公認スポーツファーマシスト制度

公認スポーツファーマシスト認定制度は、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構（JADA）と日本薬剤師会が協同で創設し、2009年から実施している制度です。

JADAの定める課程を終了し、最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を有する薬剤師を、公認スポーツファーマシストといいます。

スポーツ界において世界中でドーピングへの対応が問題になっていたのは、みなさんもご存知だと思います。

意図してドーピングを行う選手もいますが、中には病気の治療やサプリメントにドーピング禁止物質が含まれていたことにより違反と判断され、記録を抹消されたり出場停止になったりするケースもあります。

薬の専門知識を持たないスポーツ選手は、体調を整えるために栄養ドリンク剤やサプリメントを常飲していることもありますし、大会前に風邪を引き市販の風邪薬を飲むこともあります。

こうした“うっかりドーピング”を防ぐためには、薬の専門家である薬剤師のサポートが必要だということから創設されました。

近年はスポーツ選手だけでなく、健康志向が高まる中、ジョギングをしたりジムに通ったり、サプリメントや健康食品を愛用する人も増えています。

一般の方へ、運動と薬の観点からアドバイスすることも、公認スポーツファーマシストとしての大切な役割のひとつです。

公認スポーツファーマシストの近年の活動例は以下の通り。

• 医薬品の適正使用とアンチ・ドーピングに関する情報提供
• 学校教育の現場におけるアンチ・ドーピング情報を介した医薬品の使用に関する情報提供
• 地域におけるスポーツファーマシストの存在とアンチ・ドーピング活動の周知
• 国民体育大会に向けての都道府県選手団への情報提供・啓発活動

認定は、基礎講習会を受講する時点で薬剤師資格を所持している人が対象となります。

基礎講習会と実務講習会の2種類の講習会を受講し、知識到達度確認試験を受けて所定の成績を修める必要があります。

2010年度は796人、2019年度は9,530人が公認スポーツファーマシストとして認定されました。

資格を維持するには、毎年、実務講習を受けること。また4年ごとの更新の際には、基礎講習・実務講習を受講し、知識到達度確認試験に合格する必要があります。

公認スポーツファーマシスト ～スポーツの価値を護るアンチ・ドーピング活動～

職業としての職場はまだ多くないものの、新たな地域支援において、スポーツファーマシストとしての薬学的な知識を活用したり、多職種と連携することで、力が発揮できるのではないかと期待されています。