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0402通知後どうなった?調剤薬局における薬剤師と事務の関係
現代はストレス社会と言われます。漠然とした苛立ち、モヤモヤとした想い、不透明な将来に対する不安のある社会です。そんな中、日常の大半の時間を過ごす社会との関係性は精神衛生上とても重要なファクターになります。
調剤薬局の場合、大企業でも中小企業でも、調剤の現場は2〜10名程度の単位で運営されています。これが、私たち薬剤師が毎日の大半を過ごす場所です。
今回は、調剤薬局における薬剤師と事務の関係について業務面から話をしていこうと思います。
調剤薬局における業務
調剤薬局の日々の業務には3本の柱があります。それは、『 レセコン入力 ⇒ ピッキング ⇒ 投薬 』です。その中で、今回はピッキングと投薬を分けて話をしたいと思います。
本来、調剤業務はピッキングから監査、投薬といった一連の作業のことをいいます。しかし、「調剤」という定義や概念に対して現場薬剤師から様々意見が出ていました。
“薬剤師以外のものが調剤に関わることは違法だ“と考える派と、“アメリカのようにテクニ
シャンという調剤補助を職業とする仕事を確立してもよいのではないか”と考える派が存在
していました。
そんな中2019年4月2日に厚生労働省より「調剤業務のあり方について」という文書が通
知されました。通知調剤業務の一部を一定の条件下で非薬剤師でも可能とするという文書
で、通称「0402通知」と呼ばれています。
調剤薬局のカラーについて
調剤薬局の日常業務の柱である、レセコン入力、ピッキング、投薬を誰が関わるかによって大まかに以下の4パターンの組み合わせが考えられます。それが、その調剤薬局のカラーのもとになります。
- A:薬剤師 ①レセコン入力 ②ピッキング ③投薬
- B:事務 ①レセコン入力 / 薬剤師 ②ピッキング ③投薬
- C:事務 ①レセコン入力 ②ピッキング / 薬剤師 ①レセコン入力 ②ピッキング ③投薬
- D:事務 ①レセコン入力 ②ピッキング / 薬剤師 ②ピッキング ③投薬
パターンAにあたる薬局
薬剤師しかいません。管理薬剤師と薬剤師の世界です。同じ業種の、上司・同僚・部下の縦と横の関係です。病院内の薬剤部にちかいものがあります。
パターンBにあたる薬局
業種によってくっきりと業務が分けられています。責任の所在は明確になり、調剤薬局の本来のシンプルな形です。
メリットとしては、ビジネスライクに業務を展開できることです。良くも悪くもあっさりとした緊張のある関係性で、薬剤師の指示の下で調剤薬局が運営される形です。
パターンC・Dにあたる薬局
業務に重なる部分を持たせた形態です。
0402通知前
メリットとして、
- 忙しい時に協力する事ができた
- 限られた人数で運営できるため経営的側面からも喜ばれた
デメリットとして、
- 業務内容が重なる部分がグレーゾーンとなってしまい、ミス発覚時に険悪なムードに包まれた
- お互いのテリトリーやプロ意識が原因で、薬剤師VS事務という構図に発展し衝突した
0402通知後
メリットとして、
- 薬剤師が本来期待されている服薬指導に集中出来るようになった
- チーム医療のメンバーへ情報のフィードバックを行う時間が確保できるようになった
- 外来だけでなく在宅医療へ積極的に参画できるような環境に変化してきた
デメリットとして、
- 職能発揮できないタイプの薬剤師の不要論が起きた
- 既存事務員の再教育が必要となり調剤業務以外の仕事が増えた
- 薬剤師の平均年収が低下傾向となりつつある
変化しつつある、薬剤師に求められる働き方
薬学部は6年制となり、0402通知により薬剤師に求められる働き方が変化してきました。世の中のニーズに素早く対応する薬局と対応に時間がかかる薬局とが混在しています。
しかし、転職市場には世の中の変化がいち早く反映されています。今までは薬剤師免許があれば薬局を選べる時代でしたが、これからは薬局に選ばれる時代になるでしょう。
学生時代に行う実務研修や最初の勤務先をモデルに転職活動を行うと、盲点が生まれます。自分の常識が通用しなくなる事態になる前に、自分は薬剤師としてどのような価値を提供できるのか、考えてみるのもよいかもしれません。
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