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健康サポートできるのは薬剤師だけではない。薬局は解決に繋ぐことのできる場所 -有限会社キムラ薬局 本店

有限会社キムラ薬局 本店 中島美紀さんのプレゼンテーション

今回は、2017年「第1回みんなで選ぶ 薬局アワード」で、オーディエンス賞を受賞した、大分県の有限会社キムラ薬局 本店 中島美紀さんのプレゼンテーションをご紹介します。

※薬局アワード受賞当時の内容です。お取り組みの最新情報については各薬局へご確認ください

テーマは「薬局をハブにしてつながるネットワーク」

中島:

こんにちは。大分県別府市から来ました薬剤師の中島(なかしま)です。

今日はトップバッターで非常に緊張しております。早口だったり聞き取りづらいことがあるかもしれませんが、一生懸命お話させていただきますのでよろしくお願いします。

今日は「薬局をハブにしてつながるネットワーク」について、当薬局の取り組みをお話させていただきたいと思います。

中島:

まずはじめに、私の働いている薬局は230床の病院の門前の薬局です。

1日に来られる患者さんは100人前後、半分は門前の、目の前の病院の患者さんです。あと、17軒の介護施設にお薬をお届けしたり、月に5人ほど患者さんの家にお伺いしてお薬をお持ちしてます。

最近、お薬を渡すだけでなく、さまざまなご相談を受けることが多くなってきました。その理由は当薬局の取り組みにあります。

さまざまな取り組みをしてるんですけれども、いろいろ取り組んでいたら結果、薬局をハブにつながるネットワークができました。

中島:

まずはじめに地域で他職種で認知してもらうために、『ケア・カフェゆのまち』を開催しました。

最初は薬局を知ってもらいたいという思いから始めたカフェですが、多職種がざっくばらんに話しができる場所の提供が好評で、「次はいつやるの?」といううれしい言葉を頂いて、先月で第6回をオープンできるほどに続けることができています。

 

それから、他職種の主催する勉強会へ事務のスタッフさんと一緒に参加しました。

最初は「営業でしょ?」とかいろいろ言われてたんですけど、何度もしつこくいろんな会へみんなで手分けして参加していくうちに顔をつなぐことができ、さらに薬剤師の勉強会では知り得なかったさまざまな知識を得ることができました

そんな中、在宅に一緒に行っていたスタッフさんから、勉強会でグループワークしたり、施設に営業に行ったりする中で、必ず「資格は?」と聞かれるんです

私自身も事務として薬局で働いてた経験があり、そのもやもやとした気持ちが何となくですが理解できました。

じゃあ一緒になんか取ってみよう、ということで、日本認知症ケア学会が認定する、認知症ケア専門士、これを一緒に挑戦してみました。

この資格は、認知症ケアに対する優れた学識と高度の技能、および倫理感を備えた専門技術士を養成し、我が国における認知症ケア技術の向上、並び、保健福祉に貢献することを目的とする資格です。

その後、大分県で認知症カンファレンスという大きな勉強会があったんですが、うちのスタッフの事務さんが、医師や看護師、ケアマネージャーさんと並んでシンポジストとして皆さんの前で当薬局の取り組みについてお話しすることができました。

資格を取ったからというわけではないですが、スタッフのモチベーションアップにつながりました

 

また、厚労省の補助事業管理栄養士を薬局に派遣するという事業があって、うちの薬局にも6カ月間、管理栄養士の先生が来られました。

栄養相談は6カ月で延べ245人になりました。相談内容は栄養に関する相談はさまざまでした。全体の割合としては2.6%でしたが、患者さんからは大好評でした。

中島:

お薬をお届けしている患者さんの家にも一緒に行って、体重を測定したりBMIを測定して栄養相談をせていただきました。

これがすごい好評だったので、じゃあ来てもらおうということで、週2回、管理栄養士の先生に来てもらうことになりました。

先生が相談をするスペースも、お薬のカウンターから見える位置に相談コーナーを設置して、投薬の最中、先生と目があったりアイコンタクトを取ることで、より栄養相談を受けやすくできるように配置してみました。

 

また、末期がんの患者さんのお薬をお持ちする中で、在宅訪問していた病院の医師からがん医療ネットワークナビゲーターの話を聞いて、試しに挑戦してみることにしました。

この挑戦の中で薬剤師としての目線から患者さんに寄り添う目線がさらに得られました

中島:

このがん医療ネットワークナビゲーターというのは、日本がん治療学会が認定するもので、

がん医療を受けるために必要な医療関連情報、生活支援情報に関する適切な助言、提案、支援を行うに十分な知識と組織を習得したものであるとあります。ただし、医療介入に関してはこれを禁ずるとあります。これは誰にでもなれる資格です。

例えば、化学療法をしようかどうか迷っている患者さんがいたんですけど、治療成績や副作用について今担当されている医師にはなかなか、いろいろ聞くと先生に嫌がられるんじゃないかと言って、相談をできない患者さんがいました。

相談室があるけれども、なかなか門を叩きにくいということで、うちの薬局にお話があったときに、患者さんの許可を得て地域がん診療拠点病院と連携してましたので、がん相談支援センターにつないで、そこからがん専門の認定看護師さんにつないで患者さんの不安を取り除くことができました。

 

また抗がん剤の治療の後、口内炎で副作用に悩んでいる患者さん、この患者さんを口腔外科にご紹介することがあったんですけど、これをきっかけに歯科医師会から抗がん剤性口内炎に対応できる歯科医のリストを薬剤師会へ配布することができまして、地域の全薬局に配布予定になってます。

じゃあ「がんナビ」みんなで挑戦してみよう、ということで、現在4名のスタッフが取得目指してe-ラーニング中です。

中島:

この写真はがんナビ、認知症ケア専門士、栄養士が集まって撮った写真です。この中には認知症ケア専門士も目指しているスタッフもいます。

薬局で薬を渡すのは薬剤師です。ただ、健康サポートできるのは薬剤師だけじゃありません。

薬局に来られる方は誰にでも相談できる、薬局は必ずしも解決の場ではないと思っています。解決につなぐことのできる場所、寄り添う場所、しっかりとしたスキルを持っていればどこにつなげていいのか、どう対応すればいいのか自信を持って対応できるのではと思ってます。こんな思いで薬局全員で取り組んでいます。

じゃあ相談できる場所を開いてみたいとスタッフから言われて、健康フェアを開催してみました。

栄養士さんやケアマネージャーさんによる相談、それから薬剤師によるお子さんの調剤体験血圧測定、いろんなブースを設け、大盛況でした。

こんな場所がいつもあったらいいのにな、というスタッフや患者さんからのつぶやきで、相談できる場所をつくろうということで、何となく子どもの居場所だったスペースをちょっと移動させて改装しました。

ガーベラ』始めました。ガーベラの花言葉は、希望とか律儀、親しみやすいという意味です。

中島:

このように、がん診療連携拠点病院から提供されたパンフレットや、がん、認知症、栄養に関する本を設置して、患者さんが誰にでも手をとりやすく、また無料で貸し出すことができるようにしました。それからがんサロンなどの情報も掲示してあります。

写真中央にある茶香炉なんですけど、アロマは患者さんの体調によって好き嫌いが出たり気分が悪くなったりすることがあるので、日本茶の香炉を置いてみました。このお茶の香りに引き寄せられて、小さなお部屋に入っていただける、相談される方がいればいいなと思ってます。

現状、ガーベラを中心に今まで培ったネットワークをつなげることができています。

今後はさらにこの輪を大きくして、薬局にこられる方の健康サポートしていけたらいいと思っています

中島:

このように患者さんの、双方の思い、どこに行けばいいのか分からないという患者さんの思いを薬局がハブになって、今後もさらに広げていきたいと思ってます。

こんな薬局をハブにしたネットワークができつつあるのは、みんなの協力で続けることができていることです。

お薬を取りに来られた方もそうではない方も、溢れる情報で迷っている、悩んでいる方々のお越しを薬局全員でお迎えします。ありがとうございました。

質疑応答

司会:

中島様、ありがとうございました。ここで特別審査員の先生にご意見伺いたいと思います。まずは赤羽根様、どうぞお願いします。

中外合同法律事務所弁護士・薬剤師 赤羽根 秀宜 氏

赤羽根:

赤羽根です。一番初めの発表だと緊張したかと思います、お疲れ様でした。僕も一番初めの質問で緊張してますけども、質問させていただければと思います。

まず、私が一番最初印象に残っことたあって、取りあえず何度もしつこく行くっていうのがいいなって

やっぱそういうのって認められるのかなっていうふうに思ったのと、あと非常にここがそういうふうに思ったんですけど、健康サポートできるのは薬剤師だけじゃないっていうことで、薬局という箱を使っているわけで、そこに薬剤師だけにこだわるんじゃなくて、他のスタッフもみんな患者さんと接することもできるわけですし、当然してるはずなんで、それについて薬剤師だけを使うんではなくて、その全体でサポートしていく。それが他のところにつながっていくってのは非常に素晴らしい取り組みだなというふうに思って聞かせていただきました。

質問していいですか。認知症ケア専門士っていう専門士、資格があるということなんですけど、これは取りあえず医療のことも当然知らなきゃいけないと思うんですが、例えば認知症のケアっていうことになると、医療だけではなくて、例えば財産管理の問題とか成年後見人、そういう問題もある。そういうことも学んだりするんですか。

中島:

全般に広く浅くということで、項目の中にそういった項目もあります。

ただそういった項目を認知症ケア専門士がお話しするのではなくって、そこから適切な所につなげられるようにご紹介するという立ち位置で認知症専門士という資格があると思ってます。

赤羽根:

ありがとうございます。私も弁護士なので思ってた。医療と財産管理の問題とかって、それも考えて多分、認知症の方とかケアしていかないといけないと思っていて、それは薬剤師とか薬局がやるべきことじゃなくて、ご指摘のとおりつなぐことがものすごく重要だと思うので、医療だけではない生活全体を見るってことが重要だと思います。そういうことも今後より広げていっていただけるとうれしいかなっていうふうに思います。

中島:

ありがとうございます。

赤羽根:

私からは以上です。ありがとうございました。

司会:

ありがとうございました。もうひとかた伺ってもよろしいでしょうか。鈴木様、よろしくお願いします。

患医ねっと 代表 鈴木 信行 氏

鈴木:

患医ねっとの鈴木です。お疲れ様でした。せっかくなんで私から2点質問をさせていただければと思います。

鈴木:

今回のイベントが創意工夫している薬局、取り組みを募集して、それでみんなが行きたくなる、感動した薬局をということで、今回中島様のお話しがあったと思うんですけれども、その中でさまざまな取り組みをされているその活動を、じゃあ患者や市民の方が、「行きたくなるよ」っていう具体的に気持ちにさせるのは、どういう形でアピールされてるんでしょう?

近所の方とか患者さん、市民の方には取り組みをどうアピールされてるのか教えてください。

中島:

市が主催してる認知症のサポーター講座とか、いろいろそういった会議も興味のあるスタッフや薬剤師も参加して、どこから来たんですかっていう話になったときに、薬局からですと。

あなたの所はなんで薬局が参加してるの?ってところからスタートしたりとか、さっき言った健康フェアとかで近所で子どもコーナーも、綿あめとか水風船とかのコーナーもあるので、お子さんがいらっしゃったときに、薬局なのになんかちょっと面白いことしてるよ、そんな感じが。あとはスタッフ全員の思い、それが大事かなと思ってます。

鈴木:

ありがとうございます。今のお話し聞いてても、まず自分たちが薬局から出ていくという、そういう意識があるんだなっていうところで、とても私も感銘いたしました。

その流れでもう1個質問させていただきたいと思うんですけれども、そういう中できょう聴講されてる方に薬局の経営者もそれなりにいるので、多分みんな悩んでいることと思うんですが、スタッフ全員で取り組んでいるとか、皆さんモチベーションがあるようなこと、さらりとおっしゃられたんですけども、スタッフのみなさんを外に出させたり、それこそ調剤や服薬指導、そういう患者さん以外のそういうふうなさまざまな活動にさせていく気持ちの持っていき方、スタッフが一丸となって外に出ていくんだ、そういうふうな気持ちにさせる何かコツというかやり方というのがあればせっかくなのでご紹介いただければと思います

中島:

私はお休みとかを使って、いろいろ外に学会とか勉強会とかに行ったりするのが趣味の一つなんですけど、そういったことを持って帰って、全国ではこんなことをやってたっていうのをみんなにご紹介してるんですけど、うちはこんなことに一人すごいやる気のあるスタッフがいまして、進んでいろいろ挑戦してくれてます。

そのスタッフにつられて他のスタッフも一緒に取り組んでくれる。そうすると、また全員、興味のなかった薬剤師もスタッフがいろいろやってると、これはちょっと負けられないぞという感じでついて来てくれてるのかなと思います

鈴木:

はい、ありがとうございます。そうするときょう、ここで中島さまが発表されていることも含め、みんなが競い合って、それでいい姿になっていることかなというふうに思いました。どうもありがとうございました。

(おわり)

みんなで選ぶ 薬局アワードとは? 】
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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