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半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
半夏瀉心湯は下痢によく使われる代表的な漢方薬の1つです。
最近、話題になっているのが半夏瀉心湯と抗癌剤の塩酸イリノテカンの併用です。
この、塩酸イリノテカンの副作用の1つが重篤な下痢です。この下痢の原因は、グルクロン酸抱合体が胆汁を経て腸管に排出され、腸内細菌のβ-グルクロニダーゼという酵素よってグルクロン酸抱合が分解され強力な抗癌作用を持ったSN-38という物質が大腸内に作られるためと言われています。
しかし、半夏瀉心湯に含まれる黄ゴンのフラボノイド配糖体であるバイカリンという物質にはβ-グルクロニダーゼを阻害する働きがあるため、大腸内でSN-38の生成を抑え下痢の症状を改善すると働きがあると言われています。他の抗癌剤の副作用の下痢にも有効である事があり、膵臓癌にも適応があるので今後の使用が期待されているティーエスワンもその1つです。
癌と診断され、抗癌剤治療が始まり、この時点で患者は精神的にかなり辛いはずです。追い打ちをかけるように抗癌剤の副作用が発現したら・・・患者の精神的・肉体的ダメージは計り知れません。
抗癌剤治療中は体力が落ちている事が多いので、重篤な下痢が続けば命に関わる事もあります。そんな辛い副作用である下痢を、この半夏瀉心湯を併用する事で軽減するできれば助かる患者も沢山いると思います。漢方薬で癌を治療する事は、正直難しいと思いますが、抗癌剤と漢方薬を併用する事で、患者の生活の質を改善する事は出来ると思います。
他には、抗癌剤治療中は免疫力が低下している事が多いので、漢方薬の世界では気剤と言われる、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)などを一緒に併用する事で、体力・気力が回復するだけでなく、感染症予防などの目的でも効果が期待できると思います。
西洋医学と東洋医学を一緒に使う事で、患者の生活の質を保ちながら治療することが出来れば、より質の高い医療に繋がると思います。
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