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2022年「第6回みんなで選ぶ薬局アワード」結果発表レポート

2022年11月13日、一般社団法人 薬局支援協会主催の「みんなで選ぶ薬局アワード」が開催されました。

2019年以降は新型コロナウイルス感染症の影響により、2年連続オンライン形式での開催でしたが、第6回目となる今年は、ついにリアル&オンラインのハイブリッド開催が実現しました。実施会場は東京大学本郷キャンパス福武ラーニングシアターです。

以下に「第6回みんなで選ぶ薬局アワード」の結果発表をまとめて紹介していきます。

2022年度の代表薬局

本年度の予選会にて、一般審査員の中から代表薬局に選ばれたのはこちらの6薬局です。

・栄さくら薬局【兵庫県神戸市】
・まいづるゆう薬局【京都府舞鶴市】
・ワカバ薬局【青森県八戸市】
・たなべ薬局久保山店【東京都八王子市】
・おがの薬局【埼玉県秩父郡】
・徳吉薬局さかえまち【鳥取県鳥取市】

薬局アワード本選の参加申し込みは約264名(イベント管理サービスpeatixより)。一般参加者が注目する中、今年も素晴らしい薬局の取り組みが発表されました。

【みんなで選ぶ 薬局アワード】とは?
「薬局ってどこも一緒じゃないの?」「信頼のおける薬局を探したい」そんな患者さんの疑問や要望に応えるべく、一般の方々に薬局の取り組みを知ってもらうイベント。薬局アワードの代表薬局は、背景・思い、患者視点、独創性、社会性、再現性、将来性という6つの評価項目に基づき、1次審査、2次審査を経て6組の薬局が代表に選ばれる。そしてイベント当日、それぞれの取り組みについて代表薬局の発表を聞いた上で、薬局アワード参加者と審査員の投票により受賞薬局を決定する。

2022年度の特別審査員は以下の6名です。

・帝京大学 薬学部 薬学教育推進センター 野呂瀬崇彦 氏
株式会社遭遇設計 代表取締役
ゲーミフィケーションカオスマップ編集委員 広瀬眞之介 氏
株式会社メデュアクト 代表取締役
東京薬科大学 薬学部 生化学教室 客員准教授 流石学 氏
薬学部5年 / 医療系学生団体Links-mil 代表 中平瑛子 氏
株式会社じほう 報道局
PHARMACY NEWSBREAK編集部 記者 折口慎一郎 氏
・(TikTokフォロワー15万人)薬剤師ヤクヤク 氏

2022年の受賞結果!

  • 最優秀賞は「徳吉薬局さかえまち」
  • 特別審査員賞は「おがの薬局」
    ※特別審査員賞:特別審査員から最も支持された薬局に与えられる賞
  • オーディエンス賞は「まいづるゆう薬局」
    ※オーディエンス賞:一般参加者から最も支持された薬局に与えられる賞

最優秀賞:徳吉薬局さかえまち

「病児保育室×薬局」モデルで地域課題を解決!

最優秀賞は、病児保育施設に関する取り組み。

病児保育施設とは、保育所等に通っている子どもが病気にかかった際に、家庭での保育が困難な保護者に代わって、保育士や看護師が保育または看護する施設のこと。この病児保育施設についてを調べるきっかけとなったのは薬局での保護者の方々との会話だったという。鳥取県の共働き率は全国5位、鳥取市内には病後児保育施設はあるものの病児保育施設は当時まだ1施設。しかも利用定員はたったの4名という状況だった。

ステークホルダーとなる子育て世代の市民・クリニック・行政にそれぞれ話を聞いたところ、病児保育施設を開所してほしいという強い要望があったため、薬局で開設することを決める。開所に向けて、最も苦労したのは看護師配置だったという。看護師が見つからずあきらめかけたが、内閣府地方分権改革・提案募集方式により、近隣の医療機関と連携することで問題をクリアできることになる。こうして、病児保育室とくよし「さかえまち」は、薬局による看護師非常駐の病児保育施設運営で全国初の事例となった。

病児保育室「さかえまち」の利用定員は18名で、保育士は8名(3:1)。薬剤師・医師との連携はもちろん、急な病児保育利用でも安心かつ利用しやすいしくみが用意されている。現在は、コロナ禍で利用者は減少したものの、徐々に回復する見込みで、それに合わせて病児保育施設がない鳥取市内の千代川西側エリアに、病児保育室とくよし「こやま」を新たにオープンする(2022年11月21日予定)。これにより、さらに多くの感染症へ対応、ヘルプによる保育士配置の効率化、連携医療機関を増やすことなどを目指していきたいとのことだ。

特別審査員賞:おがの薬局

過疎地域の孤立を防ぐサロン活動「キッチンカー出動します!」

高齢化率39.8%で過疎が進む秩父市小鹿野町。コロナ禍により地域イベントやお祭りなどの中止が続いていた。薬局や個人訪問で患者と接するなか、楽しみが少なくなったり、1日中誰とも話さなかったりすることで、精神不安が強くなり、不眠・うつ症状などの薬が増加、認知症の進行、筋力低下による転倒が増えていることに気づく。また、高齢者の情報源はテレビ中心のため、正しい情報や細かい注意が伝わりにくいことも危惧していた。

スタッフとの作戦会議で、交通の便が悪く孤立しやすい環境にある方々の孤立が助長し、元気がなくなっていることに課題があると感じたという。会議を重ね、課題改善には人と会って話すことが重要と考え、薬剤師が地域に出向いて、何か安全で楽しく活動することはできないかと、今回のキッチンカーの取り組みに行きつく。

まずは保健福祉課と連携して、社会福祉協議会主導の介護予防イベントに出店。健康講話や健康を意識したメニューをキッチンカーで提供した。現在では、週1回山間部に出動し、誰でも立ち寄れるような形を工夫しているという。利用者からの反響は「キッチンカーがくると楽しい」、「皆が集まるよいきっかけになる」、「薬局では聞きにくいことも気兼ねなく話せる」など良好。今後は傾聴ボランティアとのコラボや道の駅などでのお薬や栄養の相談会を企画して動いている。

オーディエンス賞:まいづるゆう薬局

まちへ出て、地域と人と健康を繋げる“ゆう薬局カフェ” ~社会的処方/健康サポートの実践事例としての5年間+α~

厚生労働省が掲げる「地域共生社会」とは、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を指す。この「地域共生社会」を目指すなかで、薬のように社会とのつながりを処方するのが「社会的処方」。孤立を解消する考え方として、よく紹介されている。今回の取り組みは、この「地域共生社会」「社会的処方」がポイント。

おもな取り組み内容は、薬局近隣にあるレンタルキッチン付きコミュニティカフェで月1回、薬局スタッフが勤務時間内に「ゆう薬局カフェ」を運営、そこでミニ講座も開催するというもの。カフェでは管理栄養士考案の健康に配慮したランチを提供。誰でも気軽にふらっと立ち寄れる開かれた接点を大切にしていたという。また、ミニ講座では地域の医療施設や行政の方、医師や看護師など他職種の方、一般の方など薬局外の方も講師として招くことで、地域資源が繋がり合い、相談が自然と生まれる場となっていたという。

コロナ禍に入り、飲食提供を前提とする活動はいったんストップするが、常連の方々の体力低下や精神的不安を危惧して、オンラインを活用しながら講座のみに絞り、7月から活動を再開。そこからは新型コロナウイルスやワクチン接種についての正しい情報や自治体情報を共有する場として機能するようになったという。行政担当者や高齢者の方々から、こうした薬局の活動をとても感謝され、健康サポートの一端を担えたことを実感。カフェ開始から5年間の活動を経て、薬局でのコミュニケーショもよりよいものに変化し、他職種・地域との繋がりや相互理解が深まり、結果、社会的処方に近しい機能が自然と生まれてきているとのことだ。

栄さくら薬局

地域の皆様の健康をまもる『こども薬剤師』~処方監査・疑義照会・食事・運動指導~

子ども薬剤師体験会といえば、お菓子やジュースを使って、お薬を作る体験のイメージが多い。この取り組みでは、さらに大切な薬局の役割である「地域の健康を守る場所」として、疑義照会や薬局管理栄養士の栄養指導などの体験を通じ、処方箋がなくても健康に関することをなんでも相談できる地域の健康ステーションであることを子どもたちに理解してもらうことに重点をおいている。

役場の協力を得て行った出張体験では、感染対策も評価され、コロナ禍でも安心して参加できるイベントとして地域の方からの好評を得たという。子どもたちへの自由研究の課題提案なども実施。参加者のなかには、イベントで配布した資料をもとに、高齢者と一緒に運動することで筋力維持を促すという自由研究に実際取り組んだ子どももいたという。薬剤師体験会の終了後に渡してる「こども薬剤師修了証」を持つ子どものなかから、これからの地域社会で健康に貢献したいと考える人材が輩出されることを期待する。

ワカバ薬局

地域の中で「必要な時に必要なもの」をいつでも提供できる薬局になりたい

地域住民が必要な時に必要なものを手に入れられる、開いていてよかったと思ってもらう=薬局は必要な「医療インフラ」である、という考えにもとづいた薬局の機能に関する取り組み。おもな内容は、水害や停電などの災害対策をすること、持続可能な薬局の運用のため昼夜の設備変更・必要な人員配置・セキュリティ対策をすること、薬局の経営理念を職員に共有するというもの。

災害対策の例は、ソーラーパネル設置による昼間の停電時、電気自動車から夜間・雨天の停電時の給電対応など。昼夜の設備変更の例はプライバシーに配慮した服薬指導カウンターや個室、来局者の症状によりトリアージできる隔離室、夜間休日の輪番対応時や災害時に薬剤師一人でも安心して開局できるような薬局設備の設置。そして、最も大切なのは、こうした機能をもつ薬局の運営を持続するため、スタッフと理念を共有することだと考える。医療インフラとしての薬局の設備、新規や移転など開局の際には大いに参考にしたい。

たなべ薬局久保山店

野菜から広がる地域のふれあい健康「道の駅」コロナに負けず笑顔の輪を広げたい!

八王子市は都内で唯一、道の駅があるということから、道の駅のコンセプト「地域とともに作る個性豊かなにぎわいの場」をヒントに、地域の「ふれあい道の駅」としての薬局を目指すことに。取り組みのきっかけは、薬局は調子の悪い時に行く場所、また高齢者はコロナで家にこもりがち、という現状の課題だった。そこで、新たに取り組んだのは「毎週の野菜販売」、「毎月の健康イベント」、「毎日のギャラリー」の3つ。

野菜販売については、野菜販売のベンチャー企業に協力を依頼。コロナ禍の外出のきっかけや、来局してもらうことで服薬コンプライアンスの改善につながったという。毎月の健康イベントでは、地域包括支援センターと連携して、身長・体重・血圧・握力の測定、そして野菜摂取量を調べる「ベジチェック測定」などを薬局内で実施。これにより、コロナ禍でも来局者と他職種をつなぎ、薬局が気軽に健康相談できる場となった。毎日のギャラリーでも地域包括支援センターと連携して、個人の方のギャラリー作品などを展示。病院や薬局に来るのが嫌だったという患者さんも、来局が楽しみになったという。これらの複数の取り組みにより、コロナ前よりも処方枚数が増加するという変化もあった。今後も薬局を活用した取り組みを続けていくとのこと。

おわりに

今回の薬局アワードについて、薬局支援協会によれば、過去にも薬局アワードに参加している一般参加者の方から「こんなに投票を迷う回は、はじめて」という声もあったとのことです。特別審査員からも「薬局それぞれの持ち味があり、どの薬局も素晴らしかった」とのコメントがありました。Twitterでは #薬局アワード でトレンド入りするなど、SNS上でも大いに盛り上がりました。

※上段は、左から薬局支援協会代表理事の竹中氏、特別審査員の折口氏、流石氏、中平氏、薬剤師ヤクヤク氏、広瀬氏、野呂瀬氏

今後の予定

次回は2023年11月開催予定です。
薬局アワードでは一緒に運営してくれる仲間やエントリー薬局を募集しているとのことです。興味のある方は、薬局支援協会のホームページよりお問い合わせ下さい。

ファーマシストライフ 働き方研究所では、「みんなで選ぶ薬局アワード」の公式メディアとして、2022年度も代表薬局の取り組みやインタビューなど順次紹介していきます。どうぞお楽しみに。

みんなで選ぶ 薬局アワードとは? 】
全国から、創意工夫している薬局の取り組みを募集し、独自の審査基準に基づいた厳正な審査を行い、最終的に代表薬局を選出。一般の方を対象とした「みんなで選ぶ 薬局アワード(決勝大会)」にて発表します。審査員と会場にお越しの一般の方の投票により、最優秀賞の薬局を決定するイベントです。 ※主催:一般社団法人 薬局支援協会
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