- HOME >
- 薬剤師のお仕事マニュアル >
- 漢方薬について >
- 抑肝散
抑肝散
近年、高齢化が進み認知症というものが身近な問題になってきました。
認知症に対しては今まではアリセプトが中心となって治療をしてきましたが、最近ではレミニール、イクセロンパッチ等の新薬も出てきて、今後の治療が期待されています。
そこで紹介しようと思うのが、単独でも新薬と併用しても効果が期待できる抑肝散です。
抑肝散の効果
この抑肝散は神経過敏で、興奮しやすく怒りっぽい患者に使用する漢方薬なので、認知症が原因でおこる精神症状の改善にも期待できます。
本来なら精神安定剤を使用したいのですが、筋弛緩作用等により転倒等の危険性が増すだけではなく、感情を抑えすぎてしまい人間性も失ってしまうことがあります。
しかし、この抑肝散を服薬する事でイライラ感や不安感等が和らぐ可能性があり、精神安定剤等の服薬を送らせる事が出来るかもしれません。当然、筋弛緩作用等の副作用を心配する必要もありません。
面白い症例では、認知症の犬に服薬させても効果があり、異常行動等が改善したとの報告もあります。
また、抑肝散は子供の疳の虫にも効果的で、高齢者の介護の手助けだけでなく、子育ての手助けにもなる処方です。子供の疳の虫に対しての服用法は、温湯に溶いた抑肝散を、はじめに子供が飲み、残りを母親が服薬すると良いと言われています。子供が騒いでいたら、親もイライラしてしまうので一緒に飲む方が効果的です。
現在では、漢方薬を処方する時は分包品を使用する事が多いですが、煎じ薬や生薬の末を加える事が出来るのであれば、芍薬を加え抑肝散加芍薬とすると効果が増強されます。
また、悪心、嘔吐、腹部膨満感等を訴える患者が多いため抑肝散加陳皮半夏という抑肝散に胃腸を整える陳皮と半夏を加えた処方もあります。
これからの医療は、新薬だけ、漢方薬だけという治療ではなく、新薬と漢方薬を併用するという治療が注目させつつあります。
少子高齢化が進む中、抑肝散を上手に使う事で、患者だけでなく患者の家族も手助けが出来る可能性があると思っています。
カテゴリ一覧
- 医薬品について
- 業務について
- 経営・管理について