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疼痛緩和について
疼痛とは、痛みをあらわす医学用語で、最初ははっきりとした鋭い痛みが生じ、徐々にじんじんとした痛みを感じるようになります。
痛みが起こるのは、物理的な刺激やセロトニン、ブラジキニンなどの疼痛物質による科学的な刺激に対し、疼痛神経がそれを感知し痛みと認識した結果です。
痛みを和らげるには、単純に鎮痛薬を処方すれば良いというものではなく、鎮痛補助薬と呼ばれる様々な薬剤を使用することが大切です。痛みには大別して2つあり、こうした痛みを和らげる治療を疼痛緩和と呼びます。
- 急性疼痛
- 急性疼痛は虫歯や虫垂炎、骨折や捻挫など短期間で発生する組織損傷に伴う痛み。
- 慢性疼痛
- 組織損傷は治癒したものの、その後にも続く痛みとされ、半年以上続く慢性的なもの。
疼痛緩和という言葉は、よくガン治療の際に使われます。ガンの場合、すべての患者さんに痛みがあるわけではないものの、悪性腫瘍になると耐え難い痛みに襲われることがしばしばあります。またその痛みから、痛みがないときでさえ「いつ痛みに襲われるか」という不安でぐっすりと眠れず、生きる希望さえ失ってしまう患者さんも少なくありません。
疼痛緩和で大切なことは、その患者さんにより異なる痛みの原因を正しく評価・診断することです。どのような痛みなのか、部位や性状、痛みの強さなどを正しく聞き取り、適切な治療法を選択することが重要になります。その上で、鎮痛剤や鎮痛補助剤を用いて痛みをコントロールしなければなりません。
疼痛緩和のために使用される鎮痛薬は、NSAIDsやオピオイドだけではありません。抗うつ剤や抗痙攣薬、血管作動性薬剤や漢方薬などの鎮痛補助薬が必要になることもあり、心因性疼痛では、しばしば抗うつ薬や抗不安薬などが用いられます。
薬剤を用いた疼痛緩和以外にも、鍼治療やマッサージ、瞑想、イメージ療法などがあります。これらの方法は「補完医療」「統合医療」とも呼ばれ、近年注目を集めている疼痛緩和療法です。
いずれにせよ、医療従事者として大切なのは、患者さんの痛みをいかにして和らげてあげることができるかということです。その中でも、薬剤師は疼痛コントロールのための患者さんへの服役指導と併せ、医療スタッフへの適切な情報提供という重要な役割があります。
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