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調剤薬局と薬価差益について

薬価とは、薬の公定価格のことをいいます。厚生労働省が価格を決定し、薬価基準という価格表に収載します。

この薬価は今まで2年毎に見直しされていましたが、2021年度から毎年度改定されます。新年度の4月に全面的に改定となります。調剤薬局では、この薬価基準に基づき診療報酬を計算して患者さんに、又社保・国保に請求を行います。

この形式は、医療機関である病院等も同様です。医療業界は、規制産業であり国の医療制度の上にのっとって運営されているものです。

今回は、そんな薬価差益についてと、業界への影響についてお話していきたいと思います。

薬価差益について

薬の値段には公定価格である薬価があります。平たく言うと、定価にあたります。
当然、仕入れ(購入)価格が存在します。病院や薬局は、薬の卸問屋やメーカーと直接交渉により購入価格を決定します。この交渉は、調剤薬局の経営者が主に行います。薬価改定は2021年度から2年毎から毎年度改定が行われます。

では、例を見てみましょう。

Aという商品目の薬について

  • 薬価: 31.10円/錠 (包装薬価: 3110円/100錠1箱)
  • 納入価格: 20.22円 (包装納入価: 2022円/100錠1箱)

値引率は、35% となります。これが薬価差です。

そして、Aという商品の薬を1ヶ月100箱購入するとします。
1ヶ月の支払い金額は、202,200円です。診療報酬上は、311,000円請求できますので、
1ヶ月 311,000×0.35=108,850の薬価差利益となります。

薬価差益とは、利益率を示す言葉で、薬価に購入価格との差(%)を掛けて計算するものです。

薬価差益と業界への影響

この薬価差益には歴史があります。2012年のデータによると、全国の薬価差平均値は8.5%との報告がありました。今でこそ、10%台を割っていますが、かつて1960年代は30〜40%もの薬価差がありました。50年近くの年月をかけて年々少しずつ差がなくなってきました。

以前は、薬を出せば出すほど儲かるという流れでしたが、医薬分業化され、薬価も年々引き下げられ徹底して医療費削減の対策がなされています。この大きな流れは、調剤薬局開局者に大きな影響を与えました。

1960年代、薬学部を卒業して薬局開局者となる薬剤師は全体の半数以上の62%もいました。しかし、現在は全体の10%足らずしかおらず、ほとんどが従業員として勤務しています。理由は明らかで、薬価差益がほとんどなくなり、経営という側面で薬局経営が難しくなってきたからです。

現在の8.5%という数字は、大手から小規模で経営している薬局全ての平均値です。大手は、組織的に大量購入するため数字を維持できますが、小規模での運営で薬価差を出すのは非常に厳しいものがあります。今後、ますます吸収合併が進んでいくのではないかと考えられます。

おわりに

今後、日本は少子高齢化と医療費削減のバランスを図ることが課題となるでしょう。医療の現場は忙しくなり、医療費削減の締めつけもきつくなっていくはずです。これらは、少しずつ時間をかけて現場に浸透していくでしょう。

転職を考える際には、経営者の将来に向けてのビジョンに対して共感できるかがポイントになるでしょう。直接伺えないときには紹介会社の方を通すなどして情報収集してみることも大切です。

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