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【第1回】薬剤師は、患者ファーストの究極のサービス業 !?

この時代に生き残る薬剤師と、これからの薬剤師業界の変化について、星薬科大学 薬物治療学教室の亀井淳三教授にインタビュー!今回は連載 第1回です。

まずは亀井教授が教壇に立っている星薬科大学ってどんな大学なんだろう?という話から、薬学生のうちから薬剤師という仕事について意識しておくべきことについて詳しく伺いました。

※ 亀井淳三教授のプロフィールはこちら

 

アットホームな雰囲気の中で、教授陣と学生が熱心に研究を重ねています

 

──星薬科大学(以下、星薬)は、薬学部のみの単科大学です。日本には現在、薬学部を有する大学が70以上ありますが、創立の起源が100年以上も遡れるという歴史ある大学だそうですね。

創立者の星 一(ほし・はじめ)は、明治から昭和20年代まで活躍した大実業家であり、作家の星 新一氏の父としても知られる人物です。

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星は米国留学の経験を活かして1911年に星製薬を創業しました。本学は、その社内に教育部を設置したのをルーツとし、現在に至ります。

薬剤師を育成する6年制の薬学科と、薬の研究者や開発者を育成する4年制の創薬科の2つの学科を設置しています。

 

──星薬は、他大学と比べて、どんなところが違うのでしょうか。

星薬の特徴としていつも真っ先に挙がるのは、とてもアットホームな雰囲気の中で学べることです。

教室でもクラブ活動でも、先輩、後輩の関係が手厚く、面倒見がいいですね。学生も「先輩たちがよかったから、来年は自分が後輩たちの面倒をみたい」と言います。定員が両学科を併せても一学年280名なので、卒業するころには学生同士はもちろん、教員ともほとんどが顔見知りになります。

また、卒業論文は必修です。最近、大学が国家試験のための予備校化していることが問題になっていますが、本学では、研究教育機関として学びの場を提供することを信条にしています。3年次より学生全員が必ずどこかの研究室に配属され、卒業時には、研究テーマに沿った成果を発表する卒論発表会を行っています。

薬剤師の国家試験は、基礎の基礎しか問われません。いわば、薬剤師として必要な最低限の学力を量るものです。国家試験を自分で勉強して突破できないようでは、臨床の現場では役に立たないでしょう。ですので、本学では試験対策のフォローもしますが、基本的には自主性に任せています。

むしろ、より力を入れているのは、実際に薬剤師になってからのことです。放っておいても国家試験をラクラク突破してしまうような優秀な学生ほど、多くを学びたがります。優秀な子たちは、高いレベルでの実習環境を作ってあげればどんどん伸びますよ。

本学ではいわばエリートを育てる教育をめざし、意欲の芽を育てるような、将来の目標まで見据えたカリキュラムが組まれています。新しい研究棟も、2017年に完成します。

 

──星薬は、クラブやサークル活動も盛んだと聞いています。

運動系、文化系、学術系とたくさんのクラブや同好会がありますし、所属率も非常に高いです。

学部の3年生になればどこかの研究教室に必ず所属しなくてはいけないことも含め、仲間意識や上下関係を通して少しずつ刺激を受けて、自然発生的に人との協力関係が結べる環境が整っているのも星薬の特徴でしょう。

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サークル活動だけでなく、アルバイトを奨めているのも、理系大学としてはめずらしいかもしれません。講義や実習に多くの時間がとられますので、「学業、研究優先」が大前提になりますが、私も、節度をもってやるなら、積極的に人や社会と触れ合う経験をしたほうがいいと思っています。薬局や薬剤師に関わるアルバイトにこだわらず、人と関わる仕事、細かなお金のやりとりがある仕事をしなさいと勧めていますね。

たまに学生が「バイト先で余ったケーキ、持ってきました」と差し入れてくれたり、近所の居酒屋に飲みに行くと「先生!」と声をかけてくれたりします。あと、これは私の部屋(研究室)だけの慣習かもしれませんが、お昼も教員と学生で一緒に食べることが多いです。食べに行くこともありますし、お弁当を買ってきてもらったりもあります。そういう親密さが、星薬らしさです。

ただ勉強させるだけでは、人とのつき合い方がわかりません。一方、薬剤師は、究極の客商売、患者ファーストのサービス業です。人間関係が苦手では、社会に出ても仕事になりませんよね。

 

就職率はほぼ100%!公立の病院など公務員が多いのも、本学の特徴です

 

──6年制薬学教育においては、薬学の実務実習が義務づけられるようになりました。星薬では、どのように行われていますか。

時期や期間などは大学によって多少違うのですが、本学では5年次に、病院2.5ヶ月・薬局2.5ヶ月、トータル5ヶ月の実務実習を必修としています。実習施設との提携も、非常に多くの病院に協力をいただいています。

薬局の方は、薬学教育協議会の調整機構の裁量に支配されて、大学が希望する薬局に学生を送ることができず、かなり問題があるのですが、円滑で充実した実習経験を積めるように大学としてサポート体制を取っています。

受け入れ先の病院や薬局からは毎年必ず「星薬の学生たちは優秀ですね」という声をいただきます。処方箋を見せて「どう思う?」と質問すると、星薬の子は何か答えるのだそうです。その場でわからなくても、後でちゃんと調べてくる。そこが他大学の子とは全然違うと言われる点です。

教科書を丸暗記させるのではなく、きちんと研究をやらせ、実践的な知識を積み重ねているからだと思っています。

 

──薬の現場で役に立つ知識まで身につける、優れた学びの環境あっての結果ですね。

もちろん資格の勉強は大切ですし、大変です。

だからこそ、資格取得だけを目標にして燃え尽きてしまわないよう、医療の現場で働く手応えや、薬剤師として患者さんの役に立つ楽しさを感じてもらいたいですね。

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しっかり学んできたという自信があってこそ、仕事にも自信をもって臨めると思うので、そうした教育方針に対して、教授陣が全面的に協力する体制ができています。

 

──星薬のような単科大学と、医学部を持つ総合大学、あるいは医学部を持たない総合大学と、何か違いはあるのかという点も気になりますが…

率直に言って、単科と総合という部分では、教育の質や学びの設備、あるいは就職活動の有利さなどもこれといって違いはないと言えるでしょう。

ただ、国家試験の合格率においては、本学は常にかなり上位です。

平成28年の場合、90.95%(243名中221名合格)ですから、全国平均合格率(6年制新卒)の86.24%より5%ほど上回っています。

大学によっては「100%合格」という数字のマジックを作り出したいがために大量の卒業延期者をだすという措置を取るところもあるそうなんですが、星薬では一切、そうした行為はしていません。

 

──星薬の卒業生たちの進路について、教えてください。

本学の就職率は、毎年ほぼ100%です。

病院やドラッグストア、薬局などの医療機関が約75%。

そのほかに、製薬、化学、食品、化粧品などの企業に就職したり、公務員として県立、市立の病院や、自治体の保健所、衛生関係などに行ったり、です。

どういうわけか星薬は伝統的に公務員率が高くて、卒業生全体の10~15%くらいは国家公務員や地方公務員になります。

夏休みなどを利用して、公務員受験のための特別講座なども実施しています。

 

ファーマシストライフ編集部
(取材・文/三浦天紗子、写真/土佐麻理子)

 

> 次回「薬学の知識だけでなく解読力も、薬剤師に求められる !?」へ続く

 


第1回 (2017/01/30公開)
薬剤師は、患者ファーストの究極のサービス業 !?

第2回 (2017/02/06公開)
薬学の知識だけでなく解読力も、薬剤師に求められる !?

第3回 (2017/02/13公開)
専門薬剤師認定団体の増加の不思議とインターン制の義務化を !?

第4回 (2017/02/20公開)
チーム医療に「協関力」が不可欠 !?

第5回 (2017/02/27公開)
知識・経験の豊富な薬剤師が常駐する「健康サポート薬局」の必要性 !?

亀井淳三(かめい・じゅんぞう)
1956年、香川県生まれ。'83年星薬科大学大学院博士後期課程修了。2002年より、星薬科大学教授。厚生労働省医道審議会専門委員、厚生労働省薬剤師試験委員会委員など学外委員も多く歴任。研究テーマとして、1)慢性咳嗽の発症機序および病因の解明2)糖尿病、肥満、メタボリックシンドロームに伴う中枢および末梢神経系の機能変化とその分子機構の解明 を挙げている。280報以上の原著論文を発表している他、Principle Pharmacotherapy(ネオメディカル)、『治験薬学―治験のプロセスとスタッフの役割と責任』(南江堂)など著書も多数。
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