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第2回「みんなで選ぶ 薬局アワード」で特別審査員賞を受賞した旭川中央薬局って、どんな薬局?

2018年5月に開催された第2回「みんなで選ぶ 薬局アワード」で、特別審査員賞を受賞した旭川中央薬局。

『薬局ファーストで健康サポート「かかる前薬局」のチカラで地域を健康に!』というテーマで、検体測定室での血液自己チェックや口腔ケアなどの一次予防を通して、糖尿病などの生活習慣病の健康サポートを行うなど、「保険でメシを食えなくなる」薬局を目指した取組みをご紹介いただきました。

そんな旭川中央薬局の魅力について、プレゼンターの長塚健太さんにお話を伺いました。

長塚健太さんのプロフィール
ながつか・けんた 1989年生まれ、北海道旭川市出身。北海道医療大学薬学部卒(6年制3期)。
株式会社中央薬局旭川中央薬局勤務、薬剤師、息育指導士(あいうべ体操アドバイザー)、糖尿病予防家、一般社団法人旭川薬剤師会理事。

 

一次予防に力を置いた「かかる前薬局」を目指す

——審査員特別賞の受賞、おめでとうございます。最初に旭川中央薬局について教えてください。

長塚:

ありがとうございます。中央薬局は、創業39年の老舗保険薬局として北海道旭川市内に8店舗を構え、外来調剤はもちろん、古くから在宅ケアに携わり、疾病の一次予防にも力を注いでいます。

長塚:

旭川中央薬局は、市立旭川病院のいわゆる門前薬局として平成12年に開局しました。

グループ内で最も規模の大きい店舗で、スタッフそれぞれが様々なミッションにチャレンジできる場であり、自由な発想で来局者の人生の輝きを維持し、人間本来の生き方や亡くなり方を支えています。

 

——旭川中央薬局のアピールポイントは何でしょうか。

長塚:

医薬品による三次予防を行いながら、薬からの脱却や来局者自身の自立をサポートする「かかる前薬局」を目指しています。

来局者を対象に、検体測定室を活用した血糖値測定から口腔セルフケア、生活習慣改善指導など疾病の一次予防に取り組み、受診が必要な場合は適切なタイミングでプロフェッショナルケアへの橋渡しを行っています。

 

——今回の受賞について、どのあたりが評価されたとお考えですか?

長塚:

薬局の機能として「健康サポート薬局」が制度化される中、社会的な役割や活動がまだはっきりとしないのが現状です。

だからといって国の施策を待つのではなく、薬剤師自身が積極的にその役割を作り上げていく必要があり、その一つが検体測定室なのであると考えています。

検体測定室をツールに医療費の削減健康寿命の延伸のために、私たち薬剤師は疾病予防に取り組むことが出来るのではないでしょうか。

こういった医療へのファーストアクセスとして薬局を利用する取り組みと、その取り組みを表現する「かかる前薬局」というワードチョイスが評価されたのではないかと考えています。

 

——なぜ薬局アワードにエントリーされたのでしょうか?

長塚:

実はあるとき、健康サポート薬局の認定を受けた薬局の経営者の方々から「健サポ取ったけど具体的に何をしたらいいんだろう?」という相談を受ける出来事がありました。

当薬局は、制度上の「健康サポート薬局」ではなく「健康チェックステーション」です。慌てて健康サポート薬局の役割や要件について調べたところ、真の意味で顧客の健康をサポートできないのではないかと感じました。

なぜなら、健康をサポートする薬局に必要な「モニタリング」と「健康リテラシーの向上」を行う機能が欠けているのです。健康サポート薬局には、顧客が自分自身の状態を「モニタリング」し、高い「健康情報リテラシー」を持って行動を変えられるよう支援する機能が非常に重要です。

検体測定室はこの2つの機能を併せ持ち、そのあり方を見つめ直すとともに、より多くの一般消費者や薬剤師にも知っていただきたいという想いでエントリーしました。

 

地域に密着した媒体でのアピールも必要

——プレゼンテーションでは「保険でメシが食えなくなる薬局」を目指す取り組みをご紹介いただきましたが、他にもエピソードや課題がありますか?

長塚:

検体測定室の認知度は設置当初より高まっていますが、「測りたい、知りたい」というニーズと、「この薬局でできる」という情報をつなげるのが大きな課題になっています。

地元紙に取り組みが掲載されたときは、通常の10倍以上の反響があり、潜在的なニーズがあるにもかかわらず、情報が届かないことが歯がゆいところです。

プレゼンテーションでご紹介した「あいうべ体操」についても、カウンターで指導すると「何それ?」という目で見られることも少なくありません。ペンライトを持って「ちょっと口の中を見せてください」とお願いしても、関係性ができていなければ簡単には見せてくれません。

顧客を正しいセルフケアに導くためには、やはり普段からの信頼関係が重要であると身に染みて感じています。

平成30年度 歯科診療報酬改定では、歯科医院のオーラルフレイル(口腔機能低下による身体の衰え)を予防する口腔管理に加算が設けられました。

今後もこういった予防的診療や取り組みにフィーが付く活動を、加速させる必要があると考えます。

 

——薬局アワードに参加されてみていかがでしたか?

長塚:

予防家の活動は、疾病の一次予防を通して得られる消費者の自立や、健康寿命延伸医療費の削減を真のアウトカムとしています。

ただそのプロセスで、いわゆる二次予防的に疾患を早期に発見してしまうと、受診の長期化にもつながります。ひょっとすると私の活動は医療にアクセスを促しているのではないか?というジレンマをどこかに抱えていました。

今回薬局アワードに参加し、評価をいただいたことで、少なくともオーディエンスや特別審査員の皆様に認めていただける活動であるという自信を持つことができました。

 

——参加後のスタッフや周囲の反応はどうでしたか?

長塚:

全国の薬剤師や関係者の皆様、SNSでつながりのある多職種の方々からたくさんのお祝いのメッセージを頂きました。

一方で、いただいた盾などを待ち合いスペースに置いていますが、一般の方は、まだほとんど興味がないようです。今後は患者さんや顧客へのPRの重要性も感じています。

先日、地方新聞にインタビュー記事を掲載していただいたところ、多くの患者さんや関係者の方々が目にされ、新聞を見た方から電話相談もありました。特に当薬局が手がけている一次予防は、薬局を利用していない顧客の開拓が必要なので、地域に根差した媒体広報ツールにもこだわっていきたいと思います。

 

ゼロをプラスにして維持する「健康の自立支援」を目指す

——旭川市の医療事情とその課題について、長塚さんのお考えをお聞かせください。

長塚:

旭川医科大学があり、医師をはじめとする医療リソースには恵まれています。国民皆保険制度を始めさまざまな公的支援により、比較的軽症でも容易に医療機関にかかることができます。

こういった現状は本来喜ばしいことであり安心感を生みますが、反面、地域住民の疾病予防の意識を摘み取り、自立の機会を失わせてしまいます。

健康増進法第2条に定めるように、健康であることは国民の義務です。国民皆保険も、健康に努力して初めて成り立つ制度であるということを、忘れてはならないと思います。

薬局薬剤師には、その努力を支援し、健康自立への道を開拓していく役割があると考えています。

 

——北海道胆振東部地震では、停電の中で薬局を開いたとお聞きしました。当時はどのような状況だったのでしょうか。

長塚:

この度の北海道胆振東部地震で被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げますとともに、犠牲になられた方々とご遺族の皆様には、深くお悔やみを申し上げます。また、全国の薬剤師を始め多くの方々から暖かいメッセージをたくさんいただき、心より御礼申し上げます。

発災直後、社内スタッフの安否店舗状況の確認は、社長や副社長が音頭をとり行っていました。

私は旭川薬剤師会で広報部長を務めているので、自らの部の委員の安否と、それぞれの病院や薬局の状況把握と報告に努めました。日頃の多職種とのつながりを活かし、歯科医師会の防災担当者と連絡を密にとって地域の防災情報を共有しました。

大規模な停電のため信号は機能せず、車は危険なので最低限の身支度をして徒歩で店舗まで向かい、市立旭川病院の薬剤科と情報交換しながら、発災当日は体調が安定している患者さんで、分包機を使用しない処方のみ調剤を行いました

調剤室も停電していたので、集めた懐中電灯や釣り用のヘッドライトを使って対応しました。

長塚:

インスリン製剤などの冷所品は、医薬品卸売業者の冷所品コンテナを借りて避難させたので、大きな被害がなく済みました。朝一番に駆けつけてくださった担当者の方々には感謝しかありません。

旭川市は震源地の胆振地方中東部から距離があったため、当薬局も含め、近隣市町村の多くの薬局は、2日目には電力が復旧しました。

旭川薬剤師会でも昨年度よりBCP(事業継続計画)の策定に取り組んで来たのですが、今回の北海道胆振東部地震では、停電によるアナログでの安否確認の方法など多くの課題が残り、今後の検討が急務であると感じています。

その後、旭川薬剤師会のイベントとして行った「あさひかわくすりと健康マルシェ」では、地域住民との関わりを積極的に設け、災害時のお薬手帳の重要性にも触れることができました。

 

——実際に災害を体験されたからこそ、多くの課題が見えてきたのですね。新たな目標やチャレンジについてはどうでしょうか?

長塚:

これまで同様「健康の自立支援」に一層取り組んでいきたいと思います。

最近は女性の健康について考える機会も多くなりました。例えば、女性は閉経すると女性ホルモンの分泌が減るので骨密度が低下します。

骨密度のピークは20歳頃で、その頃までにどれだけ増やせるかが閉経後の骨密度に大きく影響します。若い世代でも授乳中などは骨密度が低下しやすいので、早いうちから骨の健康を意識して運動などに気を配ることが重要です。

昨今話題になっている緊急避妊用ピルのOTC化や、ヒトパピローマウイルスの検査、子宮頸がん検診など薬剤師が関わるべきフィールドも多く、女性の健康疾病予防の取り組みは、今後も継続して進めていきたいと思います。

 

——実際に、旭川中央薬局の薬剤師が独自に取り組んでいることはありますか?

長塚:

当薬局では、薬剤師はモノに責任を持ち価値を与えることのできる職種という考えから、薬剤師が厳選した「こだわりの一品」を店頭に置いて販売しています。

品揃えや価格はドラッグストアや大型量販店にはかないませんが、薬剤師が自信を持って勧めることでモノに価値が生まれ、正しい使い方を指導することで、その価値は何倍にも大きくなります

モノ売りというと、医療業種とは相性が悪いように思えますが、私が本当に販売したいモノは健康です。

長塚:

地域住民の健康リテラシーの向上に貢献する方法も考えていて、身近な薬局を情報発信の拠点に利用しない手はないと思います。今後は健康な顧客も患者さんも、いかに処方箋を持たずに来局していただけるかが重要になるのではないでしょうか。

その一つの方法として、一般消費者にもわかりやすく、エビデンスも信頼できる医療情報本を貸し出すこだわりの1冊」も開始しました。次回の受診時に返却してくださいとお願いしていますが、ゆくゆくは処方日数より少し短い返却期限を設定して、返却と同時に患者さんの体調服薬状況の確認など健康管理ができるようになればと考えています。

 

——まさに一次予防への足がかりになりますね。最後に薬局や薬剤師の今後のあり方についてお聞かせください。

長塚:

国民皆保険制度により誰でも高水準の医療を受けられる日本は、病気でマイナスになった体をゼロに戻すための専門家が多数存在し、薬剤師もその一翼を担っています。しかし、国民の義務である健康を意識し、ゼロをプラスにして維持する専門家は少ないのではないでしょうか。

薬局薬剤師がその役割を担い、ちょっとした体調不良や健康維持に関する相談ができる場所として、薬局が地域の「健康チェックステーション」になることができれば、少子高齢化社会ののちに訪れる人口減少社会にも対応できるかもしれません。

平成28年4月よりスタートした「かかりつけ薬剤師」制度では、「当たり前に行っている薬剤師業務に対して、料金を頂くことには抵抗がある」といった声が多く見受けられます。

しかし日頃から、かかりつけ薬剤師を見つけておけば、健康相談から薬の管理、受診の相談などが気軽にできる健康サポーターになるはずです。こうした薬剤師のあり方が「かかる前薬局・薬剤師」であり、薬局薬剤師の未来であると考えています。

これからも、人生の全てのフェーズで健康を提供していける薬剤師を目指していきたいと思います。

ファーマシストライフ編集部
(写真提供:旭川中央薬局)

 

NEWS
「第3回 みんなで選ぶ 薬局アワード」5月19日(日) 中目黒GTプラザホールにて開催決定!
2018年12月より薬局のエントリーを受付中です。

詳しくは薬局アワードのWebサイトをご確認下さい。

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