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合同会社みどりや薬局の取り組みとは -第4回 みんなで選ぶ薬局アワードのプレゼン紹介
今回は「第4回 みんなで選ぶ 薬局アワード ONLINE」に登壇した、合同会社みどりや薬局(静岡県) 清水雅之さんのプレゼンテーションをご紹介します。
清水雅之さん「うっかりドーピングをしたくない、させたくない!」
皆さんこんにちは。静岡県島田市にございます、合同会社みどりや薬局の清水雅之と申します。
改めまして『うっかりドーピングをしたくない、させたくない!』という思いから作られた、うっかりドーピング防止カードゲーム「ドーピングガーディアン(DG)」について、ご紹介させていただきます。
ドーピングガーディアンはこのような形で、子供から大人まで楽しみながらドーピングを学べるカードゲームとなっております。本日は短い間ですが、どうぞお付き合いください。
合同会社みどりや薬局の紹介
これはパパママ薬局薬剤師と、全国の薬剤師たちの挑戦のお話です。
パパママ薬局って、皆さんご存じですか?今薬局って、チェーンであったり、会社の薬局だったりが多いのですが、私どもの薬局は、私薬剤師、妻薬剤師、母薬剤師の、家族3人でやっている薬局になります。
家族3人でやっている小さな薬局なのですが、静岡の中でも1、2を争う健康サポート薬局として、知られております。
私どもの自宅の1階部分を、薬局のイベントスペースとして開放して、この地域初の認知症カフェを開設したり、同じくボルダリングの壁を設置して、地域の皆様に健康講座としてボルダリング講座を開催したり、
また、地域のコミュニティFMなどでも情報発信させていただいております。
私どもの薬局は、薬局としてのポジションと、地域住民というポジションで、まさに地域密着型でやらせていただいております。
「うっかりドーピング」とは?
そんな地域密着型の薬局が今回挑戦するのは、世界的な医薬品にまつわる課題、ドーピング問題です。
今年2020年は東京オリンピックが開催される年でした。元々、この東京オリンピック招致のきっかけには、日本における反ドーピング精神と、日本人アスリートのクリーンさというのがありました。
そこには、私たちのようなドーピング防止専門薬剤師「スポーツファーマシスト」の活躍もあったかと思います。スポーツファーマシストは、病院や、医療現場や学校現場、スポーツ現場、そして地域の現場でドーピング防止活動を実施しておりました。
しかし、そんなスポーツファーマシストの活躍とは裏腹に、日本においてもまだ解決できていないドーピング問題があります。
それがこちら、うっかりドーピングです。病気の治療や、サプリメントによって、ドーピングの禁止物質が含まれていたことによる、ドーピング違反です。
このうっかりドーピングを防ぐ方法というのは意外とシンプルで、アスリート自身にドーピングの知識を身に付けてもらったり、また私たちのような専門家に相談していただいたりすることで、簡単に防ぐことができます。
なかなか無くならない「うっかりドーピング」の現状
ということで今、競技団体でも、定期的なアンチドーピング研修を行ったり、専属のスポーツファーマシストを設置したり、ドーピングの相談窓口を設置しています。しかしながら、いまだにうっかりドーピングというのはなくならない現状が続いております。
そんな中で私たちが考えるのは、本当に私たちが今まで行ってきていたアンチドーピング啓発活動というのは、アスリートやスポーツ愛好家のためになっているのだろうかということです。
私も実際、60分とか90分で、アンチドーピング研修みたいなのをやらせていただくのですが、ドーピングの情報、知識というのは、とても科学的であり、同時にルールの部分に関しては、とても法律的で、なかなかアスリートや学生の皆さんにお伝えするのは難しい。その一方で、地域の皆さんにお伝えするときには、ドーピングというのはとても縁遠いものだと考えられています。
実際には、国体等でもドーピング検査が実施されたりします。それにドーピングを学ぶことは薬品の適正使用を学ぶことに繋がるのでとても重要なのですが、なかなか届かない現状があります。
アンチドーピングを、より届けたい人に届けるにはどうしたらいいのだろうかと考えたときに、今課題となっている中でできないのが、主体的な学び、そして人との繋がり。専属のスポーツファーマシスト、相談窓口があっても、なかなか人との繋がりが無いと、相談が難しかったりします。
うっかりドーピング防止カードゲーム「ドーピングガーディアン」
ではどうしたらこの2つをカバーすることができるか。
考えたとき、やはりうっかりドーピングに引っ掛かってもらえばいい。ただ、うっかりとはいえ、ドーピング。引っかかってしまうと出場停止など、重い制裁が科されます。
なので、実際に引っ掛かってもらうことは難しいので、私や家族で一生懸命考えて作ったのが、うっかりドーピング防止カードゲーム「ドーピングガーディアン(DG)」です。
このゲームは、プレイヤーはアスリートとして、アスリートを疑似体験してもらう中で、こちらにあるようなトレーディングカードで点数を高めたり、けがや病気をしてしまったらマイナスになってしまったり。そんなときに使う薬や、サプリメント。そういったもので点数を高めながら勝利を目指すゲームです。
このゲームの勝利の肝は、いかにこういったところで使う薬やサプリメントが、ドーピングに引っ掛からないかをチェックしていくかなのですが、そこで重要になってくるのは、ここにあるDOPING GUARDIAN カード。これはうっかりドーピングを防ぐ薬剤師カードです。
いかに薬剤師をこのゲームの中で活用するかが、勝利の肝になってきます。
このゲームを学ぶことによって、アスリートはどうしたらドーピングに引っ掛かってしまって、逆にどうすれば防ぐことが可能なのかを学ぶことができます。
アンチドーピングを世間に広める -DGの活用事例-
同時に、冒頭の画像でもありましたが、このゲーム、とても小さなお子さんからも遊んでいただけます。そしてこのルールを理解することは、そのままドーピングのルールを理解することです。ということは、このゲームが広まることは、そのままアンチドーピングを世間一般に広めることになります。
もちろんこのゲームは私が開発したのですが、私1人で広めては仕方ありません。今全国に1万人、私たちのようなスポーツファーマシストというものがいるのですが、なかなか活躍の機会が得られないと言っています。
なので私は、このドーピングガーディアンを、全国のスポーツファーマシストの皆様の武器としてもらって、活用してもらおうと行動を起こし始めました。
まずスポーツファーマシストと地元を繋ぐということで、私はこのドーピングガーディアンを地域のマラソンイベントや学校薬剤師として、地域で活用しました。
そしてその成功事例をもとに、仲間のスポーツファーマシストの元に赴き、ここでは北海道や、東京等のマラソン大会で地域活動をサポートさせていただきました。
同時に、アンチドーピングはスポーツファーマシストと薬剤師だけで完結できるものではありません。栄養士や柔整師、介護士。そういった方、医師、歯科医師などと、多職種といかに連携して行えるかが重要なので、ドーピングガーディアン体験会を、スポーツファーマシストの仲間とともに、多職種で行う活動も行っております。これも全国各地で実施させていただいております。
そして、未来を担う薬学生様とも繋ぐということで、仲間とスポーツファーマシストとともに、薬学生の皆さんと体験したり、大学によっては講義でやらせていただいたりしております。
そしてアスリートとスポーツファーマシストを繋ぐということで、これはパラアスリートの皆様と、仲間のスポーツファーマシストともに、ドーピング体験会を行わせていただきました。
セミナーなんかで来た先生と仲良くなることって、なかなか難しいと思うのですが、このドーピングガーディアンはカードゲーム、いわゆるアナログゲームでありまして、一緒にプレイすることにより、連携間、人と人を繋ぐ力はとても強いです。私はそういうこともあって、今回このドーピングガーディアンを敢えてカードゲーム、アナログなもので作ることといたしました。
スポーツファーマシスト同士を繋ぐ
そして何より大事なのは、スポーツファーマシスト同士を繋ぐということです。スポーツファーマシストというのは1万人いるのですが、なかなか今横の連携ができていない状態が続いております。なので私は、全国のスポーツファーマシストを地域で、コミュニティを作っていただき、地域で連携して活動していただけるように、活動を行っております。
実はこの、神戸で実施させていただいた会なのですが、これをきっかけに今、関西方面でとても多職種連携でアンチドーピングを行ってくださいっている、うっかりドーピングゼロ会というものも発足しました。ほとんどはここの会に参加してくれた方からの出身です。
海外での取り組み
そしてドーピングガーディアンの活動。これは本当にスポーツファーマシストの皆さんで連携して行っているのですが、まだまだ止まりません。海外での取り組みも行っております。
これはインドネシアの小学生の皆さんに体験してもらった時の事例です。それに加えて、朝日新聞の英字新聞で取り上げていただいたことにより、海外からも問い合わせをいただいております。
今週水曜日も、実は外国の薬剤師からお問い合わせを頂いて、実は海外でドーピングガーディアンを紹介する機会を頂きました。それをまた今、仲間のスポーツファーマシストと薬学生の皆様と一緒にやっております。
2020年、ドーピングガーディアンの漫画化が決定
そしてドーピングガーディアンはまだまだ止まりません。スポーツファーマシストもまだまだ止まりません。カードゲームだけですと、なかなかこのようなコロナ禍においては、広まりにくいものもあったりします。
ですがドーピングガーディアンは、あくまで今まで概念として存在して、これからは横軸展開をしようと考えております。ということで、2020年、ドーピングガーディアン、このゲームの世界観を、そのまま漫画にすることにしました。
このドーピングガーディアンの漫画化においても、監修やアドバイスにおいて、多くの薬剤師の方にお手伝いいただいております。
最後に、今聞いていただいている薬剤師や薬学生、スポーツファーマシスト、そして多くの世界をよりよくしたいと考えている皆様。ぜひ、お声がけください。一緒に、できれば何か、続けていくことができれば嬉しいと思っております。ご清聴ありがとうございました。
審査員コメント
司会:
ありがとうございました。チャットのほうでも、「カードゲームで広げようとしているというのは、すごく素敵です」というコメントですとか、「専門薬剤師の方と仲良くなれるツールやイベントというのは、とても素敵ですね」というようなコメント。そして「アマチュアとしてスポーツを始める、小中学生のころからドーピングについて学べることはすごく大事だと思います」というようなコメントが来ております。
それでは、ここで特別審査員の方から、コメントを頂戴しようと思います。比留間様、お願いいたします。
95歳世界最高齢現役薬剤師ギネス認定
ヒルマ薬局小豆沢店 比留間榮子 氏
比留間:
今お話を聞いていて、こんな素敵なこと。私のようなこの年になっても吸い込まれていきますでしょうか。どうかしら。
清水:
もちろん楽しんでいただけると思います。これはドーピングなのですが、活用の仕方によっては医薬品の適正使用にも繋げることができるので、実際に高齢者のイベント等でも活用させていただいたこともありまして。とても楽しんでいただけました。
比留間:
どんなふうに、そのときはおやりになったのですか?
清水:
そのときのイベントでは、認知症カフェのように、高齢者の方々といろんな脳トレなどをやる中で、一緒にこういうカードゲームで遊びましょうというような形で、体験していただきました。
サプリメントを使うと、もしかしたらお薬と相互作用があるかもしれないよ、というような繋げ方で、このドーピングガーディアンを少しアレンジし、活用させていただきました。
比留間:
素晴らしいですね。そういうのに吸い込まれて、皆さんと一緒に勉強できたら、本当に嬉しいと思います。
司会:
ありがとうございました。続きましてもう一方。畑中様、お願いいたします。
NPO法人 患者中心の医療を共に考え共に実践する協議会 理事長
日本経済大学大学院 ファーマシーマネジメント研究所 特任教授 畑中 和義 氏
畑中:
どうも清水さん、ありがとうございました。静岡の島田市で地域健康サポート薬局をやりながら、スポーツファーマシストとしても活動されている。すごく感激しました。
その活動が北海道とか神戸とか、今またインドネシアまで拡大しているということに驚いたというか、大変素晴らしいと思いました。
何より、私たちの先入観として、薬は病気と繋がるし、スポーツは健康として繋がっていて、そこに薬とファーマシスト、薬剤師が繋がるという線の結びつきは、今まで思いつきませんでした。
けれども、やはり多くのスポーツ選手に、薬のプラスの面とマイナスの面を知らしめる。あるいはお子さんがゲームをしながらそういうことを自然に覚えていく。そういうところが素晴らしいし、新しい見方で薬なり、薬剤師の存在価値を高める素晴らしい活動だなと思いました。
それで2、3質問なのですが、まず1つは、DGのカードをどういうふうにしたら購入できるのかというようなことと、購入して素人でも、簡単にできるのかということを、教えていただければ嬉しいと思います。
清水:
ありがとうございます。Amazonでも販売しておりますし、あとは静岡県のほうで「バイ・シズオカ」というキャンペーンをやっておりまして、そちらのほうでもご購入いただけます。
このゲームを簡単にできるかですが、オリジナルのルールがあって、誰もが知っているルールではないため、ちょっとコツがいるかもしれないですが、ドーピングガーディアンのホームページであったり、Youtubeのほうでルール説明の動画をやっています。
ドーピングガーディアンを使ったアンチドーピング活動、お薬啓発活動をやっている薬剤師というのは、全国各地にいらっしゃいます。このドーピングガーディアンを使いこなすスポーツファーマシストというのも、きっと皆さんの近くの地元でも見つけることができるかと思いますので、ぜひお声がけいただければと思います。
畑中:
1万人の方がいらっしゃるから、自分の地元で見つけられるような仕組みを、これから作っていただけたら…。
清水:
そういったムーブメントが引き起こせれば、とても私は楽しいことが起きるのかなと思っています。
畑中:
それと、もう1つ教えて欲しいのは、先ほどのお話しで地域連携。スポーツの世界と地域の健康というものがうまく結びついて、地域の連携の新しい姿が、とありましたが。
今までは高齢者の方の地域であるとか、地域の支援であるとか、健康サポートであるとか、そういうイメージだったのですけれども、スポーツの中で地域連携ができるというのを伺って、それについてちょっと教えていただけますか?
清水:
はい。私ども、薬剤師もそうなのですが、スポーツファーマシストが持っている薬学的な知識というのは、いかようにも地域において活用できるものだと思っております。
例えば、スポーツをする上で、飲んでいるお薬や疾患。そういったものを注意しなければいけない部分というのは、もちろんアンチドーピング以外にも知識としてあるので、地域のスポーツイベントやそういったところで活かせるかと。
実際、この地域の柔道整復師や管理栄養士の方と一緒に、子供たちに向けたお薬とスポーツ衣料に関する取り組みであるとか、そういったものをどんどん進めています。
そのきっかけとして何もないところで、いきなり私たち薬剤師です、医療関係者です、と行くよりは、こういったゲームで学びながら楽しめる機会がありますよというふうな形のほうが、地域の子供たちであったり、スポーツクラブの高齢者であったり、そういったところにアクセスしていけるので、そのような形で実現していけると思っております。
畑中:
ありがとうございました。世界に羽ばたくDGスポーツファーマシストとして、ますます活躍ください。
清水:
ありがとうございます。
司会:
畑中様、ありがとうございました。清水さん、ありがとうございました!
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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