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栄さくら薬局の取り組みとは -第6回 みんなで選ぶ薬局アワードのプレゼン紹介

今回は「第6回 みんなで選ぶ 薬局アワード」に代表薬局として登壇した、栄さくら薬局(兵庫県) 後迫麻衣さんのプレゼンテーションをご紹介します。

地域の皆様の健康をまもる『こども薬剤師』~処方監査・疑義照会・食事・運動指導~


栄さくら薬局 医療事務の後迫(うしろさこ)です。本日は、こども薬剤師体験会について発表させていただきます。

取り組みのきっかけ

「薬局って薬を集めて渡すだけでしょ?」この言葉、例えばインターネットなどで目にすることがあると思いますが、実は薬局で働き始めるまで私が思っていたことなのです。

今でも覚えているのですが、10年ほど前に風邪を引いたとき、耳鼻科さんの隣の調剤薬局に伺った際、薬剤師さんから「今日はどうされましたか?」と聞かれて不思議に思ってしまったんです。普段、医療機関に行く機会がなかった私は、薬局って薬を渡すだけなのに、何で病院と同じことを聞くのかな。また症状を説明するの面倒だな…と感じていました。

その後、薬局で働き始めて、あのとき薬剤師さんは症状に合った薬が出ているのか確認してくれていたんだ、私の健康を守ろうをしてくれていたんだと気づき、それまで調剤薬局の役割を知らなかった自分をとても恥ずかしく思いました。

でも薬局も自分たちの仕事を理解してもらう努力が足りないのではないか。命を守っている場所だって、もっともっとアピールしてもよいのではないかとも思いました。この思いが、こども薬剤師体験会を行う上で大きく影響しています。

薬局の紹介

ちなみに、栄さくら薬局とは、こんな薬局です。神戸市西区にある薬局で、周りは田んぼに囲まれた自然豊かな場所にあります。近隣に皮膚科さんや、耳鼻科さんがあることもあり、比較的お子さんが多いという特徴があります。

「こども薬剤師体験会」で、薬局の本当の役割を知ってほしい

こども薬剤師体験会といえば、例えば、ジュースを使った水薬づくり、お菓子を使った一包化体験など、お薬を作る体験がおもなイメージかと思います。でも、薬局の一番大切なお仕事はお薬を作ることではありません。子どもたちに、薬局は命を守っている場所だとわかってほしいと、今年からはお薬づくり体験に加えて、疑義照会などを加えました。

こちらが、参加してくださった子供たち全てにお渡ししているテキストの一部です。

薬局で一番大事な仕事は、その薬を飲んでも大丈夫か確認することです。一緒に飲んではいけない薬はないか?お薬に間違いはないか?など、いろいろなことを確認しています。

など、記載されています。全て私が薬局で働き始めるまで知らなかったことです。

そして、疑義照会についてもテキストに入れております。お子さんには少し難しいことかもしれませんが、覚えていただきたいと敢えて盛り込みました。

私は、お子さんが馴染みやすいように動画を作成いたしました。薬局にいらした患者さんから処方箋をお預かりし、処方内容をチェックし、疑義照会を行う再現VTRのような部分もあります。動画の中で私、薬剤師役をやってみました。

また、この動画には、グッド君とプランちゃんというこの画面の右上にいるうちのキャラクターがいろいろな説明をしてくれるのですが、その声をあてているのも私です。必死に声を変えて、少しでも子供たちに興味を持ってもらおうとできることは何でも頑張りました。

薬局管理栄養士の存在をわかってもらうためにお子さんに栄養指導を体験していただくコーナーもあり、こちらは若手管理栄養士に担当してもらいました。

学年別に難易度を変えており、例えば3,4年生であれば、はじめに三色食品群について簡単に説明をした後、ある患者さんの朝、昼、夕の食事を提示した上で、この患者さんのどの食事に何色の食べ物が足りてないですか?という問題を考えてもらうというものです。この場合は、朝の食事に緑の食べ物を足して食べてください、と栄養指導するのが正解になります。

このように、ただのお薬づくり体験会ではなく、薬局の本当の役割をわかってもらう。処方箋がなくても健康に関わることは何でも相談できる、地域の健康ステーションであるということを、未来の子供たちに理解してもらえるような体験会になるように、たくさんの試行錯誤と努力をいたしました。

コロナ禍でもできる方法を考え、無事開催!

実は、今年と去年は、出張こども薬剤師体験会という形で、上郡町(かみごおりちょう)という町で開催いたしました。こちらでは役場のご協力のもと、町全ての小学校にイベントの告知をしていただき、イベントの当日は町長と、役場の地域振興課の方々が見学に来てくださいました。イベント後、文章にてお言葉もいただきました。

感染対策への評価と、こども薬剤師体験会を住民の安全安心に繋がっていると捉えてくださっているような内容でした。ただの子どもイベントではない捉え方にとても嬉しくなりました。

実は、今回のこども薬剤師体験会、コロナが増えてきている時期で、社内でもやめたほうがいいんじゃないか、という声もありました。ただ、地域の方からコロナで子どもイベントがどんどんキャンセルになっているという嘆きも聞いて、それならコロナ禍でもできる方法を考えればいいんだ!と開催1週間前に従来のやり方から大きく変更し、スタッフが手取り足取り行う方法ではなく、保護者を巻き込んで親子で一緒に行う方法に変更することで、薬局スタッフの人数も最小限にいたしました。

予約単位ごとにテーブルに島を作り、仕切りを行い、会場を2つに分け、密にならない工夫を行い、無事に開催に至りました。

予約してくださっていた合計56名のうち、体調不良の1名を除き、全員参加してくださり、みなさん開催を心待ちにしてくださっていました。

地域の健康を守ることを目的とした自由研究の課題提案

体験したことを深め、自分たちで考え活かしてもらうために、自由研究の課題提案も行っております。例えば、薬局の本当の役割をまとめて発表する自由研究や、毎日の食事を記録してバランスよく食事が摂れているか確認する栄養士の自由研究など、自分だけでなく、必ずご家族や地域の方の栄養指導も行うように伝えています。

また、世代別に様々な運動が載ったパンフレットをお渡ししているのですが、ご高齢の方と運動して一緒に筋肉を維持していこうという自由研究も提案しています。

全て地域のみなさんの健康を守ることを目的とした自由研究です。その結果、今年は参加してくださったお子さんから、おじいちゃんおばあちゃんの食事をチェックして栄養指導する自由研究を行ってくれた子も出てきました。

地域社会の健康に貢献したいと思う人が育つことを目指す

自分が健康になるというだけでなく、人のために地域を巻き込んで健康を守るのが、こども薬剤師です。この体験会に参加してくれた子たちには、こども薬剤師修了証をお渡ししています。

この修了証をお渡ししている子たちは、地域のみなさんの健康を守ることができる存在です。こども薬剤師が、周囲に薬局が気軽に健康の相談をできることを伝えていただくことで、病気を初期の段階で病院に繋げ、みなさんの健康を守りたいとも考えています。

去年と今年どちらも参加してくださったお子さんの中で「前回参加してから、将来の夢が薬剤師になった」とのお言葉もいただきました。いつか将来、こども薬剤師の中から患者さんを多面的に支えることのできる薬剤師、管理栄養士はもちろん、これからの地域社会の健康に貢献したいと思ってもらえる人が育つことを目指しています。

全国に「こども薬剤師」を広めたい

私と上司の2人だけで始まった、こども薬剤師体験会ですが、社内でやってみたいという声が挙がり、今年は4店舗でイベントが開催されました。少しづつですが、我が社内で広がりつつあります。この発表を聞いてくださっている方の中で、もし、こども薬剤師体験会をやってみたいなという方がいらしたら是非相談に乗らせてください。全国にこども薬剤師を広げていきたいです。

初めに申し上げました通り、私はただの医療事務員ですが、薬局に勤めている全てのスタッフが地域のみなさんの健康を守ることができる存在だと信じておりますし、私はこれからも地域のためにできることを広げていきたいと思っております。私の発表は以上です。ご清聴ありがとうございました。

審査員のコメント

司会:
ありがとうございました。それでは、審査員の方からコメントを頂戴したいと思います。折口様、お願いいたします。

株式会社じほう 報道局 折口慎一郎 氏

折口:
じほう PHARMACY NEWSBREAKで記者をしています、折口と申します。とても素敵な取り組み、ご発表ありがとうございました。

2つ、質問させてください。1つは、こども薬剤師体験会における疑義照会というのは、患者役とか、ドクター役とかに分かれるような、そういうロールプレイみたいなものをイメージしたらいいのか、ということ。もう1つは、今回の薬局アワードでも予選会から薬剤師以外の方がご発表されることはあったと思うんですが、後迫さんも医療事務でありながら、なぜここまでこの取り組みに熱意を持っていらっしゃるのか、この2点をお伺いできたらなと思いました。

後迫:
はい。ありがとうございます。まず、1点目の疑義照会をどのように説明するのかという部分なんですけれども、先ほど観ていただいた動画を流しながら、もし、こういう処方があったら処方箋を2つ用意して、「どこが違いますか?」というような感じで、子どもたちに観ていただきながら、動画を流しつつ、説明をしたような形になります。

もう1点目、薬剤師ではない医療事務員の私が、なぜここまでいろんな活動しているのかという部分なんですけれども、先ほどお話の中にも入れさせていただいたのですが、自分が本当に調剤薬局のことを勘違いしておりまして。お薬をいただくだけの場所だと思っていたんですね。それなのに、働き始めて同僚の薬剤師さんたちが、すごく親身に患者さんのことを考えて投薬されていたりとか、薬のことをすごく調べておられるの見て、私も少しでも調剤薬局のために何かできればなと思って今この場におります。以上です。

折口:
わかりました。ありがとうございます。

司会:
ありがとうございます。もう一方、中平様、お願いいたします。

薬学部5年 / 医療系学生団体Links-mil 代表 中平瑛子 氏

中平:
薬学部 5年の中平と申します。素敵なご発表ありがとうございました。私が小さかった頃にこういった子ども体験会があったら是非参加したかったなという気持ちで拝聴させていただきました。

疑義照会とか、薬剤師の本質といったところを実際に子どもたちに伝えて、さらにこれから、おじいちゃんおばあちゃん、お父さんお母さんたちといったほかの世代にも、そういったところが繋がっていくのかなと感じました。

まず1点質問させてください。最初、薬局は薬を集めて渡すだけ、と感じていたところから、こども薬剤師体験会に繋がったと思うのですが、子どもたちに焦点を当てたきっかけなど、何かあればお聞かせいただけますでしょうか。

後迫:
はい。ありがとうございます。栄さくら薬局というのは、皮膚科さんとか、耳鼻科さんがあることもあって本当にお子さんがすごく多くて。時間帯によっては、保育園のようにお子さんたちの元気な声が聞こえるような薬局なので、日々働いていて、できれば子どもたちにわかってもらいたいなと強く思ったもので、こども薬剤師という形になりました。

中平:
ありがとうございます。もう1点、コロナ禍で保護者の方を巻き込んでイベントをされたということでしたが、イベントの中で保護者の方に対しては、何か伝えたりなどされたのでしょうか。

後迫:
はい。これまでは、テキストに詳しく説明を書かせていただいてお渡ししているような形です。

実は、こども薬剤師体験会が終わった後にアンケートを取らせていただいたんですけれども、保護者の方も疑義照会を知らないということがありました。今後は、保護者の方に対しても疑義照会や薬局の本当の役割などを伝える必要があるのかなと考える部分がありました。

中平:
ありがとうございます。

—–

後迫さん、ご発表ありがとうございました!

みんなで選ぶ 薬局アワードとは? 】
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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都内の調剤薬局に勤務中。

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