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保険調剤の流れ シリーズ5-1 ‐疑義照会の事例 ‐

前回の調剤シリーズ5で疑義照会の概要と意味合いについてお話しました。

薬剤師には薬剤師法第23条で疑義照会の意義が制定されていて、医師には保険医療機関及び保険医療養担当規則の第23条の2で疑義照会に応じることが決められています。

医師にも薬剤師にも疑義照会については規則が存在していますので、調剤薬局薬剤師の業務の根幹であることがお分かりいただけたと思います。

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ところで、疑義照会の内容は大きく2つに分かれいていることはご存知ですよね。1つは薬学的内容に関する照会、もう1つは記入漏れや判読不能による照会です。

薬学的内容とは、用法に関する疑い、処方意図に関する事項、投与日数や投与量に関する疑い、分量に関する疑いなどです。

今回は、実際に薬学的疑義照会をする際に役立つように、いくつかの事例をお話していきたいと思います。

薬学的疑義照会の事例

事例その1: 薬価収載1年以内の薬

処方・・・ アテディオ配合錠 1日1回 朝食後 60日分

この薬は、2014年5月23日に薬価収載となってす。

新医薬品については、薬価基準収載の翌月の初日から1年間は、原則1回14日分を限度として投与との決まりがあります。そのため、処方は原則14日分のみとなります。

また、このお薬は高血圧症の方へ処方されますが、第1選択薬として使用はしません

原則として、バルサルタン80mg及びシルニジピン10mgを併用している場合、あるいはいずれか一方を使用し血圧コントロールが不十分な場合に本剤への切り替えを検討するものです。

< 疑義照会例 >

薬剤師: 「○○さんの処方について疑義照会をさせてください。」
医師: 「はい、何でしょうか?」
薬剤師: 「アテディオ配合錠ですが、まだ発売から1年が経過していない新薬のため、原則14日分処方となります。いかがいたしましょうか?」
医師: 「あれ?まだ1年たっていなかったんだね。うっかりしていたよ。では、処方日数を14日分に変更してください。患者さんに、14日分のみだから2週間後に再受診するように伝えておいてもらえるかな?他には、何かないかな?」
薬剤師: 「○○さんは、ディオバン80mgを服用されても、なかなか血圧のコントロールが不十分だったために、今回アテディオ配合錠に切り替えたということでよろしいでしょうか?」
医師: 「その辺りのことは、しっかり患者さんに話しているよ。」
薬剤師: 「了解いたしました。では、投与日数の変更を疑義照会として記載しておきます。ありがとうございました。」

< 疑義照会記載例 >

2014年11月29日(土)12:31
△△医師に電話で投与日数に関する疑義照会を行った。
薬価収載1年未満の新薬のため、原則14日処方とお伝えした。
△△医師より投与日数の変更指示となる。
アテディオ配合錠 1日1回 朝食後 60日 → アテディオ配合錠 1日1回 朝食後 14日分に変更となる。
(薬剤師 印)

 

事例その2: 処方意図に関する疑義照会(投与期間の上限のある薬)

処方・・・ パリエット(10) 1日1回 朝食後 30日分

プロトンポンプインヒビターは、症状によって投与日数の異なるお薬です。

8週間までの治療を目処に、それ以上の投与がなされている場合は、逆流性食道炎の維持療法再発再燃を繰り返す逆流性食道炎かを疑義照会しましょう。

< 疑義照会例 >

薬剤師: 「●●さんの、処方について疑義照会をさせてください。」
医師: 「はい」
薬剤師: 「●●さん、パリエットを過去60日分服用されています。患者さんは、特に詳しい説明を受けていないとおっしゃっていますが、逆流性食道炎の維持療法ということでよろしいでしょうか?」
医師: 「●●さんはね、逆流性食道炎がよくなったかと思ったんだけど、再燃が起きてね・・・。どうも、薬をちゃんと飲んでないようなんだよ。処方された分はしっかり服用するように患者さんに伝えておいてくれるかな。」
薬剤師: 「分かりました。コンプライアンスの確認をしたほうがよいですね。ありがとうございました。」

これは、疑義照会で処方箋に記録する必要はありませんが、レセプトのコメントとして逆流性食道炎の再燃や維持療法と記載しておくといいでしょう。

そして、薬をしっかり服用するよう患者さんに指導をしましょう。お薬を服用しないと症状はよくなりませんね。

おわりに

疑義照会は、患者さんの安全性確保のために非常に大切な薬剤師の仕事です。

薬学的内容についてや処方の誤記等いろいろありますが、医師からとてもありがたがられる問い合わせです。ポイントを抑えた疑義照会を丁寧に地道に対応を継続してみてください。患者さんとだけではなくて医療機関からも信頼されるようになると思います。

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