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感染制御専門薬剤師
感染制御専門薬剤師とは、社団法人日本病院薬剤師会が認定する専門薬剤師のひとつで、感染制御(感染防止)の専門資格です。
病院などの医療機関の中で感染症の治療や予防を行うには、感染制御専門薬剤師に加え、感染症専門医、インフェクションコントロールドクター(ICD)、感染管理看護師(ICN)、その他の感染制御専門家(ICP)などからなるメンバーで感染制御チーム(ICT)を構成しなければなりません。
感染制御専門薬剤師の役割
薬剤師の知識の中でも、感染制御専門薬剤師がもっとも必要とするのが、「消毒薬」と「抗生物質」に関する知識です。医学の進歩により、これらの薬の種類は膨大になります。強力な効果がある反面、使用上の注意を厳守しなければならず、そのためにはそれぞれの薬の特徴や利点を理解し、使いこなさなければなりません。
たとえば、肝不全や腎不全、未熟児をはじめ、一昔前は死亡していたような合併症を持つ重篤な感染症患者であっても、薬物動態理論や臨床薬理学などを用いて助けることができるわけです。
その際、感染症治療を行う専門医が感染制御専門薬剤師の知識を借りて、効果と副作用を併せ持つ強力な抗生物質を適切に投与することで、レベルの高い治療を患者さんに提供することが可能となります。それこそが感染制御専門薬剤師の使命だと言えます。他にも医療施設内における感染制御専門薬剤師には、以下のような役割があります。
- マニュアル・ガイドラインの更新
- 抗菌薬・消毒薬の適正使用のための教育
- 抗菌薬・消毒薬の使用状況の把握
- 消毒薬の抗菌効果の評価
- 新興感染症や耐性菌等の感染関連の情報収集・蓄積・提供・指導
- TDMと抗菌薬の投与設計への参加
- 感染予防に必要な薬剤の確保と管理
- 臨床現場へ緊急介入
特に、臨床現場への緊急介入は一般の薬剤師にはない、感染制御専門薬剤師ならではの重要な役割の一つです。
感染制御専門薬剤師になるには
では、どのようにすれば感染制御専門薬剤師になれるのか気になるところだと思います。
申請資格は以下の通りとなります。(詳細は「日本病院薬剤師会」のホームページをご参照ください)
- 日本国の薬剤師免許を持っていること
- 薬剤師歴が5年以上あり、関連学会会員であること
- 認定薬剤師であること(日本薬剤師研修センター、日病薬生涯研修履修、日本医療薬学会)
- 感染防止対策に3年以上関与しているかICD資格者であること
- 認定対象となる講習で所定の単位以上の履修取得者であること
- 所属長(病院長あるいは施設長等)の推薦書があること
- 日本病院薬剤師会が行う認定試験に合格していること
高度な知識や経験など、一般の薬剤師に比べて感染制御専門薬剤師に求められるハードルは高いものの、それだけに遣り甲斐も多く使命感を持ってできる仕事ではないでしょうか。
また、お給料面では薬剤師の相場が年収500万円前後であるのに対し、感染制御専門薬剤師などの専門薬剤師は、製薬会社で700~800万円、責任者クラスなら1,000万円前後だと言われています。
ただし、医療機関などでは一般の薬剤師や管理薬剤師と変わらないという声もありますので、お給料面ではあまり期待できないかもしれません。
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