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地域の特性を生かし、人と人をつなぐコミュニティを創る薬局 -厚川薬局

厚川薬局 厚川俊明さんのプレゼンテーション

今回は第1回「みんなで選ぶ 薬局アワード」の2次審査をとおして代表薬局に選ばれた6組のうち、埼玉県川口市の厚川薬局から厚川俊明さんのプレゼンテーションをご紹介します。

 

テーマは「地域とともに薬局づくり‐広がる輪(和)繋がるコミュニティ‐」

厚川:

川口市の東川口から来ました厚川薬局の厚川と申します。

前のヒルマ薬局の社長のお話がとても熱かったんで、ちょっと軽めになってしまいますけれども、私どもの薬局の取り組みをご紹介させていただきたいと思います。

『地域とともに薬局づくり‐広がる輪(和)繋がるコミュニティ‐』ということで、コミュニティがいろいろつながっていくというお話です。

 

まず自己紹介ですけれども、私、ある製薬メーカーのMR、それから調剤薬局も大手とかいろんな所を転々としてます。そういった仕事を経て、やっぱり魅力のある職場を創っていかないと、と考えまして超地域密着型の薬局をつくりました。

 

これが私の住んでいる60年くらい前の戸塚地区の様子。下の写真の右上に屋根がみえますよね。ここが先代の診療所だったんです。後ろに梨園があったんですね。

 

厚川:

最近のこの地区は、住宅地があって、桜並木があって… 薬局はそんな中にあります。薬局周辺は目黒川の桜に負けないくらいきれいなんですね。

そこで突然患者さんが「それじゃあ、お花見でもやろうか」ということで、第1回お花見会を開催しました。

参加者は患者さんと地域の住民の方々。豚汁も作ったりしました。患者さんが持ってきてくれた自家製の味噌で作ったんです。それに野菜とかも、全て患者さんが持ってきて。そういったものを使いました。

ほんの一例ですがこういった企画をしています。

 

さて、ちょっと軽い話から入ったんですけれども、私どもの薬局の取り組みは、こうした定期的な健康ミニイベントと地域系活動が中心になっております。

定期的な健康ミニイベントと地域活動
地域住民の主体性を生かす活動

  • 健康おはなし会(脱水症、糖尿病、介護、こころの健康等)
  • 住み慣れた地域を知る(戸塚の良いところ、川口の良いところ、武蔵野線が走った日、佐藤梨の歴史)
  • ハンドマッサージ、ヘッドマッサージ、ネイルケア
  • 子ども薬剤師体験
  • 長屋門珈琲愛好会 秋のいも煮会、春のお花見会
  • 佐藤町会活動(廃油石鹸、防災部活動、シルバーサロン、戸塚酔っ人スクール、文化祭等)
  • 綾瀬川を愛する会の活動
  • 根付教室(薬局にて展示・販売)
  • 検体測定室による地域活動 など

 

厚川:

地域住民の主体性を生かす活動…

なにぶんにも私どもの薬局、ちっちゃいですから。薬剤師2人、事務1人しかいません。あとは家族です。それでこのイベントをどうやってやっていくか、いろいろ悩みました。

そんな中で、力になってくれたのは患者さん地域住民などのキーパーソンです。

 

例えば、第1回のイベント参加者で近所の方がいるんですが、ご自宅でエステ教室のセラピストをしているんですけれど、じゃあ手伝ってあげるよということで、『ハンドマッサージ』が健康ミニイベントの定番メニューになりました。うちのイベントを必ず手伝っていただいています。アイデアも出していただいて、ハンドマッサージ、ヘッドマッサージ、ネイルケアっていう形で、いろいろつないでいってもらっています。これが一つの例ですけれども。

次に、住み慣れた地域を知る。『語ろう、自分達の土地の良いところ』では、土地の歴史、良いところ、あまり知られてなかったお話を聞き、自分たちの住んでいる所、どういう所なのかと考え直します。先ほどの梨園の話ですけれども、自分たちはここを ”終の棲家(ついのすみか)”として、「そもそも、どういった所に住んでるのかな」っていうのを知ろうっていうことで、健康おはなし会の一環として、これも患者さんにネタを考えてもらってます。

子ども薬剤師体験』っていうのもやりました。これも1回で終わらせません。2回目は、もうちょっと内容を加えてみようって、今度は『おもしろ実験』ということで化学反応を用いて色の変化を見たりしました。1回、2回って形でつないで、今度3回が、どうなるのかなって楽しみです。

いざ介護になったらどうするの』のおはなし会では、地域包括支援センターのセンター長に参加してもらいました。その出会いが、また次の患者さんのアドバイスへつながったりもしています。

 

ボランティア団体なんかもイベントを開いています。落語、サックス、オカリナ… 薬局とあんまり関係ないじゃないかって思われるかもですけど、そのなかには闘病中の患者さんもいるんです。落語のかたはそうですね。

サックスのかたは働いてるときにうつ状態になってしまい、そのとき昔からやってみたかったサックスを60歳から思い切って始めたんですね。

そういった話を聞いて参加者は元気をもらったみたいで、もう大拍手って感じでした。

 

厚川:

もう一人のキーパーソン。通称、カメ爺って呼んでます。なんでも、お孫さんがカナメ(名前)と言えなくて、カメ爺になったみたいなんですけども。

この方が、うちの薬局を「同じ町内に住む住民とすれば何としても応援したくなりました」とコメントくださっています。

”おらっちの村”じゃないけれども、カメ爺がこんな薬局ができたんなら応援しようっていうことで、じゃあ何をやろうかってなったときに、珈琲愛好会っていうのをつくるきっかけになったんです。

コーヒーって結構、アロマ効果もあったり脳循環をよくしたり、いろいろ効果があるんですけれども、65歳の退職後の引きこもりの男性を引き出そうという企画で第1回コーヒー教室が始まりました。

その後は、なんと愛好会として定期的に開催されることになりました。月1回、第1月曜の2時から行われます。参加者は毎回15人前後になり、これがもう8回ぐらい続いてます。

 

また、うちでは必ずイベントとか、こういう集まりがあったらアンケートを取るんです。で、集計して次につなげるんです。

これは参加者のアンケートの抜粋なんですけれども「今日は楽しい時間ありがとうございました」、「落ち込んでる友達にどう話していいかよく分かった」これは介護の話ですね。「自分の努力不足を反省。歌もよかった。若さをもらった」これは非常に良いコメントですね。

厚川:

薬局に来れば何がもらえるの?元気というお薬もらえるんだねっていう、そういった地域サポート薬局もあっていいんじゃないかと。そういった話でした。

 

こうしたイベントがきっかけで、次は、町会のシルバーサロンで熱中症の予防教室やってくださいって言われました。

また、うちで始めた検体測定室なんですけども、地域活動を通じていろいろ働きかけ、いろんな人の出会いで、なんと川口薬剤師会の協力で県の糖尿病対策推進事業に発展してます。

さらに今年4月から川口市のかかりつけ強化事業対策事業という川口市の健康のための予防事業につながっております。

 

これは今までの話をまとめたものなんですけれども、要は薬局を中心にこういったイベント、それから地域の自主的な活動、クラブ活動、いろんな活動を薬局というつなぎ目でつなげていくというんですね。

【より地域住民の身近に】

 

厚川:

これもそうですね。薬局、うちの地域からいろんな地域、古くからの住民、新しい住民、既にある地域活動、新しい地域活動、それをつないでって発信しようという考えです。

【新たな地域構築 ~繋ぎ目となる薬局~】

 

厚川:

これが全体の像です。

厚川:

さらにこれ発展していきます。町会の防災部に薬局プロデュースの救急セットを提供したり、いろんな活動がつながります。

今度、他の町会でも珈琲愛好会のノウハウや器具の貸出をして新たなコミュニティにつながっています。

このような地域活動をしている薬局です。

 

(拍手)

 

司会:

ご発表ありがとうございました。そうしましたら審査員のかたがたにコメント頂きたいと思います。まず初めに大道様、お願いいたします。

 

株式会社日本経営承継支援 パートナー、株式会社バシラックス 代表取締役 大道 一馬 氏

大道:

先生、発表ありがとうございました。

大道:

実は私も一番最初に薬局を建てたのは川口なんです。同じ市なんですけれども、私も地域の患者さんのために健康の教室をやってみようと思ってやってみたんですが、笛を吹けど誰も踊ってくれずという感じだったんですが。

でも今、先生の発表を見てて、やはり患者さまの主体性、これによって豚汁、サックス、コーヒー、落語、検体測定室に至るまで皆さんに協力していただいて、そのカメ爺さんの言葉じゃないですけども、応援したくなるような薬局。やはりそういったところも、心をつかんで地域に根差した薬局を確立され、愛されるような薬局をおつくりになられてるんだなと思って感銘を受けました。

ここで一つ聞いてみたいなと思うんですが、やはりミニイベントであったりとかそういったイベントを行われると、当然、いろんな地域の患者さんだったっり集まってくると思うんですが、例えばそのイベントを開いていないとき、自分の薬局が地域に根差してきたなという、何か実感をみたいなものを感じたエピソードがあれば教えていただきたいなと思うんですが。

 

厚川:

イベント以外の?

 

大道:

そうです、イベント以外の日に、例えばカメ爺が何もない日に来たとか、来てこんな話したとか、そういうふうなのやっぱあるのかなと。

 

厚川:

びっくりするんですけれども、普通、調剤薬局って処方箋がないと来ないじゃないですか。でもカメ爺は珈琲愛好会の次のネタを図書館から借りてきたよ、って持ってくるんです(笑)。この次どうなの、とかね。実は重い疾患の患者さんなんですけれども。でもそういった形で来てくれる。

あと真面目な話で言うと、別の土地で親がちょっと認知症になってるんだけれども、それを川口に引き取りたいっていう方がいたんですね。住所を変更すると介護認定でいろいろあります。そしたら包括支援センターとは、おはなし会をやって密になってるから、そこに連絡をしたんです。そうすると、やはり動いてくれて。今はそのかた住所変更がうまくできて介護認定も上手く進み、スムーズに介護が始まるという状態になっています。

イベントってのは一つのツールであって、それをやることによって患者さんや医療関係者・介護関係者と密になるので、薬局が非常に相談しやすい場所に今のところになってます。

それは私が想像してた以上の結果なんですね。認知されて、おらっちの薬局を盛り上げていこうぜ、っていう形になってるっていうのが今の状況です。

 

司会:

ありがとうございます。そうしましたら、もうひとかた。鈴木様、お願いいたします。

 

患医ねっと 代表 鈴木 信行 氏

鈴木:

発表お疲れ様でした。病気でなくてもぶらりと行きたくなる場所だなとまさに思いました。

ましてや、私もコーヒーマイスターの資格があるので、あの珈琲愛好会、具体的にどんなことやってんだろうってすごく興味津々になりました。ありがとうございます。

鈴木:

いくつか質問させていただきたいと思ってるんですけど、多分皆さんも興味を持たれてるんじゃないかなと思うんですが、まずこういうイベントの頻度とか、あと1回あたり何人ぐらい来て、何時間ぐらいやるのかとか、その辺りもう少し具体的に、このイベントの様子、概略を教えていただければと思いますが。

 

厚川:

実は、まだこの薬局って1年半なんですね。思いだけでつくったんですけどね。

私、4月5日で55歳になるんですけれど、あと10年何をやろうかな、10年そこに懸けてみようっていうことで一応始めたんですけど、1年半で一応こうゆう形をつくって、去年は6回やりました

オープニングイベントの1回ではあんまり処方箋はこなかった。何度もやっていくうちに処方箋が結構くるようになって、その他の仕事がいっぱい来るようになってしまって。

最近の珈琲愛好会では15人前後の人が集まるようになりました。時間は2時間ぐらいですかね。

イベントではコーヒーの淹れ方やコーヒー豆の挽き方を変えたり、ミルクを入れてカフェオレにしてみたり、世話人のカメ爺が毎回ネタを考えてくれるんです。この間は参加者の発表会や自己紹介になったりさまざまな内容に変化しています。

 

鈴木:

コーヒーだけでかなりありますよね。そういうふうな他のイベントも含めて、イベント全体でどれぐらいの回数?

 

厚川:

コーヒーは毎月1回なんですけども、ほとんど患者さんや地域の方々が自主的にやってるものなので、場所を貸してるだけです。だから私は最初のあいさつと終わりだけ。あとは会計から全て、そのボランティアというか。その他の健康ミニイベントは年に4回くらいかな。

 

鈴木:

では逆に言うとネタは、その患者さんだったり地域の方が、「私こんなのやりたいんだ」って言ってお持ちになる感じなんですか。それとも逆に薬局が提案をしていく感じなんでしょうか。

 

厚川:

両方ですね。でも、そんな薬局って普通ないんで、私から「薬局でそういったの今度どう?」とかいうのを提案してみたりします。本当は薬局が全面に出過ぎないのが理想だと思っています。

 

患者さんが提案してくれた例もあります。

”根付け” って分かります?昔の人が象牙を削ってアクセサリーとして使ってた、いわば江戸時代のストラップなんですけど、それを患者さんが「家で作ってても見せるところがないから、薬局で展示してくれ」と。さらに、「それも、売っちゃおうかな(笑)」とかね。

厚川:

こちらの写真の左の棚はうちのスタッフが作りましたが、右側のディスプレイは患者さんが無償でつくってくれたものなんです。100~200円で販売しています。

その患者さんも実は疾患は重いんですよね。朝、手がこわばる病気、あるじゃないですか。うちで、そのお薬をお出ししているんです。

 

鈴木:

「こんなのやりたいんだ」って患者さんが提案しやすい雰囲気にあふれた、そういう薬局なんですね。ありがとうございました。

 

厚川:

どうもありがとうございました。

(おわり)

みんなで選ぶ 薬局アワードとは? 】
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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