小児科の門前なので、主な患者さんは子どもたち。高齢の患者さまのように薬局でのんびり時間を遣うことはなく、早くお薬をもらって帰りたいお母さんやお子さんが多いので、スピーディーに、かつ、きちんとお薬の説明やアドバイスもできるよう意識しています。

私という薬剤師を信頼して、この薬局に足を運んで下さる患者さんもいます。「いてくれるだけでありがたいよ」と言ってくださる患者さんもいます。

 

名古屋:

患者さまやそのご家族には歓迎されているという自負はありますが、せめて薬剤師がもうひとりいたら、もっとお待たせしないで薬が渡せるのにと、そこはジレンマですね。

地域密着で、周辺の患者さんたちに必要とされている感覚があるので、とてもやりがいはあります。

この気仙エリアは薬剤師会の横のつながりが深く、地域活動や勉強会、他薬局の薬剤師さんや地域の医師、歯科医師といったコメディカルの方々との交流が盛んなんです。

東京で働いていたときは、複数の薬局が同じ地域にあっても、薬の貸し借り程度の交流しかなく、まして薬剤師同士がつながているような状況ではありませんでした。

また、医師が明らかに間違った処方箋をよこしても、率直にそれを指摘できるような空気がなくて、薬剤師の仕事を無力だと感じる場面もあったのですが、いまはそういったことはほぼありません。

ここでは、地域のネットワークを強くしていこうという流れがすでにできています。ほかの地域ではあまり聞いたことがないので、働く上でとても魅力的です。

 

また、子どもたちの成長を見ながら働けるのはとても楽しいです。東京時代も、世話好きなおじいちゃんおばあちゃんからお菓子をいただいたりはあったんですが、子どもは、自分が意識していないような働き方も見てくれていて、「ありがとう」と言ってくれます。

道端の花を摘んできてくれたり、折紙を折ってくれたり、手紙や似顔絵をくれたり……。みんな私の宝物です。それが本当に不意打ちなので、ときどきうるっとしてしまいます。

 

名古屋:

一方で、自分がいないと薬局がまわらない状況は、大きな悩みです。会社の役割でいえば、私がいなくても薬局業務が成り立つようにしなくてはならないことは課題だと感じますし、地域で言えば、薬剤師不足人口流出をどう解消するかを考えなくてはいけません。

薬局を、小児科病院に合わせて開けていると、休みは週に1日だけなんですね。

陸前高田にいたときは、1軒だけですが、その患者さまの担当医から頼まれて薬を届けるという業務もやっていました。体制が整えば、薬剤師として在宅介護にも関わりたいのです。

 

患者さまから指名される薬剤師になるのが目標

名古屋:

薬を渡しているだけでは、人を健康にさせることはできません。

病気、たとえば、風邪やインフルエンザなら、服薬で菌が殺せれば体調がよくなるとか症状が軽くなるというのもありますが、生活習慣病は薬だけではどうにもならず、食事や生活を変えるところも並行してやらないと、よくならない。

薬剤師らしくない発言かもしれませんが、本当は健康を回復して薬をやめられるのが一番じゃないですか。なので、栄養学サプリメントアロマテラピーなど薬物療法以外のアプローチで、根本的な病因解決や生活習慣改善のサポートができる、健康アドバイザー的な薬剤師になりたいと思うんです。

 

名古屋:

「笑う門には福来たる」の精神が好きで、業務中は日々そんな明るさを大切にしています。

私は母子家庭で育ちました。父はギャンブルで借金を作るような人だったので、家にお金はなかったです。

けれど、母は「お金がないからできない」とは決して言わず、「何とかなるからやってみたら」と、私がやりたいと思ったことは絶対に応援してくれる母でした。

それでも苦しいことはあったけれど、くよくよしていてもしようがないし、自分が楽しくしていれば、いいこともやって来る。そういう感覚でいつもいられたのは、母の影響かもしれないと思います。手に職があったわけではなく、パートでずっとがんばってきてくれました。心から尊敬しています。

 

これから薬剤師になる人に伝えたいことがあるとすれば、どんな自分になりたいかをできるだけ明確にし、そのゴールに向かって仕事などに取り組んでほしいということです。

フットワークを軽くして、なりたい自分になれる場所へ身を置く勇気も大事。たとえば私は、管理薬剤師になりたいと思っていたわけではないけれど、ならざるを得なかったわけです。

そうなったとき、自然と、薬局や地域医療をよくしていきたいという意欲も湧いてきました。

取り巻く環境や立場が人を成長させるという事実をあらためて実感しています。

 

「一緒に働いてくれる薬剤師さんを募集してます! 興味がありましたらロッツ株式会社までご連絡ください」

 

これまで日本になかった、薬剤師の新しい活躍の現場」や「医療介護の観点から、地域・人々のニーズに合わせた事業」を作り上げてきたロッツ株式会社が 東京都主催のイベント『TOKYO STARTUP GATEWAY』で講演を行います。

  • テーマ: 特区での最新事例から学ぶ、医療介護を根っこから変える方法 ~真の「患者中心の医療介護」への挑戦のプロセス~
  • 日時: 2018年2月4日(日) 13:00〜15:00
  • 会場: ニュー新橋ビル305C

復興特区での訪問投薬について話を聞いてみたい方や、求めているすべての人に薬を届けるために薬剤師の力を存分に活かす方法を知りたい方は、TOKYO STARTUP GATEWAY (主催: 東京都)のページをご覧ください。

※ 講座は終了しました

 

※ページ内の写真は 薬局や患者さん・ご家族より許可を得て撮影したものを使用しています

ファーマシストライフ編集部 (取材・文/三浦天紗子、写真/蝦名恵一)

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現役薬剤師・エリコ

都内の調剤薬局に勤務中。

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