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薬剤師の給料はどのように出るのか?-意外と知らない調剤報酬-
皆さんは、調剤薬局の収支についてじっくり見たことはあるでしょうか。
管理薬剤師をしている薬剤師さんは、毎月毎月の調剤報酬の一覧をじっくり眺めることがあると思いますが、調剤薬局の売り上げ等に直接関与していない薬剤師さんにとっては未知の分野だと思います。
今回は、調剤報酬の内訳についてお話していこうと思います。
調剤報酬の内訳
まず、大きく分けて①技術料、②薬学管理料、③薬剤料とに分けられます。
1. 技術料とは
- 調剤基本料
- 調剤料
薬価改定と共に経営者が注目するのが、主に調剤基本料です。
令和2年4月1日に改定された診療報酬でも、過去の診療報酬改定時と同様に処方集中率の高い薬局に対して基本料の低い評価が示されました。
調剤基本料は1,2,3、特別調剤基本料とに分類されています。
※処方箋集中率は、薬局で受け付けた処方箋発行元(医療機関)の割合を示します。
基本料の1、2、2についてみてみると、
- 基本料1の保険薬局は42点
- 基本料2の保険薬局は26点
- 月平均4,000回超かつ集中率70%超の保険薬局
- 月平均2,500回超かつ集中率85%超の保険薬局
これに - 月平均1800回超かつ集中率95%超の保険薬局
が加えられました。
- 基本料3はグループ全体における集中率、不動産賃貸借関係ありで21点又は16点
このように設定されました。
後発医薬品調剤体制加算は、
- 75%以上で15点
- 80%で22点
- 85%で28点
後発医薬品調剤体制加算については、加算を希望する薬局が過去3ヶ月分の集計を行い必要事項を記入の上、厚生局へ提出し許可を得ます。
調剤料は、内服・外用・並びに一包化加算、無菌製剤調整加算、時間外等加算、在宅患者調剤加算などが挙げられます。
2. 薬学管理料とは
薬学管理料は薬剤服用歴管理指導料、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料に加え、かかりつけ薬剤師指導料が充実されています。
かかりつけ薬剤師の指導料加算に対しては近年各薬局で積極的な取り組みが始まっています。それもそのはず…、処方箋受付1回に対して76点が加算できるからです。
かかりつけ薬剤師を名乗るためには認定薬剤師の取得が必須ですが、取得に必要な費用を会社が負担してくれたり、指導を行う度に給料に反映するなどして従業員の士気を高める薬局も出てきました。
3.薬剤料とは
使用薬剤料は調剤料の所定単位につき計算されます。
この3つが調剤薬局の売り上げ総額です。定期的に行われる診療報酬の改定、薬価改定により、調剤薬局の売り上げが変わってきます。
売り上げの割合と計算方法
調剤薬局の売り上げは、①技術料+②薬学管理料+③薬剤料ですが、薬剤の購入を行う必要があります。
一般的には①技術料+②薬学管理料:③薬剤料=3:7が一般的なデータです。
例えば1ヶ月の総額が500万円の場合、薬剤料の7割を引いた150万円が利益となります。この利益から、固定費である人件費、法定福利費、福利厚生費を引き、諸経費に当たる地代家賃、レセコンなどのリース代を引きます。
主に扱う診療科により処方箋単価が全く異なりますが、1枚の処方箋はだいたい400点~2000点です。
例:
1日30枚平均、1枚の処方箋単価が700点の調剤薬局のケース(地代家賃20万とする)
- 薬剤師1名 給料40万
- 事務員1名 給料16万
- 月売り上げ 約500万
- 月支出 約440万
- 月収入 約60万
となります。
※これは、薬価差益分を含めた数字と考えてよいでしょう。
月の収支は、処方箋の単価、地代家賃代と人件費によってかなり変わってきます。
一般的に内科は処方箋単価が高いです。特に高いのは、薬剤の処方が豊富な循環器内科、呼吸器内科、心療内科などです。外科系の処方箋は比較的単価が安くなる傾向にあります。
おわりに
調剤薬局に転職をする際に注意する点は、その地域の地代家賃の相場、主な診療科、自分に提示される給料でおおよその売り上げを計算することができます。
また、門前クリニックとマンツーマンで調剤薬局を運営している場合、クリニックの来院数に依存する傾向が強く、黒字がでるまで一般的に3年から5年はかかるといいます。早いところでは、目標を2年に設定します。
資金的ゆとりのある組織は、黒字転換に時間をかけることができますが、このご時勢です。
2年から3年で黒字目標が妥当といえるでしょう。
これらの情報は、社内秘であることがほとんどです。転職を支援してくれるプロの紹介会社を通 して、エージェントに情報提供をお願いすることも考慮してみましょう。
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