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たなべ薬局 久保山店薬局の取り組みとは -第6回 みんなで選ぶ薬局アワードのプレゼン紹介

今回は「第6回 みんなで選ぶ 薬局アワード」に代表薬局として登壇した、たなべ薬局久保山店(東京都) 川田祐介さん、丸山恵理子さんのプレゼンテーションをご紹介します。

野菜から広がる地域のふれあい健康「道の駅」コロナに負けず笑顔の輪を広げたい!

それでは、たなべ薬局 久保山店の取り組みをお話させていただきます。テーマは、野菜から広がる地域の「ふれあい健康道の駅」薬局としてコロナに負けず笑顔の輪を広げたい、になります。

本来であれば、2次予選会でお話をしてくれた調剤事務の丸山から今日も発表してもらえればよかったんですけれども、残念ながら都合がつかないということで、私、川田のほうからお話をさせていただきます。

薬局と近隣地域の紹介

まず、私共、田辺薬品株式会社の紹介をさせていただきます。東京都に11店舗展開しております薬局チェーンになります。私共は「調剤薬局のその先へ ヘルスケアコミュニティを目指して」を理念としまして、地域の皆様により良いサービスを日々、目指して頑張っているところであります。

さて、我が、たなべ薬局 久保山店は八王子市にございます。

八王子は高尾山があり、大学も多く、そして歴史も深い。東京都にある市なんですけれども、なんとも地方都市のような趣のある土地でございます。さらに、その北のはずれにあるのが当薬局になります。田舎の薬局であります。在宅の帰りに狸とすれ違ったり、アナグマとすれ違ったりすることがあるような場所にあります。

丘の上の閑静な住宅街にありまして、基本は一人薬剤師。調剤事務さんも1人か2人でやっているという、本当に小さな小さな規模の薬局です。

たなべ薬局久保山店の2つの問題

2020年、2つの問題について我々は頭を悩ませておりました。

1つは、薬局はそもそも調子の悪い人が行くところだったりとか、処方箋がないとちょっと行きづらいなっていう。それはもう業界の皆さん共通の認識だと思います。

もう1つは、八王子はワクチンの取り組みが進んでおり、高齢者の方はご自宅にこもってしまっていて。おまけに学校もお休みになってしまって、住宅地なんですけれども、本当にただでさえ人の通りが少ない道が、人が全然いなくなってしまう。そのような状況になってしまいました。

この問題を少しでもいい方向に持っていけないだろうか、ということで頭を悩ませていたというところであります。

新たに3つの取り組みを開始

奇しくも、八王子市は東京都で唯一、道の駅がある都市であります。道の駅のコンセプトは「地域とともにつくる個性豊かなにぎわいの場」というものであります。

参考:道の駅公式ホームページ 道の駅の取り組み

これを薬局に当てはめられないだろうか、というのが始まりであります。

当薬局は、すでに20年以上久保山の地で営業を行っておりまして、ある程度知られていました。そこで、薬局の地域連携の中に、この地域のにぎわいの場という機能を追加できたら楽しいぞという風に思ったんです。

そこで、我々は新たに3つの取り組みを開始いたしました。毎週の野菜販売、毎月の健康イベント、毎日のギャラリーであります。順番に紹介してまいります。

取り組みその1:毎週の野菜販売

1つ目、毎週の野菜販売です。

これは、最初の健康な人に来てもらうというきっかけづくりですね。いろいろあったんですけれども、野菜を販売しているJimonoさんというベンチャーさんと手を組むことができまして、販売にこぎつけることができました。

そして、Jimonoさんからの「イベント的な販売がいいでしょう」というアドバイスをいただきまして、毎週金曜日に行うことになりました。

これがその販売の様子なんですけれども、金曜日の朝は私も含めてスタッフ全員で棚を並べ、準備を行っていきます。患者様も来始めますので、手の空いたところから丸山をフォローしながら1日を回していく。こういう流れで金曜日を過ごしております。

この日は健康イベントの日だったので、看護師さんや管理栄養士さんが映っているのですけれども、丸山がお話をしながら野菜販売を行っている光景でございます。

この取り組みの結果として、健康に繋がる良い事例もいくつか出てまいりました。

コロナがきつかった頃、初期に多かったのが、人とほとんど喋る機会がなかった、という方。でも、「ここでお野菜買いながら会話ができて本当に嬉しかったわ」という声。こうした声は、たくさんいただくことができました。

また、副次的になんですけれども、毎週金曜日ということで、定期的に薬局にも来る。そして、ついでに医療機関にも行くという形でですね、結果的にコンプライアンスの向上に繋がったということもありました。

取り組みその2:毎月の健康イベント「まちのほけんしつ」

次が、毎月の健康イベント「まちのほけんしつ」であります。

これは、野菜を起点として始まったものです。いつものように野菜の販売を行っていたところ、地域包括支援センターのスタッフさんがお客様として来場されました。そこで、現在コロナで地域活動ができなくなっている。場がなくなっている、ということでお話をしてくださり、そこから「じゃあ、我々と共同できないか?」ということで始まったのが、「出張とこてくほけんしつ」であります。

この出張とこてくほけんしつは、薬剤師・看護師・管理栄養士の3職種が集いまして地域の健康の相談に乗っております。毎月第四金曜日に行うことになっております。

主に行っているのが身長、体重、血圧測定、そして握力測定。野菜がどれだけ摂れているかを調べる「ベジチェック測定」というものもやっております。

これは健康相談を行っている風景ですね。看護師さんと常連さんがこうやって和やかにお話をしている風景です。また、八王子市の保健センターより、血管の測定装置を借り出してきます。マンネリ化しないように、工夫をしながらイベントを続けているという形になっております。

ベジチェックを行った後に、管理栄養士さんが記録をつけながらアドバイスをするなどしています。これはご夫妻なんですけれども、ちょうど、薬局アワード2日前にお見えになって、ちょうど人が途切れたところだったので、プレゼンのスライドと映像をお見せして「この取り組みで発表させていただきます」って言ったところですね、「ありがとうございます」って喜んでくれました。

ここからはベジチェックについて、丸山より紹介していきます。

【丸山さんによる動画解説】
「ベジチェック」は、野菜がどのぐらい摂れているのかを数値化できる機械です。このベジチェックでは、皮膚のカロテノイド量を測定しています。野菜を食べるとカロテノイドが体に吸収されて、皮膚にも蓄積されるのでそれを推定することができます。手のひらにセンサーのLEDから照射された光が皮膚に反射するので、それを計算して値を算出しています。この方は、4.7点という数字が出ました。判定では「野菜が不足しているようです」という値になっています。7~8点を目指しましょう。

先ほどの健康測定で、管理栄養士さんが記録をつけていたのが、この記録帳でございます。

この記録帳は、おくすり手帳と同じサイズに工夫されております。半分に畳んで手帳に挟むことで、他の医療機関とも情報を共有できるようになっております。

先ほど紹介したご夫妻なんですが、ご主人は10年間引きこもりでした。けれども奥様から連れ出されご来場し、結果として処方箋をご夫婦揃って、私共のところにお持ちいただけるようになったということで、現在とても健康に過ごされております。

取り組みその3:毎日のギャラリー

次に、毎日のギャラリーであります。

こちらも地域包括支援センターの方の力もお借りして、チラシを配布しましたところ、あっという間に作品が揃いました。

こんな風にですね、さらには今はもっと作品が増えておりまして、棚も増えております。中でも、この布絵の方。以前から処方箋をお持ちになってくださっていたK様です。このK様なんですけれども、数値があまりよくないことで先生に怒られてしまうので、薬局にあまり来たくなかったそうなんです。

けれども、ギャラリーができてからは、薬局に来るのがとても楽しみになったということで、昨日、私が在宅から帰って来たらば、お孫さんと薬局に遊びに来ていらっしゃいまして。今回のスライドをお見せしたところ、「あれ、私、こんなこと言ったっけ?」なんておっしゃってましたけれども、薬局アワード翌日に、処方箋を持ってきてくださると言って帰って行かれました。

今後の計画

このような取り組みが功を奏してだと思うんですが、私共のところに処方箋を持ち込んでくださる方が、少しずつですが増えているという状況です。本当にありがたいことです。

今後の計画としては、空きスペースのハンドメイド教室の実施とかですね、あと、薬剤師としては、とこてくほけんしつを既存の患者様にもっと活用していただきたいと思っております。

最後に、何か困ったことがあったときは、まず、たなべ薬局さんで相談してみようと思ってもらえるような薬局でありたいと思います。今日はありがとうございました。

審査員のコメント

司会:
ありがとうございました。それでは、審査員の方からコメントを頂戴したいと思います。広瀬様、お願いいたします。

株式会社遭遇設計 代表取締役 / ゲーミフィケーションカオスマップ編集委員 広瀬眞之介 氏

広瀬:
ご発表ありがとうございます。本当に素晴らしいですね。是非、こういうところが増えてほしいなあと思います。

少し質問というか、コメントがありまして。例えば、今されていることの中で患者さんたちにとって何か良い変化があったとか、そういった成果みたいなものの計測や数値化、研究発表などをしているかどうかというお話。あと、今後さらなる薬局活用をしていきたいということだったんですが、それは例えば人を募ったり、地域に依頼したりなど、公募をしていらっしゃるのかっていう、この2点をまずお聞かせ願えますでしょうか。

川田:
質問ありがとうございます。まず、数値化や研究発表というものはできておりません。ただ、例えば、先ほどのK様は、ヘモグロビンA1cが8%ぐらいだったんですが、今は7%を切っているっていう状態です。あと、血圧のお薬も、高用量が低用量になったっていう感じでですね。数値的にも非常に良い結果は出てきているという形になります。

また、ハンドメイド教室についてですが、ギャラリーを立ち上げるときに、実は我がスタッフの中にはですね、折り紙の上手なスタッフであったりとか、面白い鳥を作るスタッフであったりとか、そういうハンドメイド作家が複数名おりまして。最悪、作品が集まらなかったら、うちのスタッフの作品で埋めちゃおうかって思ってたぐらいなんですね。

なので、その人たちを上手に使って研究発表などに繋げたいということも考えております。K様もいろんなものを作られる方で「やるよ」って言ってくださってますので。いろんなことができていけると思っております。

広瀬:
ありがとうございます。最近だと自治体とかも、例えば「我々こういうこと困ってるんだけど、誰か助けて」とか、「こういうサービスで地域の多世代の繋がりを作って欲しい」とかっていうのをみんな公表するようになっていて、公表すると「じゃあ、営業に行っていいですか?」とか、「うちでこういう実験させてもらえませんか?」っていうのがパカパカ来るようになっていて。

すでにベンチャーさんとかと組んでやってらっしゃったりして、もうこれだけやってらっしゃるし、多分成果も出てらっしゃると思うので、そういうのを蓄積して「我々こういうことやってるので一緒にやってくれませんか?」っていうのを広げていけると思うので、是非今後も私が言った形でなくとも構わないので、どんどん広げていっていただければと思います。楽しみにしております。

川田:
アドバイスありがとうございます。

司会:
ありがとうございます。もう一方、流石様、お願いいたします。

株式会社メデュアクト 代表取締役 / 東京薬科大学 薬学部 生化学教室 客員准教授 流石学氏

流石:
流石です。大変興味深いお話をありがとうございました。伺っていて、私が思ったことが、まずコミュニティを作るっていうことが非常に大切だなと。そして、その入り口で野菜。Jimonoさんとの連携で生鮮食品を販売されたというのが非常に大きいんだろうなと思います。

商店街なんかも賑わいを作る基本は生鮮食品ですので、本当に定石通りされてるなと。さらに、いいなと思っているのが、自分のところでやらずに他の会社と提携してされたっていうのが、持続性も含めていいんだろうなっていう風に思っておりました。その後のイベント等で繋げていくという形で、非常に興味深く聞いていたところです。

その中でちょっと質問したいのが、今グループで都内11店舗を展開されているということでしたが、他の薬局さんのほうで、こうした取り組みというのは、されていらっしゃるんでしょうか。

川田:
千歳烏山にある薬局ランタンという店舗では、はるかに優秀な男が勤務しておりまして、彼がほぼ毎日野菜も販売しておりますし、成果も上げております。来年には薬局アワードで、もしかしたらお話させていただく機会があるかもしれません。

流石:
それ以外の店舗の場合ですと、今日のお話を伺って同じような取り組みをしようかなと思う薬局などが、もしかしたら出てくるかもしれない。そのときに、例えばこういう部分が障壁になるなど、何かそういうことはあるのでしょうか。

川田:
まず、店舗の広さというのが問題になると思います。当薬局は、冒頭で田舎の薬局です、というお話させていただいたんですが、無駄に広いんです(笑)

そうしたスペースの有効活用、ということでスパッと収まった感じになります。そうしたスペースを確保するのが難しい店舗は多いのではないでしょうか。

流石:
そうすると、もっと地方の薬局。例えば、中山間地域などの薬局ですと、野菜も周りにいっぱいあるでしょうし、可能性っていうはあり得るんでしょうかね。

川田:
需要はあるんじゃないでしょうか。集まれるコミュニティを作る場としての存在としてハブみたいになっていけたらいいなという風に思っております。

流石:
非常に面白い取り組みだなと思いますので、是非もっと広げていただけるといいなという風に思います。ありがとうございました。

—–

川田さん、丸山さん、ご発表ありがとうございました!

みんなで選ぶ 薬局アワードとは? 】
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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