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薬剤師とフィジカルアセスメント
フィジカルアセスメントとは
フィジカルアセスメントとは、患者さんの体に直接触れて触診を行ったり、患者さんを観察したり対話をする聴診や打診を行うことで、患者さんの症状や状態を把握する医療行為です。
たとえば、転倒して来院した際、
「どこかに損傷を受けていないか?」
「骨折はしていないか?」
といったことを触診によって診断したり、転倒により胸が苦しい場合は、呼吸がゼーゼーしていないかなどを聴診したりすることで診断します。
薬剤師のフィジカルアセスメント
こうしたフィジカルアセスメントは、これまで医師や看護師の領域とされていました。しかし、最近では薬剤師も積極的に医療現場に出て情報を入手するためのフィジカルアセスメントが求められるようになってきています。
そのことで、薬の副作用を早期発見し、患者さんに安全に薬を提供できるというメリットが生まれるからです。
薬剤師のフィジカルアセスメントと医師法
ところが、薬剤師のフィジカルアセスメントについて、当初、日本病院薬剤師会(日病薬)では「薬剤師によるフィジカルアセスメントは医療行為とみなされ、医師法に抵触する可能性がある」としていました。
ここでいう医師法とは、医師法17条の「医師でなければ医業をなしてはならない」というものです。診察や注射、点滴などが医療行為であることは誰もが理解できますが、血圧測定や検温、座薬挿入や浣腸なども医療行為とされています。
ですので、介護の現場では血圧測定や検温などの行為をヘルパーさんが行うことができず、その分、家族の方の負担が大きくなるということが問題視されてきました。こうしたことを背景に、2005年3月に厚生労働省がこれらの行為の範囲見直しを発表したのです。
厚生労働省の通知による変革
薬剤師のフィジカルアセスメントについても、
厚生労働省が「薬物療法の是非を確認し、かつ副作用等の有害事象の発症をいち早く見い出し、適切な薬物治療へ導くため」に医療現場での薬剤師の積極的な活用を求める通知を出したことで、
日本病院薬剤師会も「薬剤師自らが患者のバイタルサインを確認し、さらには必要に応じてフィジカルアセスメントを行うことにより医療チームの他の医療者と協力して医療に参画していくべき」という見解をホームページ上で発表しました。
今後への期待
医療の現場も時代に応じて変わってきています。
たとえば、糖尿病を患い約数十種類の薬を服用している男性が皮膚炎で入院しているとしましょう。白衣を着た薬剤師が病室を訪れ、この男性患者に聴診器をあて薬剤師の観点から診察をすることで、副作用が出やすい胸や腹部を中心に異常がないかを診ることできます。
このように、薬剤師がフィジカルアセスメントを行うことで、慢性的な医師不足を多少なりとも補えるという点でも、今後ますますその導入が期待されています。
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