【特別審査員賞】合同会社みどりや薬局の取り組みとは -第5回 みんなで選ぶ薬局アワードのプレゼン紹介

今回は「第5回 みんなで選ぶ 薬局アワード ONLINE」で特別審査員賞に輝いた、合同会社みどりや薬局(静岡県) 清水雅之さんのプレゼンテーションをご紹介します。

清水雅之さん「パパママ薬局は地域健康のHUB 薬局に+αの拠点で地域を支える。」

改めまして私、合同会社みどりや薬局代表社員の清水雅之と申します。今日は「パパママ薬局は地域健康のHUB 薬局に+αの拠点で地域を支える。」ということでお話しさせていただきます。

まず、こちらは私の薬局です。両親から薬局を引き継いで、今、私/薬剤師、妻/薬剤師、母/薬剤師、そして2人の子どもとパートの皆様で運営させていただいている健康サポート薬局であります。

私どもの健康サポート薬局は、ジャンルを問わない課題っていうのが地域にたくさんあるので、それらを全て解決しようという思いで運営しているんですが、今日は薬局のお話ではなくて、薬局からちょっと離れた、もう一つの健康の拠点となる「みどりや健康ステーション」についてご紹介させていただきます。

「みどりや健康ステーション」の中身はこんな感じです。薬局から徒歩2分、最大収容人数が約20名。一つの特徴として、ボルダリングの壁があります。今日、私がいる場所もここなんですが、なんと私の自宅の1階です。ここで薬局薬剤師だけではない、住民ポジションとしての地域との関わり方というものをご紹介させていただければと思います。

私もずっと「地域密着型薬局」と名乗っていたのですが、そもそも地域密着型薬局って何だろうか。正直なんとなくやっていた地域密着っていうものから、薬局薬剤師としての目線と、もう一つ、地域住民としてのポジションの目線を持った薬局運営をすることが私の中での地域密着薬局と定めて活動しております。

薬局だけではなく地域住民として「まずここで何をしようか?」「そして何ができるか?」、この地域で「何が足りないだろうか?」、そして私に「何が必要とされているのか?」というものを考えました。

まず、薬局からでも見えていた部分の一つなんですが、この地域は認知症に関する課題というのがとても多くあります。薬局で認知症に関する啓発を行うのとともに、実は地域住民目線からすると、全然医療にはかかっていないけれど、認知症のサポートが必要という方が地域にはたくさんおられました。その中で、私は地域住民としてここで認知症カフェをやろうと決めたんです。

認知症カフェをやるにあたって、まず行政の方に相談に行って、認知症カフェの設置状況について聞いてみました。相談に行ったのは1月くらいだったのですが、ちょうど行政の方では、来年度予算で認知症カフェ設置に関する調査を始めて、そこから徐々にやっていこうという状況でした。

ですので、私のほうから「実は4月から認知症カフェをやろうと思っておりまして、行政の方でも、よろしければ相乗りしませんか?」というような形でお声かけさせていただいたところ、快く乗ってくださいました。

こうして行政、社会福祉協議会、地域包括支援センター、民生委員、そして地元の認知症などのボランティアの方々も協力してくださって、みどりや健康ステーションで認知症カフェを開くことができました。

薬局が認知症カフェを運営すると、これはよくあることなのですが「利用者さんがほとんどおられない、全然誰も来てくれない…」という課題があるといわれています。

私は最初から地域住民のポジションを使って薬局運営することにしていたので、薬局というより、ここに住んでいる人がやるっていう風な感じでお声がけしてました。ちょうど、私の赤ちゃんが生まれたタイミングだったんで「うちに赤ちゃんが生まれたから見に来てよ」という感じです。

そんな中で薬局としての健康情報、そして医療介護連携につなげるようなことを認知症カフェでやらせていただいているのですが、それ以外にも地域の資源ということで、色々な才能を持っていらっしゃる方がたくさんいるので、笑いヨガ、音楽セラピー、フィットネスインストラクターの方などをみどりや健康ステーションにお呼びして、みんなでフィットネス&ダンス!みたいな感じで、認知症の患者さん、地域の住民の方、ご家族の方もみんなで弾けて笑えるようなイベントをやっております。

高齢者以外もアクセスできるということで、実はこの拠点、地元のマラソン大会のスタート地点がすぐ近くだったので、大会当日は「おもてなし休憩所」として、中でお茶を飲んだり、カードゲームをやったり、軟膏ピッタリ当てゲームをやったり、肺年齢測定をできるようにしました。肺年齢測定は薬局でやることも多いのですが、測定時に「吐いて!頑張って!限界まで吐いて!!」みたいな感じで応援するので、これがマラソン大会のスタート前とすごく相性が良くて(笑)とても好評でした。

さらに、クライミング教室。これも若者向けにと、ガイドの方もお呼びしたのですが、実は高齢者の方ととても相性が良かったです。クライミングやボルダリングって、強度をそれぞれに設定できるものなので、認知症の方にやっていただいたら、実はその方、昔は大工さんだったらしく。やっているうちに昔の感覚が戻ってきたようで、教室が終わる頃には誰よりも上手くなっているという…!そんなうれしい発見がありました。毎回、目を輝かせて参加してくださっています。

認知症カフェをやる際に、多職種の方が集まってくれたので、その後に井戸端会議みたいに集まっていたんですが、ちょっともったいないよね、という話になりまして、地域ケア会議という形で夜集まって、みんなでお話したりもしております。

イベントの会議や開催は、みどりや健康ステーションのHUBとしての目的ではなかったのですが、もともと何もなかった認知症カフェも、私たちがここで認知症カフェを始めたことによって、今市内で8か所。さらに、最初から行政とコラボレーションをしていたということもあって、行政、民間企業、住民でチームオレンジをとても結成しやすくなったといわれています。

さらに、認知症カフェでつながったところから介護認定につなげたり、医療連携につなげることができています。薬局に行きづらい人はこちらに来てもらったり、逆に薬局に行きたい人は薬局に来てもらうというような流れをつくることができました。

認知症カフェから始まった多職種連携会議も地域ケア会議に格上げして、これもここだけでやるじゃもったいないねっていうことで、最終的に市内全域で行われるようなケアカフェにつながりました。

それ以外にも、産業支援センターから産業相談であったり、お祭りの打ち上げ、誕生日会、Twitterとかネットの知り合いがここに来てくれたりとか、薬局薬剤師としてもですが、地域住民としても健康ステーションのHUB化が止まらない!…ってところだったんですが、新型コロナウィルス感染症で一旦すべて止まってしまいました。

そんな時も誰も来られなくなってしまったこの健康ステーションで、「これから何をしようか?」「何ができるか?」、今「何が足りないのか?」、そして「何が必要だろう?」と考えたときに、以前と同じ形で認知症カフェを開催することは難しいけれども、今、逆に『認知症カフェで手洗い講座や感染症、ワクチンの話をすれば、もしかしたら地域の方を守れるのではないか』と考えて、手洗い講座のように小道具を用意して、手を洗う講座を行ったり、ワクチン、感染症のお話をしたりしています。

さらに、それだけでは守りということで、ちょっと攻めの姿勢の認知症対策ということで、オンライン認知症カフェというものをつくりました。

これも先ほどのチームオレンジの方と共同で、このみどりや健康ステーション、公民館、そして地元企業さんとをつないで、認知症カフェを行いました。テレビ等で「オンライン〇〇」というのが流行っていると聞いても、高齢者の方は取り残されている感があったんですが、私どもがお声かけしたことで、皆さん「すごくわくわくした!」と言ってくださって。地元企業の方もオンライン環境等を提供してくださるということになりました。

医療介護連携、先ほどのケアカフェですね。これもコロナ禍で止まっていたのですが、フォーカスさんにお声がけさせていただいて、まずはうちの健康ステーションをHUBにして、オンラインによるケアカフェを開催するということを始めることができました。

スポーツ支援に関しましても、ここで知り合った管理栄養士や柔道整復師とともに学校に赴き、子どもに向けてスポーツ再開支援を行いました。ここでもケガや感染症予防等の指導をしております。こんな感じで手洗い指導も行っております。

コロナ禍で色々やっていく中で私が感じたのは、どんな状況でも街の科学者として、そして地域住民として薬学を駆使して、地域を支えるのが薬局薬剤師だということです。科学者ということで、この間もケアマネさんを招いてオンライン講座のためのZoomの使い方を指導させていただきました。最初にみどりや健康ステーションつくったとき、ここの建物がHUBになると思っていのですが、正直なところ、この思いがHUBになるっていうのを、このコロナ禍で感じました

最後に、こうした「薬局薬剤師としての目線」と「地域住民としての目線」これらはあくまで私の目線ですが、それ以外にも皆様が置かれた環境っていう中で自分のポジションを上手く活用すると、さらに広がる世界っていうのがあると思います。

地域の方も、自分の薬局を一方向だけではなく別の方向から見ると、もしかしたら面白い発見があると思います。薬局の皆さんにおいても自分の薬局薬剤師としてのモノ、もともと自分が持っているモノ、それらを掛け合わせることによって新たな活動であったり薬局の価値を見出せるきっかけになるのだと思います。

私からは以上です。今日は、長い中ありがとうございました。

審査員からのコメント

司会:

ありがとうございました。それでは審査員の方からコメントを頂戴したいと思います。まずは狹間様、お願いいたします。

一般社団法人 日本在宅薬学会 理事長 狹間 研至 氏

狭間:

発表ありがとうございました。非常に楽しい、さっきの田村先生もそうですけど、やっぱり地元に根差してやられているということ、すごく刺激的でした。

2点、お伺いしたいと思います。先ほど場所がHUBではなくてっていうお話がございましたよね。場所だけではないと思うんですが、最初のはずみ車的に、やっぱり場所は機能したのもあると思います。

ご自宅の1階を改装されてっていうことですが、多くの薬局の場合、やっぱり場所はないわけですよね、近くにも。その際に、みんなそれぞれ工夫して、例えば公民館を借りたり、色々したりしていると思うんですけど、もし先生の活動の中で、今回の場所が使えない状況だとしたら、どんな所に活路を見出そうとされていたのかっていうところが1点。

それからもう1点は、やっぱり先生がオーナーさんなんで、やると言ったらやるんだというように(笑)できると思うんですね。今日の他の発表もそうですが、いち社員の立場でとか、会社の方針の中で、ということになると、やっぱり企画書を作って「こういう展望が開けます」と説得というか段取りをしないと、上は上で判断しづらいかなというふうに思います。いきなりこれで採算が合う・合わないは別として。場所のことと、今後の展望に向けて、これがいかにメリットがあるかっていうのを、ある程度客観的に示すためにはどうすればいいのかというのを、先生の知見から教えていただけたらなと。

清水:

まず場所に関してなんですが、実は自宅を建てるタイミングで、この場所をつくりました。こうして薬局をこの地域で運営することにしたのですが、狭間先生がおっしゃることも、大変よく分かります。

私もこれをやるまでの計画、建てるまでにも、やっぱりそれなりの決断が要りますので、まずはいろいろ試そうかなって考えたときに、古民家の空き家でやらせていただいたりとかもしました。それと、私どもの地域は過疎で商店街がシャッター街になっておりまして、そうした場所で空き家の活用事業というのが行政主導で行われていたりしたので、最初に行政にお話ししたとき、その辺もちょっと一緒に検討するようなことがありました。

ですので、皆さんも幅広い地域で行政と連携して、最初から連携できる体制に乗っかるっていうのも、すごく説得できる材料ではないかなと。これは2つ目の質問にも重なってくると思うのですが、今ある事業っていうものに行政が喜ぶ形で乗っかる

例えば、私どもの認知症カフェっていうのも行政がやりたいなって思っていたからこそ、先出しで行ってしまうっていうことが、たぶんとてもよかった。成功したことの要因の一つだなと思っているので、行政が出している情報等を見ながら、地域課題と合わせて行っていくと、説得しやすいのではないかなと思います。

そして個人的には、結構、自分勝手でいいのではないかと思っていまして(笑)。やっぱり薬局薬剤師が、いかに自分勝手に自分の描くものができるか。そこって、なかなか経営者サイドの話だとは思うんですが。私も経営者なんで(苦笑)勤めている人がそう言ったらどうかなって思うのですが、同時に、そういったものをいかに自分勝手にやれるか。

私の場合は、薬局として自分勝手にやっているのですが、その自分勝手を地域に波及させたいと思って。ケアカフェをやるときも、いかに地域にいる薬局の人が参加しやすい仕組みにするかということで「ケアカフェを地域ケア会議に」という形で薬局に案内を出せば、普段乗り気じゃなくても薬局の人たちは出てくれるんじゃないかって。無理やり巻き込むっていう感じで、描いた絵図に周りの人に乗っかってもらう。言い方が悪いかもしれませんが、そうしたことが楽しくできる秘訣なのかなと思っています。

狭間:

ありがとうございます。

司会:

ありがとうございます。では、もうひと方。鈴木様、お願いいたします。

患医ねっと 代表 鈴木 信行 氏

鈴木(信)

お客さんをうまく講師として使ったりとか、地域の中で行政とつながったりとか、まさにパパママ薬局が理想とする形の一つかなというふうに話を伺っていて思いました。

さっきの狭間さんの質問で、ほとんど聞きたいことは聞けたのですが、薬局と拠点、場所が少し離れているというところで、清水さん自身の働き方っていうんでしょうか。力の入れ方っていうんでしょうか。そういったのはどういうふうな形で切り分けをされていますか。また、そうした清水さんの働き方を他の方が真似をされたときに「こんな点に注意するといいよ」というアドバイスみたいなものがあれば教えてください。

清水:

薬局から徒歩2分なので「ちょっと待ってて」と言って行けばすぐ行けるような距離にあって、急な相談に関しても「薬局でちょっと相談しづらいんだけど…」というときに「別の場所でやりましょうか」と言って、すぐ集まれる場所なのでいいんですが…使い分けとしては、パパママ薬局の特性だと思うんですが、全部ごちゃ混ぜですね(苦笑)。それを一般会社員として皆さんが真似できるかっていうと、少し難しいかなとは思っています。

本当に私個人の考えとしては、薬局薬剤師っていうのは、運営の仕方もあると思いますが、開設者 兼 管理薬剤師が薬局を運営するっていうことが、ある意味その薬局の本当に完全に色となるっていうふうに思っています。皆さんそれぞれの色の出し方があると思うんですが、私はそういったやり方でやっていくことが、どんなことに関してもスピード感を持って対応できることにつながるのではないかと思っています。

鈴木(信):

ありがとうございました。

みんなで選ぶ 薬局アワードとは? 】
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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