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まんまる薬局の松岡さんらに聞く、薬剤師と非薬剤師(ボランチ)が連携する個人在宅のこれから
みんなで選ぶ薬局アワードでオーディエンス賞を受賞した、まんまる薬局。
『ベストカップルアワード』というテーマで、在宅訪問の現場スタッフのアイデアをスピーディーに取り入れ、薬局を活性化するという取り組みを紹介していただきました。
そんな、まんまる薬局の魅力について、プレゼンターの松岡光洋さんに伺うとともに、ボランチ、薬剤師の方々も交え、まんまる薬局で行っている個人在宅の現在と今後について、詳しくお話を伺いました。
10年間デイサービスを行ってた場所を薬局に改装し、2018年に板橋区のまんまる薬局を設立・運営。「人から人へ心を届ける」を理念に、開業時5名からスタートし、現在のスタッフは28名、板橋区・練馬区・豊島区を中心に個人在宅への訪問を中心に行っており、居宅回数は累計年1万回以上。元Jリーガーという業界では稀有な経歴を持つ。
薬局開業から、薬局アワード オーディエンス賞に至るまで
まんまる薬局について
―オーディエンス賞、おめでとうございます! まんまる薬局さんは非薬剤師の方によるプレゼンで初の受賞となりました。薬局開業には松岡さんのどんな思いがあったのか、教えていただけますか?
松岡
ありがとうございます!薬局開業のキッカケは、話すと色々あるのですが、僕自身、薬局の調剤事務を8年していて、外来での薬剤師の価値を感じていましたが、それ以上に在宅での薬剤師の介在価値の大きさに気づいたんです。能動的に動く薬剤師の皆さんが、僕には輝いて見えたんです。そこでもっと在宅医療に集中できる環境を整えて、より輝く薬剤師の姿をみてみたいと思ったのが起業したキッカケの一つです。
松岡
また、事業内容は保険薬局ですが、当薬局は、おうち訪問薬剤サービスに特化しています。その理由は、自宅で最後は療養して過ごしたい、住み慣れた場所で自分らしく過ごしたいという方をサポートすることが最優先であると考えたからです。
調剤薬局は全国に約6万店舗。コンビニより多く存在しますから、歩いて外来に行ける患者さんは薬局を探せばすぐ見つかります。その一方で、外来にすら行けない患者さんが世の中にはたくさんいるのです。
薬局アワード参加について
―それで在宅医療に特化した薬局を開業されたのですね。そんななか、薬局アワード参加については今年は2年目の参加でした。薬局アワードにエントリーした理由は何だったのでしょうか。
松岡
第一にまんまる薬局のボランチ制度を全国へ届けたいということがありました。やはり薬局の素敵なところを一般の方に伝えるチャンスは薬局アワードしかない、と思ったんです。逆に、エントリーしない意味がわからないくらいです(笑)
―たしかに、薬局がアピールできる機会は現在とても少ないですよね。今回の薬局アワードのオーディエンス賞の受賞については、特にどのあたりが評価されたとご自身ではお考えでしょうか。
松岡
楽しい雰囲気とか、在宅医療のイメージを変えたいという思いが伝わったのかなと。
患者さんのことを主語に活動すると、結局自分たちがどれだけ最高のパフォーマンスを患者さんに対して出せるかが重要で、そのためには自分たちがどれだけ楽しく働けてるかが大切です。私たち自身が楽しめる取り組みが、結果的に患者さんのためになっているというところが伝わったのだと思います。
今回、受賞ができて、やはりスタッフが一番喜んでいました。自分たちの取り組みが一般の方に評価されるって、最高に嬉しいですよ。今まで以上に士気が高まりましたね。
―アワード当日も拝見したのですが、スタッフ同士の仲が良さそうで、とても良い雰囲気でした。日頃からコミュニケーションで大事にされていることはありますか。
松岡
大事にしているのは「志の共有」ですね。共に同じ志で働けると自然と雰囲気は良くなります。後はフォーマルなコミュニケーションだけでなくインフォーマルなコミュニケーションも意識して出来る関係性を心がけています。
松岡さんってどんな人?スタッフの方々に聞いてみた
日ごろからコミュニケーションを大切にされているという松岡さん。まんまる薬局のスタッフであるボランチの廣野翼さんと薬剤師の佐藤愛里さんにもお話を伺ってみたいと思います。
―皆さんから見て、松岡さんはどんな方でしょうか。
そうですね、僕にとってはいつも向上心をくれる人です。言葉だけでなく自身の行動で証明してくれるので尊敬できる存在で、皆を引っ張ってくれるというより、いつも自由を与えてくれます。何より周りを巻き込む力がすごいです!
私にとっての松岡さんは、天然で天真爛漫な一面もありながら、非常に熱く向上心があってカリスマ性がある方。行動力、外への発信力も長けていると思いますね。普通ならそんな事言えないと思うことも、松岡さんは世間体に囚われず、こうするべきだと発言出来る方です。チャレンジ精神旺盛で新しい事にどんどん突っ込んでいき、情熱溢れる人だと感じています。
―松岡さん、スタッフさんにとても信頼されていますね。 現在、松岡さん自身はどのように薬局業務に関わっておられるのでしょうか。
松岡
現在は薬局の運営全般に関わっております。僕の仕事は薬局が目指すVisionを示して、Vision実現のための居場所を創る役割だと考えてます。
まんまる薬局での働き方について
熱い志を掲げる薬局代表の松岡さんにお話を伺ってきましたが、ここからは、まんまる薬局で働くスタッフの方々にスポットを当て、お話を伺っていきたいと思います。
ボランチの廣野翼さんに聞いてみた
―廣野さんがまんまる薬局で働くようになったきっかけは何だったのでしょう。
廣野
自分自身、人のために何かするのが好きなのだと気づいた事、まんまる薬局の企業理念に共感した事がきっかけですね。それまでは、上司から言われた事以外はできない、縛れたような環境だったので、自発的に行動するということはありませんでした。hitotofromがベンチャーだということもあり、自分から仕事をみつけて行動できる環境のおかげで、受動的から自発的に考え方と行動が変化していきました。
―廣野さんにとって、在宅医療におけるボランチの仕事のやりがいは何ですか。
廣野
やはり患者さんからの『ありがとう』をもらえた時ですね。想いは人それぞれ、いろんな形があるので、自分なりの想いの届け方が出来るところにやりがいを感じています。お亡くなりになった患者さんに、自分は薬以外に何を届けられたかをいつも考えます。
薬剤師の佐藤愛里さんに聞いてみた
―まんまる薬局の良いところはどんなことでしょうか。
佐藤
患者さんはもちろんですが、仲間への思いやりが強いため温かい環境です。
また、枠にとらわれず、常に新しいものに目を向け進んでいき、その変化にメンバーが柔軟に対応しています。従業員全員、社長(松岡さん)に負けない情熱を持って活動しています。
―佐藤さんがまんまる薬局で働くようになったきっかけは何だったのでしょう。
佐藤
きっかけは前職の知人の紹介でした。社長の人脈の多さこその出会いだと思っています。
- 社長の想いに共感
- 患者さんに対して能動的に動ける
- 在宅医療に真剣に取り組んでいる
- 薬剤師に限らず人として成長し活躍できる
- 現状維持で満足せず、夢や情熱で溢れている
こうしたことに惹かれてこのチャンスを逃してはいけないと思いました。働くようになった当時、それまでは決められた枠組みの中、マニュアル通りに動いてきた自分に気が付きました。今では患者さんのために自分で考えて行動するという自発的な意識に変わりました。
―前職と比べて、まんまる薬局の在宅の仕事はどうですか。
佐藤
これまで働いてきた他の薬局と比べ、患者さんの情報量が多いですね。外来の方だと処方箋と本人からのお話ししか情報を引き出せませんが、在宅医療は医師、ケアマネジャー、看護師など様々な方からの情報があります。
また、実際に訪問に行き、患者さんの生活に足を踏み入れるので薬の管理方法や普段の過ごし方が把握できます。外来での患者さんの発言が、いつでも全て正しいとは限らないので、実際に目で生活を確かめられる事は在宅医療の良さだと感じています。
末期の患者さんも多いため、急変して薬の変更や麻薬を出す回数は多く、緊急を要する薬の迅速な対応が求められています。
―薬剤師として働くなかで、これからの目標を教えて下さい。
佐藤
世の中の在宅医療に対する、汚そう・怖い・不安という高いハードルのイメージを変えていきたいです。
ボランチ制度を発信していき、在宅医療が素晴らしくやりがいのある仕事という、在宅に対する意識改革が目標です。それが我々、まんまる薬局の使命だと感じています。
医療分野以外でのアピールポイントを作ったりもしていきたいですね。
今後の個人在宅について
―スタッフの方々のお話を伺い、まんまる薬局全体の意識がとても高いと改めて感じました。松岡さんご自身は、いま薬局で取り組んでいる個人在宅が今後どのようになっていくとお考えでしょうか。
松岡
個人在宅は今後コミュニティデパートのように、患者さんが「自宅で療養するためにはこうしたサービスが必要だから、このサービスを選択しよう」など、どんどん患者さんや家族側から選ばれる形になってくると思っています。
更にリモートでの服薬管理が可能になってくれば、デバイスを持っていき必要があれば薬剤師と繋げられる非薬剤師の存在が大きくなると思います。我々でいうと、ボランチですね。きっと個人在宅での領域では、ボランチ制度がデファクトスタンダードになってると思いますね。
個人在宅を進めていくにあたって、かかる手間と報酬としての点数が見合っていないことも課題の一つだと思ってます。点数分配の予算が決まってるのであれば、個人在宅に点数を高めに配分していただきたいかなとも感じます。メッシュな課題がみえておらず議論にもあがってないところが問題ですね。
―個人在宅の患者さんにとって、ボランチ制度は心強いしくみとなるのではないかと感じました。コロナ禍における個人在宅の課題は何でしょう。
松岡
まんまる薬局の場合、おうち訪問薬剤サービスに特化しているので、店舗に不特定多数の患者さんが来局されることはとても少ない状況です。だから私たち自身が感染対策を徹底して、在宅で療養されてる患者さんやそのご家族を守ることを最優先して行動することが重要です。
課題としてはもう1点。家庭内感染も多いことから、ご家族の新型コロナ感染に対する意識は高める必要がありますね。非常に難しい部分ではありますが、我々がしっかり伝えていくのが使命とも考えています。
―では最後に、薬剤師や薬学生の方々へメッセージをお願いします。
佐藤
薬剤師は薬のプロフェッショナルとして重要な役割を担っています。今後の薬剤師は周りがやってるからやるのではなくて、自分がこう思うからやる、という自主性がある人が求められています。責任を持てば持つほど、様々な立場から患者さんに寄り添え、視野や可能性を広げることができます。薬剤師の存在価値を一緒に高めていきましょう!
松岡
薬剤師が活躍できる、輝ける居場所を全力でつくりたいと思っております。全ての薬剤師や薬局の力で、今よりもっと医療業界をアツく盛り上げていきましょう!
松岡・佐藤・廣野
在宅医療に興味がない方も是非少しでも我々の存在を知っていただけたら嬉しいです!!
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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