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金山すみれ薬局『離島・へき地へお薬と夢と希望を届けよう!~ドローン薬局プロジェクト~』発表者 梅田鉄兵さん

今回は「みんなで選ぶ 薬局アワード」に選出された6組のうち、愛知県名古屋市の金山すみれ薬局・梅田鉄兵さんのプレゼンテーションをご紹介します。

金山すみれ薬局 梅田鉄兵さんのプレゼンテーション

少し先の未来の話、ドローン薬局とは?

司会:

それでは、「離島・へき地へお薬と夢と希望を届けよう!~ドローン薬局プロジェクト~」発表者の梅田鉄兵さん、お願いいたします。

梅田:

本日は少し先の未来の話、ドローン薬局プロジェクトの説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

まず自己紹介です。株式会社ファーマスターをやっております梅田鉄兵と申します。薬局と、介護事業も行っており、昨年の1月よりドローン薬局プロジェクトというものを開始いたしました。日本のど真ん中、愛知県から、お薬と夢と希望を届けていきたいと思っております。

 

そもそも、ドローン薬局ってなあに?ということですけれども、

梅田:

  • 災害時に救援物資として薬をドローンで運ぶ
  • なかなか薬局に来られない離島、山間部などの患者さんに、薬をドローンで運ぶ

という薬局です。2020年代、あと10年後くらいまでには、政府がドローンによる配送を都市部でも本格化させるということを今進めておりますので、それを薬局のほうで活用していこうと私は考えてプロジェクトを行っております。

 

ドローン薬局のメリット、まず患者さん側のメリットをご紹介します。

梅田:

診察が終わった後、薬局で待つ必要がなくなります。そのまま自宅や会社に戻っていただいて、帰宅途中に薬が出来上がり、そしてご自宅に届くタイミングでドローンが薬を運んできてくれます。

そのため薬局で待ち時間の短縮にもなりますし、私たちが使っている今ドローンは時速80キロくらいで飛ぶことができますので、5キロ程度の距離の範囲だったら、直線距離を飛んで5分くらいで到着します。

当薬局は今年の1月にオープンしたのですが、3階建てで、なんと日本初か世界でも初かもしれないですが、屋上にドローンポートというヘリポートみたいなものをちょっと頑張って作ってみました。

ここからドローンを…まだ法律的には飛ばしてはいけないんですけれども、飛ばせる段階になったときには、ここからどんどんドローンを飛ばしていって、患者さんのもとへ薬を運んでいこうと考えております。

 

次に、薬局側のメリットです。

梅田:

薬局にお勤めの方や薬剤師の方、会場にもいらっしゃると思うんですけれども、今お薬の配達に行くときというのは、車や自転車、徒歩で患者さんのお宅まで届けるというのが主流だと思います。どうしても往復で30分や1時間かかってしまうんですよ。

でも、忙しい薬局の中で、薬剤師が現場を離れるということは非常に大変で、その時間を作るというのが非常に大変なんです。

ですがこのドローン薬局であれば、ドローンに薬を入れて、もうあとはボタン1つで患者さんのところまでドローンが薬を運んでくれます。オートパイロット(自動操縦)なので、勝手に戻ってきてくれるんですよね。

ドローン薬局ではお薬の説明について、普通の電話やLINE電話、FaceTimeのような、いわゆるテレビ電話を使って服薬指導をしていこうということなので、少ない薬剤師の体制でも、無理なく患者さんに配達できるというのが、メリットとなっております。

クリニック側のメリットとして、遠隔診療をやられてるところもあると思いますけれども、そういった方たちのケアができると思います。

 

続いて、ドローン薬局の課題ですね。

梅田:

1番目が、「目視外飛行の規制緩和」。これはドローンが飛んでいる間、パイロット(人)が見ていなくてはいけないというルールが今あります。

ただ、今年の4月にこれは改正されまして、山間部や離島、へき地では見ていなくてもいいという風に法律が変わりました。都市部ではまだダメです。

2番目、「第三者の上空でドローンを飛行してはいけません」。全然関係のない人の上をドローンが通ってはいけないというルールです。

これが非常に厳しいルールでして、ほとんど日本全国どこでも飛ばせることができなくなってるのは、このルールのためなんですよね。ここが改正されない限りは、このドローンによる荷物の配達というのは、どこでもはできなくなっております。

3番目は、薬局側の話です。今は一応、遠隔服薬指導というのが規制緩和されてはいるのですが、場所が限られております

へき地や離島など、薬局や薬剤師が少ない場所でしか、遠隔服薬指導というのは認められていませんので、一般的な場所では、なかなかこういったことができない。

梅田:

以上の3つの課題がありますが、これらが緩和されればドローン薬局というのは実現していきます。これらの規制は、今後緩和される見通しがあり、そこから新しい薬局の形が変わっていくと考えております。

昨年学会などでも発表させていただいたんですけれども、非常に多くの薬局の方の賛同を得ることができました。今後もこういったことを続けていきたいなと考えております。

ドローン配送の実証実験

梅田:

このプロジェクトは、テレビだったりとか新聞だったりいろいろなところで取り上げていただいております。

今日、このプレゼンだけではドローン薬局について分かりにくいと思いますので、ぜひテレビ放送をされた様子を少しご覧ください。

梅田:

これは愛知県の離島で去年行った実証実験の様子ですね。

梅田:

先ほど少し説明しましたように、人の上をドローンが通ってはいけないというルールがあるので、今回は離島を使って海の上を通っております。

梅田:

重さ約3キロくらいのドローンで、最高時速80キロ程度のスピードで進んでいきます。

撮影時は、まだ法律が改正されていなかったので、ドローンを船で追いかけていました。見ていなくてはいけないというルールがあり。

梅田:

今、私たちが考えているのは、(荷物を)上から落とすタイプのドローンです。この実証実験では医薬品注射液を一緒に飛ばして、割れないかどうか確認をさせていただきました。

 

ドローン薬局プロジェクトというのは、まだ実現することはできません。ただ今後10年の間に、必ず日本自体が変わっていくはずですので、その時にわれわれの薬局、そして全国に広がるいろいろな薬局の皆さんと手を組みながら、ドローンによるお薬の配達を進めていきたいなと考えております。

梅田:

ドローン薬局の実現に向けて、うちの薬局でも導入したいけど、これって難しいんじゃないかなという方もいらっしゃいます。ただ、操作はタッチパネルで薬を落としたい場所、お客様のご自宅を登録するだけで、あとはボタンを押せば勝手にそこまで行ってくれます。

でも、高いんじゃないの?ということもよく聞かれます。一応、導入は無料で考えております。処方箋1枚当たり200円くらいの配達料をもしかしたら、ドローンの配達でもらえるのではないかなと、今業界のほうで動いておりますので、それくらいで考えております。

また、法律って本当に変わるんでしょうか、というご質問も。これは僕のいつもの持論なんですけど、馬から車に変わった時代が今から百何年か前にあります。今がその時だと考えております。配送がトラックからドローン輸送が変わる時代が今だと思いますので、それに乗っかっていきたいです。

小さな会社が、日本を変えたいと思っております。どうか皆様、応援をよろしくお願いします。ありがとうございました。

(拍手)

質疑応答

司会:

ありがとうございました。それでは審査員の方からコメントを頂戴したいと思います。鈴木俊之さま、お願いいたします。

特定非営利活動法人医療福祉クラウド協会 医療情報担当理事 鈴木 俊之 氏

鈴木:

鈴木でございます。ありがとうございました。まさに度肝を抜かれたと言いますか、数年前にはちょっと考えられなかったようなことに、今取り組んでおられるなと実感しました。

この実験、知多半島ですかね?私も25年ぐらい前に知多半島でちょっと仕事しておりまして、この動画もきっかけがあって見たこともございます。やはり当時びっくりして、ちょっと見ながら聞きたいなと思ったことがあったのですが全部説明されたので、聞くことがなくなってしまったんですが(笑)。

実際にこのドローンプロジェクトで一番苦労されたことといいますか、そもそもどうしてこの発想が湧いたのかなというところを、お聞きしたいのですが。

梅田:

ありがとうございます。まず発想というか、僕と一緒に組んでやっている田村という社長がおりまして、彼がドローンの会社をやっているというのがあります。

よく飲みに行く仲間なのですが、その中でドローンの会社を始めるんだとなったときに、「じゃあ薬を運ぼうよ」という風に、正直なところ居酒屋で最初はいろいろとスタートして。そこでだんだん盛り上がっていって、詰めていったらだんだん大きくなってきたというような感じです。

もともと私は薬剤師で薬局もやっているんですけれども、これからだんだん、例えばですが『薬は全部、宅急便で送っちゃいますよ』という薬局ができたとして、すぐ飲みたい薬だとしても、宅急便では患者さんの手元に届くのは次の日になってしまいます。

ですがドローンであれば5分で届けることができるので、今日の夕方飲みたい薬をすぐにでも運べるっていうのを考えたときには、やはり宅急便ではなくてドローンではないかな、という風に思ってスタートさせております。

鈴木:

ありがとうございます。先ほど動画で、お薬が上から落ちるところを拝見したんですけども、将来的には患者さんのお宅の玄関とか、そういうとこに落ちるのでしょうか。

梅田:

ありがとうございます。基本的には、患者さんの玄関の前に落としていくような形です。ただ、ちょっと衝撃について、薬を5メートル上から落とすというのが、えーっと思われるかもしれないんですけれども。

Googleマップのようなものを見ながら、タッチパネルで「ここまで行く」と設定するのですが、到着の前に自転車が急に置かれてしまったら、ドローンはそこに着陸することができないんですね。ごみが置かれてたりとか、それこそ子どもがちょっとボールなどを投げていたりする場合があるので、基本的には5メートル上からの落下形式というのが一応安全ではあるのかなと思っています。

医療関係者にしてみれば衝撃的な、すごい映像かもしれませんけど(笑)こういう形になっています。

鈴木:

分かりました、ありがとうございます。理解できました。

もう1つ、ちょっと下世話なお話なんですが、「簡単ですよ」ということはお聞きしたんですけども、実際これを運用するとなると、薬局さんのご負担というのは結構かかるのかなと想像してしまうのですが、実際そのあたりはどういう風にお考えなんでしょう?

梅田:

今、ビジネスモデルとしてはまだまだあれですけれども、基本的に導入は無料にしていきたいなとは考えています。

ただ、うちは処方箋1枚当たり200円くらいの料金を、その処方箋料のほうからいただくのか、それとも配達料という形で患者さんのほうに負担していただくのか、その形についてはまだまだこれから検討することは必要かと思いますが。

鈴木:

じゃあ、これからのビジネスモデルということですね、分かりました。非常に先進的で斬新的な取り組みですので、ぜひ頑張ってください。ありがとうございました。

梅田:

ありがとうございました。

司会:

ありがとうございます。では続きまして、大道さまお願いいたします。

株式会社日本経営承継支援 パートナー、株式会社バシラックス 代表取締役 大道 一馬 氏

大道:

梅田先生、ありがとうございました。やはり法規制が外れた場合というところが、まず条件となっているビジネスプランかなと思うんですけれども、約5万8,000件ある全国の薬局を全てなきものにする可能性があるわけじゃないですか、ドローン薬局。

その場合、厚生労働省としてもやはり対面でという要件を外すのは、なかなか難しいんじゃないか、それが昨日グレーゾーンだった対面で説明した後、郵送するのはOKだと見解として出たと思うのですが。

処方箋を受けるところも対面ではなく、完全にオンラインでやる場合というのを厚労省が認めるのか。全国の薬剤師が職を失うかもしれないというところはたぶんあると思うんですね、規制制度化として。ここに対して、まず対面という要件についてどうお考えなのかというところを、教えていただきたいなと。

梅田:

ありがとうございます。まず薬というものは対面方式で販売しなくてはいけない、というルールがございます。そのために、遠隔服薬指導というのが今、愛知県ではちょっと取れるんですけれども。

それが、いわゆるへき地や離島でしかできないということになると、やれる薬局も薬剤師も限られるんですよね。

なので、その部分がどれだけ規制緩和されるか、今の遠隔診療のようにテレビ電話、Skype、LINE電話のようなものを使いながら服薬指導をしても良いという流れに変えていかないといけないと考えております。

その中で我々は、実現可能になってきたときにアプリを開発して、その中に保険証の情報アレルギーの情報、もしくはおくすり手帳なども全部詰め込んだ状態で、そちらを使っていただければ、患者さんの基本情報も分かります。また今までどういった薬を飲んでいたのかしっかり分かった状態で、顔色も見えて投薬することができると、私は考えております。

もう1つのご質問については、全国の薬局の方たちを敵に回すわけではなくて、もちろん私たちだけではこういったドローン薬局というのは絶対に実現できません。私どもは愛知県のほうに数店舗ある薬局でございますので、学会でも、先ほど説明させていただいたように、一緒にこのドローン薬局をやっていただける方を大大大募集しております。

北は北海道、南は沖縄まで、いろいろな方とこのドローン薬局というものを共有させていただいて、一緒にこの新しいインフラを使った薬局のあり方というのを作っていきたいなって考えております。

敵ではなく味方だという風に認識していただければ(笑)と思っておりますのでお願いします。

大道:

ありがとうございます。今の対面との質問とも関わるんですけども、ポリファーマシーへの対策として残薬確認など、対面でしかできないことってまだまだあると思うんですね。

それから、アプリを使って投薬して、そして運ぶと。運ぶというは、すごく良いと思うんですけれども、じゃあ実際、70代、80代、90代のお年寄りの患者さんがスマートフォンなどの機器を使えるのかと、まだまだたくさん問題はあると思います。

また、ドローンにエンシュアは積んで飛べるのかなど、いろいろあると思うんですけど、そういった運用する中での問題点というのは、どういうふうにお考えなのかなというのを教えていただけますか。

梅田:

ありがとうございます。まず薬を運ぶ前、基本的には患者さんと一度ご連絡を取ります。何時くらいに持ってきましょうかと。本当に5分たったら、ドローンはすぐ患者さんの家に到着してしまいますので、ぎりぎりまで電話をすることができます。

ですので、最後の最後に「この薬、この薬、この薬が出ていますけど、よろしいですか」というような、電話での薬剤師の対応ができるはずなんですね。その中で、ポリファーマシーで減薬をすることや、疑義照会につながるようなキーワードを引っ張りだすことはできるのではないかなとは思っております。

そして、アプリを高齢者の方が使えるかどうかということですね。ここについては、FAXなどの対応もあるかもしれませんが、基本的にはITを駆使した形でいきたいなと考えています。

というのは、どうしてもITのソフト、Googleマップのようなもので、住所を打ち込む形ではないため、なかなかちょっとそこまでは難しいかもしれません。なので、ご家族の方によるドローン配送というような形になるかもしれません。

それからエンシュアについて。エンシュアは医療関係者以外の方はちょっと聞き慣れない言葉かもしれませんけれども、いわゆる経腸用液というもの、栄養剤みたいなものですが非常に重たいものです。

うちが使っているドローンに関しては、一応10キロまで積むことができるのですが、ちょっとエンシュアのような重いものはリスクが高いので、僕はまだやめたほうがいいのではないかなと。

100メートル上から缶が、300ミリリットルくらいのジュースがボトボトッと落ちてきたら、たぶん一大事になりますので、僕はやりたくないなと思っておりまして、そういう重いものは車での配達にしたいと思っております。中途半端な答えですけれども。

司会:

ありがとうございました。それでは、梅田さん、ありがとうございました。皆さま、大きな拍手、お願いいたします。

(拍手)

梅田:

ありがとうございました。

司会:

私も薬剤師ですけれども、日本初、世界初のあのドローンポートを見て、ちょっとワクワクしてまいりました。動画であの海を渡っている運搬方法を初めて見て、何かちょっと感動した気分でございます。ありがとうございました。

(おわり)

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