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【後編】2022年度 薬局アワード最優秀賞―徳吉薬局さかえまち 特別インタビュー

第6回「みんなで選ぶ 薬局アワード」で最優秀賞を受賞した 徳吉薬局さかえまちの徳吉雄三さんと、薬局支援協会 代表理事の竹中孝行さんの特別インタビュー【後編】です。

医療DX(デジタルトランスフォーメーション)が進められるなか、薬局業界でも各社業務の効率化・質の向上が強く求められています。そんな2023年以降の薬局・薬剤師の可能性について、徳吉さんと竹中さんにお話を伺いました。

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「医療のオンライン化」により、薬局・薬剤師が目指すべき方向性

竹中:
世の中の変化のスピードが早いため、まず、薬局や薬剤師はそれに柔軟に対応していく必要があると思っています。

例えば、オンライン資格確認や電子処方箋。これらが進めば、得られる患者さんの情報は増えますので、今まで以上に薬剤師ができることも拡がっていくと思います。その次は、得た情報を活かして、どのように患者さんに還元できるか、そこが問われていくかと思います。

徳吉:
仰る通りですね。そのためには、患者さんとの対話を通じて見えてくることに対して、どうやって薬剤師が薬学的知識をもって解決できるかという基本的なことをさらに強化しないといけないと思います。それが前提となれば、医療のオンライン化は避けて通れないでしょうから進めていくべきです。

竹中:
医療のオンライン化が進めば、いよいよ薬局が選ばれる時代に入っていくと思います。

地域でどのようにして選ばれるかが課題となるかと思いますが、私自身はブランディングをどう形成するのか、この部分について面白さを感じています。

徳吉さんは今後どんな取り組みが重要になるとお考えですか。

徳吉:
私自身は、医療のオンライン化が進んだ際に、医薬品の配送についても、いずれインフラ化すると思っています。こうしたなかで、患者さんの状態をどのように把握するか、という取り組みが重要となると考えています。

そのために私たちが考えているのは、患者さんと対話することを前提としてですが、今後ウェアラブルデバイスによる患者さんの状態の把握への挑戦です。さらに、検査試薬等の充実化、血液検査項目の拡大を視野に入れ、現在薬局で行っている「検体測定室」の強化を検討しています。

※画像はイメージです

竹中:
患者さんの状態を把握できていることは、今後薬局にとって大きな強みになりますよね。

一方で、高齢化に伴って社会保障費が増大しています。医療介護において限られていく予算で、質の高いサービスをどのように提供していくのか、そこにも課題を感じています。限られた予算で質の高いサービスを提供していくためには、効率化が必須だと思っています。

徳吉:
医療のオンライン化の際に、必要な効率化はやるべきだと私も考えています。ただし、近年需要が増している在宅医療においてはオーダーメイド医療が求められていますね。

竹中:
仰る通りです。在宅医療については一件一件、患者さんやそのご家族の希望に寄り添い、丁寧に接する必要がありますので非常に手間と時間を要します。まだまだ課題は多いですが、少しでも効率化できるよう、情報共有の工夫やICTツールなど使える部分は積極的に活用するようにしています。

薬局・薬剤師が創意工夫に挑戦する際に重要なこと

竹中:
これから創意工夫した取り組みをしようと考えたときに、薬局・薬剤師の方々はどんなことをしたらよいと思いますか? 最優秀賞受賞薬局の徳吉さんから、ぜひ取り組みについてアドバイスいただきたいです。

徳吉:
まず今後、電子処方箋や医薬品の配送など、薬局にとって試練なのか、チャンスなのか、ということが問われると思います。良かれ悪かれ、患者さんの受診行動は変わります

その際に、押さえておくべきことは既存の店舗機能だと思っています。今ある店舗に患者さんが処方箋を持ち込むことがなくなった場合、患者さんが薬を取りに来なくなった場合に、我々、薬局・薬剤師はどうするのか? ということを考えていくと、創意工夫のアイデアが生れてくるかもしれません。既存店舗の活用方法は、創意工夫の種になると思います。

徳吉:
日頃の業務を通して、患者さんと薬の話だけではなく、世間話や困りごとを聞いてメモを取りためておくのも良いと思います。ちなみに、いまの鳥取市の課題はスーパーマーケットが閉店していることなんですが、こうしたことにより、患者さんやその家族は何に困るのか、行政は何に困るのか、そのとき私たちにできることはあるのかと検討しています。

竹中:
たしかに地域によってニーズはさまざまですので、困りごとを聞いているうちに「こんな取り組みをすると良いんじゃないか」という新しい発想に繋がると思います。やはり、まず大切なのは、患者さんや地域の声に耳を傾けること、ですよね。

徳吉:
あとは、 勤務薬剤師の方の場合は決定権などもあるでしょうから、経営者の方とのコミュニケーションをよくとり、普段から個別課題等を共有することが大切だと考えます。私もよく薬剤師のスタッフから、「この前、患者さんがこんなこと言っていました」と聞くことがあります。聞くと、色々と考えが芽生えると思います。

竹中:
アイデアが生まれたときに、薬局で共有しあって皆で取り組んでいくことも大切ですよね。

私自身は薬局経営者でもありますが、薬局が創意工夫に挑戦する際に重要なことは、スタッフのやりたいという気持ちを大切にすることだと思ってます。まず、挑戦したいという気持ちが芽生えていることが素晴らしいことですので、応援する、サポートするという気持ちで、周りの方が関わっていくことが重要に感じてます。

実際に挑戦するところまできたら、まずは、やり続けることを目標にすることも大切に思います。「継続は力なり」ですので、最初から上手くやろうと思わずに長期戦と思って取り組んでいくと少し気楽に感じるのではないでしょうか。

だから、ご自身が良いと思ったことを、まずはやってみる。この気持ちが大切かもしれません。やってみてからPDCAをまわして、改善していくうちに取り組みとして仕上がっていくのだと感じています。いきなり大それたことをやろうと思わなくて良いんですよね。

おわりに

竹中:
皆様のお力添えがあり、今年で第7回を迎えるイベントとなりました。いつも薬局アワードを応援してくださる皆様、本当にありがとうございます。薬局の皆様の取り組みに負けないように、イベントも進化していきます。引き続き、宜しくお願いいたします。

徳吉さんからも、薬局アワード参加を考えている薬剤師の方々へ何かアドバイスをいただいてもよろしいでしょうか。

徳吉:
そうですね…。私から、特にこれからの薬剤師さんにお伝えしたいことは、既存の薬剤師の業務をしっかり鍛錬しておいた方がよいということです。鍛錬されていることで患者さんとの会話にも余裕が生まれます。余裕が生まれると、患者さんの困りごとがよくわかるようになります。あとは、地域の事情を良く知ることです。良いアイデアはそうしたことから生まれると思います。

竹中:
ありがとうございます。薬剤師としての力を磨き、地域をよく知る。本当に大切なことですよね。

最後に私からは患者の方、薬剤師・薬局の方、それぞれに向けてお伝えしたいと思います。

まず、【患者の皆様へ】
目まぐるしい変化のなかで、薬局の取り組みも見えないところで進化してきています。今年の薬局アワードでもぜひその進化を知ってもらって、ご自身の健康の管理に役立てていただきたいです。

そして、【薬剤師・薬局の皆様へ】
薬局アワードでは、毎年こんな薬局の取り組みがあるのか、という新しい発見ばかりです。今年度も、素晴らしい薬局の取り組みが集結するかと思います。ぜひご自身の薬局、薬剤師としての取り組みの参考にしていただき、地域のため、患者さんのために、一緒に業界を盛り上げてゆければと思います。

徳吉:
私自身も参加してみて、他の薬局の皆様が、いろいろな取り組みをされていて大変勉強になりました。地域住民の方のニーズや取り組み効果を聞き、やはり課題やニーズは地域ごとに違うのだなということも感じることができました。

竹中:
そう仰っていただけると主催冥利に尽きます!

徳吉さん、竹中さん。ありがとうございました。

<プロフィール>
徳吉雄三 とくよし・ゆうぞう 株有限会社徳吉薬局 専務取締役、薬剤師。1977年生まれ、鳥取県出
身。法政大学経営大学院イノベーションマネジメント研究科(MBAコース)卒業。鳥取市を中心に約40年開局している徳吉薬局で働く傍ら、地元大学の医学部医学系研究科博士課程に所属、医療・ヘルスケアにおけるウェアラブルデバイスの応用を研究する。一般社団法人薬剤師あゆみの会の理事など兼任。
竹中孝行 たけなか・たかゆき 株式会社バンブー 代表取締役、一般社団法人薬局支援協会 代表理事、薬剤師。1984年生まれ、静岡県出身。共立薬科大学卒。外資系製薬会社に勤務後、調剤薬局勤務を経て独立。薬局事業、介護事業、岩盤浴ヨガやエステなどの美容事業、コラム執筆・監修などのメディア事業などを手がける。

取材/ファーマシストライフ編集部
写真提供/薬局支援協会・徳吉薬局

みんなで選ぶ 薬局アワードとは? 】
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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