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サンコー調剤薬局 昼間店の矢田さんに聞く、薬剤師の働き方とコロナ禍における薬局の取り組み

第4回 みんなで選ぶ薬局アワードで特別審査員賞を受賞した、サンコー調剤薬局 昼間店。

健康につながる地域のみなさまとの交流が自然なかたちで生まれる薬局をめざしています』というテーマで、「ママ講座」「オリジナルブック」「LINEでの情報発信」など子育て中の方に嬉しい薬局の取り組みを紹介していただきました。

そんなサンコー調剤薬局 昼間店の魅力や、薬剤師の働き方、コロナ禍における薬局の取り組みについて、プレゼンターの矢田智子さんにお話を伺いました。

矢田智子さんのプロフィール
やた・ともこ サンコー調剤薬局昼間店 管理薬剤師。1974年生まれ、徳島県出身。第一薬科大学卒。同大学実習助手勤務後、福岡県の調剤薬局薬剤師として勤務。2014年出身地である徳島県に移りサンコーファーマシーグループ株式会社グローバル・ファーマに入社。保険調剤や医薬品の販売、健康相談、高齢者施設や個人の在宅介護支援を通して、地域医療に貢献している。

 

サンコー調剤薬局 昼間店について

―特別審査員賞の受賞、本当におめでとうございます。

矢田

ありがとうございます。四国山間部の薬局から、私たちサンコー調剤薬局 昼間店の取り組みを全国に発信できたこと、また特別審査員賞も頂き、薬局アワード運営の皆様、視聴者の皆様、来局してくださっている全ての方々に、この場をお借りして、心より感謝申し上げます。

―まず、サンコーファーマシーグループついて教えていただけますでしょうか。

矢田

はい。サンコーファーマシーグループは、昼間店より東に位置する徳島県美馬市で、1984年に町の相談薬局として現社長が開局しました。当時から健康相談や子供の食事、農薬のことなど幅広く対応しており、薬局業務だけに留まらず、未病から支える 地域社会の健康増進に貢献するなど、今につながる社風、理念の原点があります。

グループの拠点となる徳島県は全国でも子育て支援が行き届いた自治体です。その中の一つとして子どもの医療費助成制度があります。子どもが健康保険等で医療を受けた場合の医療費の自己負担分を助成する制度で、徳島県全域で中学校修了まで受けられます。昼間店がある東みよし町を含む11市町村(山間部)では、18歳に達する年度末まで助成が受けられるようになりました。一方、徳島県の医療事情というと、医師・歯科医師・薬剤師の地域偏在があり、山間部の県西部と都市部(東部)との医療格差があることが特徴です。

サンコーファーマシーグループは徳島県内に11拠点を持ち、現在も県西部を中心に、地域に根ざした地元の薬局グループとして展開しています。

―サンコー調剤薬局 昼間店は、2018年にリニューアルされたのでしたね。以前はどんな薬局だったのでしょう。

矢田

はい。サンコー調剤薬局昼間店は、2008年に小児科・アレルギー科クリニックの近くに開局しました。当時より、当社の管理栄養士が対応して栄養・食事の相談は受けておりましたが、クリニックからの依頼があれば受けることが中心で、薬局内でのイベントなど積極的には行っていませんでした。

近くのクリニックはとても人気があるため、薬局も混雑することが多く、知らず識らず調剤から投薬までの流れに正確さとスピードが求められているという意識に特化した薬局でした。

―リニューアルをきっかけに、スピード重視の考え方から意識が変わっていったのですね。

そうですね。現在の昼間店は薬局アワードでも紹介した通りですが、薬剤師、管理栄養士、登録販売者、その他資格を持つメディカルスタッフが連携し、地域の方々の健康をサポートしています。

親子連れの来局者が多いので、大人も子供もリラックスできる空間・環境づくりを意識しながら、子育て中のママのためになるイベント「ママ講座」の開催、子どもの薬の飲ませ方・使い方や病気の予防・病気になってからの対策をご紹介した「オリジナルブック」の配布、健康相談、子供の栄養相談など、来局者のニーズにあった薬局として機能しはじめているというところです。

―現在の昼間店は、どんなことを大切にしているのでしょうか。

矢田

薬剤師、他職種問わず、コミュニケーションを大事にしています。

昼間店は、将来、処方せんなしでも来局してもらえる薬局を目指しているので、健康相談者一人一人にカウンセリングシート(調剤薬局でいう薬歴)を作成し、スタッフ全員で共有・意見交換しています。担当スタッフ以外の者が受けても、現在服用中の薬やアレルギーの有無、前回どうだったかなどの状況把握から申し送りまでできるので、スムーズに対応できます。管理栄養士専用のスケジュール表を共有することで、健康相談が突然入っても調整可能か把握できるようにしています。

医師とは直接会話する関係を心がけ、面会時間を頂き、認識の食い違いがないよう努めています。現状禍においては、日常業務中のコロナ対策や患者対応の助言など、現場で混乱しないような配慮も頂きました。

医療機関などに問い合わせする際にも、時間帯事情がわからないので、「お忙しいところすみません」とか「ご相談したいのですが、今大丈夫ですか?」など相手側が多忙中としたうえでの対応を心がけています。「ありがとうございます」、「お伺いできてよかったです、助かりました」など感謝の気持ちも伝えて、お互いが気持ちよく業務できるよう努めています。

薬局アワード参加について

―今回、薬局アワードにエントリーしたきっかけについて教えていただけますか。

矢田

はい。きっかけは、当社の経営企画室の担当者が薬局支援協会 代表理事の竹中さんのツイートを見て、全国の薬局から創意工夫している薬局を表彰する「薬局アワード」の理念と思いを知り、非常に共感したためです。

そこで、昼間店のスタッフが自分たちで考え、実施していることを全国の皆様に知って頂きたいとなり、担当者が独断でエントリーしました。

―独断でエントリーだったとは驚きです。自由度の高い会社なのですね。実際に薬局アワードに参加してみてどうでしたか。

矢田

経営企画室の担当者から二次選考、本選出場の連絡がある度に驚いていました。スタッフの一人が「二次選考の準備はもう本選と思って全力で準備をしましょう」と言ってみんなでスライド作成などの発表準備をしました。

本選出場の準備は特にないかと私自身は思っていましたが、スタッフの誰かから「このスライドで自分たちの想いって伝わっているかな」という話になり、再度、今まで配信したSNSやアルバムなどを掘り起こし、振り返って、本選前に一からスライド作成に取り組みました。

矢田

本選当日はトップバッターと言うこともあり、とても緊張しましたが、すぐにやりきった達成感がありました。自分の発表後は一視聴者となって、当日サポートしてくれたスタッフと一緒に、他の薬局や薬剤師のみなさんの取り組みに、ただただ感動していましたね。

―発表には、終始スタッフの方々の熱い思いが込められていたのですね。改めて感動しました。薬局アワードで特別審査員賞を受賞して、周囲で何か変化はありましたか。

矢田

受賞した直後に、サンコーファーマシーグループのスタッフがLINEでコメントをくれたり、クリニックの先生や卸の方からお祝いのお言葉も頂きました。

表彰盾が薬局に届いた日に、記念写真を撮ってSNSに配信したところ、友人知人からコメント頂いたり、多方面の方々からいいね!を頂き、サンコーファーマシーグループのフォロワー数も増えました。

店内には、薬局アワードの内容やエントリーして特別審査員賞受賞したことを表彰盾と一緒に飾っています。来局者からの直接的なコメントは特にありませんが、待ち時間にじっくり見て頂いてます。

また、アワードを視聴した県外の薬学生からお話ししたいと連絡を頂いて、ZOOMでメディアの方がた顔負けの質問を受けることもありましたね。色々お話しできて薬局見学に行きたいと改めてお返事頂き、スタッフ一同嬉しく思いました。

―コロナ禍において、紹介いただいた取り組みはどのようにされているのでしょうか。

矢田

昼間店のイベント「ママ講座」は今年で3回目でした。1回目、2回目は講演中心のイベントだったので、今年は親子参加型のワークショップを考えて準備しはじめていました。

しかし、コロナ禍ではワークショップだと、どうしても3密は避けられない… どうしようかと思っていましたが、過去のイベントで都合上参加できなかった方もいたので、急遽1回目、2回目の総集編として、ママのためになるお話を「ママ講座3」として開催し、店内のグリーンパネルに掲示したり、SNSで発信することにしました。

また、管理栄養士も「オリジナルブック」を作りたい!と言うことで、小さな子どもの毎日の食事をテーマにした管理栄養士監修『こどもの食事BOOK』が新たに仲間入りしました。

薬剤師としての働き方について

―今回紹介いただいたサンコー調剤薬局 昼間店の取り組み、本当に素晴らしかったですが、色々な困難や課題に直面して大変だったのではないでしょうか。

矢田

いえ、むしろアワードでご紹介したこれらの取り組みを始めてからはワクワクの連続です。

私がサンコー調剤薬局 昼間店に配属された2017年、昼間店は開局10年目を迎える頃で、小児科クリニックの前にある地域の薬局として、すでに認知され、機能しているという印象でした。2018年のリニューアルオープンのきっかけは、道路の拡張工事。県道沿いにある昼間店は移動を余儀なくされ、新築することになりました。

毎年出生数減少のニュースがあり少子化と言われてますが、地元の田舎にこんなに子供がいるのかと驚くほど、毎日多くのお子さんが昼間店に来局していました。当時より、投薬中に患児の保護者から薬の飲ませ方・使い方の質問や、薬に頼らない体づくりなど色々相談を受けることがありました。

矢田

このリニューアルを機に、今までとは違う内装で、待合室も調剤室も広々となった薬局で、今後どんな薬局にしたいか?となったとき、ただ薬の提供をするだけでなく、薬に頼らない体づくりも提供していること、薬剤師だけでなく管理栄養士、登録販売者、その他のメディカルスタッフも地域の健康サポートを担っていることを、まず、アピールしたい!が何の迷いもなく出てきました。

MTGの時間を設けてはいたものの、ちょっとした空き時間や休憩時間に出る色々なアイデアや意見で少しずつ形になっていることにワクワクし、時には意見の違いで立ち止まることもありました。でもそれは一瞬で、また、“次のワクワク”がやってくるといった感じでした。

現在も、昼間店は地域の方々の健康に自然と携われ、必要とされる薬局」=スタッフそれぞれの日常業務に対する意識でワクワク感を持ち続ける薬局 を目指しています。

―日常業務に”ワクワク”を持ち続けることで、地域の健康に自然と携われる…そのように働けることはとても素敵なことですね。サンコー調剤薬局 昼間店では、薬剤師の働き方で何か工夫していることはありますか。

矢田

昼間店では、もともと業務の効率化を最優先していたので、グループのどの店舗よりもハード面が充実しています。自動水剤器、分包器や軟膏練り器、電子薬歴の導入により、残業はほとんどありません。

ソフト面では、いくつか工夫があります。まず、スタッフの日常業務のモチベーションアップを期待した環境を整えてます。近くがクリニックということもあり、来局者の混み合う時間帯が昼前と夕方になります。各薬剤師の勤務開始時間をずらし(早出、遅出など)、個人の休憩時間確保と、在庫管理や事務仕事できる空き時間の確保をして、残業ゼロに努めています。また有給休暇もできるだけスタッフ全員消化できるように努めています。どうしても休みが他のスタッフと重なる場合は、当社のヘルプ要員にきてもらい調整しています。

もう一つは、患者さん又はそのご家族、他職種等からのクレームや要望、問い合わせの内容を電子薬歴とは別に書き留めてファイリングし、スタッフ全員とその日に情報共有・前向きな意見交換しています。

実は、指導せんを改めて作成するきっかけとなったのは、そのファイリングの内容を掘り起こし検討したことが始まりでした。子どもの薬の飲ませ方・使い方をわかりやすくまとめることで、服薬指導の際、薬の服用ポイントを擦り合わせでき、患児の保護者やそのご家族の混乱を防ぐことができます。

あとは、LINEで昼間店スタッフ専用のグループ化しています。緊急連絡がある場合でも一斉に周知徹底できて便利です。

―矢田さん自身は、薬剤師として働く上で、何かこだわりをもっていらっしゃいますか。

矢田

私は、自身のレジリエンス(外的ストレスを跳ね返す力)を信じて、次につなげる、つながる仕事・環境づくりにこだわってます。

調剤薬局では、まず処方箋や薬で患者さんとつながって、患者さんの健康につながります。薬剤師は患者さんの症状や経過を薬歴に記載して次につなげています。

当たり前の日常業務ですが、患者さんが集中して来局される中、疑義照会、FAX処方箋の対応、備蓄薬がなくてその手配、問い合わせ電話の対応…など、色々が重なると、こなすだけの日常業務になってしまい人間も機械化されがちで、いつの間にか患者さんではなく自分本位の業務に偏ってしまいます。昼間店では、そんな当たり前の日常業務を、患者さん側へシフトさせる環境づくりからはじめました。

カウンセリングシートの作成やクレームや要望、問い合わせなどの報告書をファイリングして薬剤師と他職種がその都度情報共有し、前向きな意見交換をしています。かわいい指導せんを作成してお薬手帳に貼付し、患児や保護者に健康と安心をつなげたり、地域の方とつながるイベント「ママ講座」も開催しました。そして今回薬局アワードでご紹介した昼間店の取り組みが評価され、特別審査員賞の受賞につながりました。

こうして、つなげて形づけたり、つながって形になると周りに笑顔が増えて仕事が楽しくなります。

薬局や薬剤師の今後のあり方について

―薬局や薬剤師の今後のあり方について、どのようにお考えでしょうか。

矢田

薬局・薬剤師は、薬をお渡しするだけでなく、地域の方々の健康をトータル的にサポートしていることをイベントなど開催してアピールしたり、医療機関や他職種と積極的に連携していくことが重要だと考えます。

今回コロナ禍を経験して、地域の方々の混乱を防ぐため感染予防対策の正しい知識と対応で不安を和らげたり、発熱患者さんや高齢者への対応などあらゆる状況を予測した他職種や関係機関との連携は、地域に必要性を認められているからだと感じました。

薬だけでなく視野を広げて、薬局を利用されてる方々や働く仲間との日頃のコミュニケーションはとても必要と思いました。

―最後に、サンコー調剤薬局 昼間店で今後の目標やチャレンジしたいことをお聞かせください。

矢田

今回ご紹介した当店の取り組みは、全て「ママ講座」から発展していったものです。

矢田

調剤薬局に管理栄養士がいて子どもの栄養相談、健康相談ができ、処方せんなしでも立ち寄ってもらえる薬局としてアピールしてきましたが、まだまだ認知不足なのが現状です。

自分たち自身も今後どうやっていこうか、このコロナ禍を経験してますます考えさせられています。地域の方々とコミュニケーションとる一つのツールとして、まずはイベントや情報発信を続けていこうと思っています。

またスタッフを巻き込んで、薬だけに頼らない、栄養素と食事による栄養療法の勉強中です。薬は健康になるための手段ですが、薬に頼らない健康づくりに注目し、地域の方々のセルフメディケーションを積極的にサポートしていきたいと思っています。

薬剤師・薬局の業務は、これまで薬中心のモノから患者さん中心のヒトにシフトしています。すべては患者さんのための薬剤師・薬局として機能しないといけません。笑顔になる職場づくりで私達の心と体が健康であれば、自然と足を運びたくなる薬局になると思います。

矢田

急速な少子高齢化に伴って、薬剤師に求められる役割と責任は大きくなっています。

徳島県西部には、薬剤師が不足しています。地元の子どもたちが、将来こんな薬剤師になりたいなと思い、県西部の医療を支えてもらえるよう、微力ではありますが、地域のニーズにあった薬局・薬剤師をアピールしていきたいと考えています。

私たちの取り組みに少しでも興味があって、こんな薬局で働いてみたいなと思って来て頂けたら嬉しいです。

みんなで選ぶ 薬局アワードとは? 】
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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