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あなたの職場は大丈夫?薬局における個人情報取り扱いについて

職員の端末への不正アクセスにより、年金に関する個人情報約125万件が外部に流出した事件はみなさんの記憶にも新しいのではないでしょうか。

実は、薬剤師が所属する医療業界でも同様の事件は起こっているのです。

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今回は、医療業界で過去にあった個人情報に関係する事件と、調剤薬局で情報漏えいを事前に防ぐ対策をお伝えします。

医療業界で起きた個人情報漏えい事件

それでは、まず過去に医療業界で起きた情報漏えいに関する事件例を見ていきましょう。

病院で起きた事件もありますが、調剤薬局でも起こりうるものです。

事件1:患者さんの情報を同意なくホームページに掲載

2004年、病院のホームページに手術患者さんの個人情報を掲載してしまったという事件がありました。

多くの病院ではオペ件数などをホームページ上に公表しています。その病院が、どの分野・どの疾患に対するオペ実績が高いかを裏付ける資料となるからです。

しかし、このケースでは、患者さんに何のインフォームドコンセントも取らずに患者さんのイニシャル、年齢、検査値、症状などを無断で病院ホームページに公表してしまったのです。

その後、全員に謝罪し、全データを削除したようです。

イニシャルだけでは、個人情報保護の対象になりませんが、今回のように情報が多く、個人が特定できるような場合は法律による保護対象になります。

事件2:患者さんの情報流出や盗難

2010年、大手調剤薬局チェーンは、社員が会社のパソコンから個人情報を含むデータをUSBメモリーにコピーして自宅に持ち出し、その後、ウィニーソフトにより患者さんの処方せん2通と29人の保険番号と氏名を記した個人情報が流出したことを発表しました。

他にも、医師が患者氏名、ID、生年月日、入退院日、疾患名などが記入された学会発表症例のデータが入ったコンピューターが盗まれたという事件もあります。

データ流出や盗難を防ぐためにも、個人情報は社外に持ち出さないことが基本です。運が悪かったという言葉で片付ける訳にはいかないのが個人情報です!

事件3:患者さんの情報紛失や不適切な廃棄

情報の紛失や不適切な廃棄も、個人情報の漏えいに繋がります。

医師の机の脇の床に置かれていた紙カルテを、清掃職員がごみと勘違いし焼却処分してしまった事や、職員が病歴の記載されたレセプト下書きを自宅に持ち帰り、家庭ごみとともに捨ててしまった事がありました。

そして、病理用組織の標本が医療廃棄物として適正に処分されずに院外に情報流出してしまい、事件となったこともあります。

紙に記入された個人情報をごみと勘違いしたり、安易に公共のゴミ捨て場に捨てたりしてしまうのは個人情報が管理が出来ていない証拠です。

 

*参照:平成16年に医療機関で発生した 個人情報漏洩事故|船橋市立医療センター

 

これらの事件を振り返ってみると、個人情報の漏えいは、高度なITによる操作ミスでもなく、悪意のあるような意図的なものでもなく、背景にはこれらの要因があると考えられます。

  • 当事者の個人情報に対する意識が低い
  • 所属組織の個人情報の教育がすみずみまで行き届いていない

 

それでは、次に、調剤薬局ではどのように個人情報漏えい対策をすれば良いかを見ていきましょう。

調剤薬局における個人情報漏えい対策

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まず、調剤薬局にある個人情報を特定することからはじめます。

主にこれら4種が当てはまるかと思います。

  1. 新患アンケート用紙
  2. 処方箋・調剤録
  3. 薬歴・レセプト
  4. 薬剤情報提供書、薬袋、一包化など

1. 新患アンケート用紙

新患アンケートに関しては、患者さんからの氏名、年齢、連絡先、住所、既往歴、副作用歴などかなり詳細な情報が書かれています。これらは各薬局によって破棄のタイミングも保管方法もさまざまなのが現状です。厳重に管理して適切に処分をしましょう。

2. 処方箋・調剤録

処方箋や調剤録は、法律で3年間は保管義務があります。これらの保管場所も各薬局によってさまざまですが、保管場所に鍵をかけて厳重に保管し、保管期限が過ぎたものは適切な処分をしましょう。

3. 薬歴・レセプト

薬歴は紙薬歴であれ、電子薬歴であれ、重要な個人情報の1つです。

薬歴を書くのには時間がかかります。そのため、多くの薬局ではその日の薬歴書きが終わらず次の日に持ち越すこともあるかと思います。しかし、これを薬局の外に持ち出すのは禁止です!

また、電子薬歴を導入している薬局は、コンピューターのセキュリティーに気を付けなくてはいけません。不正アクセスなどで漏えいされないように細心の注意を払いましょう。

また、レスプトコンピューターの中にも膨大な個人情報が入っています。

各レセコン会社は独自のセキュリティーをコンピューター内に入れています。容易には情報が漏えいしない前提ですが、近年の漏えい事件を見るとセキュリティーの甘さも問われています。

管理薬剤師の方は特にレセコン会社にセキュリティーに関しての説明をしっかり受けておきましょう。

4. 薬剤情報提供書、薬袋、一包化など

うっかり、2度印刷してしまった薬剤情報書や薬袋はごみとして捨ててしまいがちです。

名前が入っているものは、一般ごみには捨てないように普段から気を付けましょう。捨てたいときには、マスキングをします。一般ごみと個人情報のごみ箱を分けることも必要です。

疲れている時や体調の悪い時などはうっかりミスもあります。そんな時は、現場の仲間同士でフォローし合っていきましょうね!

おわりに

調剤薬局における個人情報漏えいの対策ポイントをまとめます。

  • 個人情報は厳重に保管管理を行う
  • データで扱う場合、他からの不正アクセスがない状況下で管理する
  • 薬局の外には個人情報を持ち出さない
  • 個人情報の破棄は適切に行う
  • 一般ごみと個人情報ごみはゴミ箱を分ける

個人情報が漏えいしてしまった場合、漏えいした情報の患者さんに対して、民法上の不法行為(プライバシー権侵害)として損害賠償責任が発生します。

個人情報漏えい保険という万が一個人情報の漏えいが生じた場合に、損害賠償金や見舞品購入費用等の対応費用を負担することによって被る損害を補償する保険もありますが、それよりも難しいのが社会的な信用を取り戻す事にあります。

薬局を信用して利用する患者さんを裏切らないように、個人情報の管理には十分過ぎるほどの注意を払わなくてはいけません。

まさか!という時に備えて、日ごろから情報管理は徹底しておきましょう。
個人情報の管理は、その企業の従業員教育が行き届いているかの指標になります。

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都内の調剤薬局に勤務中。

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