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第4回 国際化を視野に入れたこれからの薬剤師に必要なモノ

グローバル化する社会の中で、薬学界の国際化は遅れているのが現状。「まずは海外の現状を知ること」だと語る杉林博士。今回は、国際化を視野に入れたこれからの薬剤師に必要なモノについて杉林博士にお伺いします。

――前回、まず「知る」ということが大切だというお話がありましたが、海外を知るという意味で、やはり薬剤師も留学をするべきだとお考えですか?

杉林:薬学というのは外国の薬学部に留学したり、他の大学の薬学の先生と話しをしたりするという人がほとんどいないのが現状ですね。ですので、現在日本の薬学を引っ張っている方々のほとんどが海外の薬学について知らなさすぎます。

――先生は留学経験をお持ちですよね。

杉林:僕はミシガン大学とユタ大学の薬学部に留学していますが、現在薬学部にいる先生方で海外の薬学を学んだ方は10人に1人ぐらいではないでしょうか。

――グローバル化という意味では、薬学の世界もやはりもっとアメリカナイズされるべきなのでしょうか?

杉林:日本の医学部教育は、少しずつではありますがアメリカの医学部教育に似つつあります。しかし、薬学のほうはやはり未だにそうはなっていません。日本の薬学も将来はアメリカ的になると僕は思っています。もちろん、ヨーロッパやアジアも見定めておく必要はあります。海外の薬学を見ておかないと、日本の薬学は大解体してしまう可能性があります。歴史をよく見ると分かりますが、もっと知る必要があるでしょう。その顕著な例が言語でも分かりますよね。その顕著な例が言語でも分かりますよね。

――英語ということですか?

杉林:先日、ある方とマレーシアの話をした際、「マレーシアはクイーンズイングリッシュですよね」と言ったところ、その方に「イギリスの英語はもう既にローカルな英語だ」と言われたんです。英国で生まれた言葉であるイングリッシュはもう既にローカルであり、アメリカのほうが遥かに力が強く、アメリカで話している英語がインターナショナルな英語に極めて近くなっていると言われたのです。

――では、これからの薬剤師には英語も必要だと・・・。

杉林:薬学で一番大事なのは英語力です。英語は絶対に必要ですよ。化学はもちろんですが、英語は必須だと僕は思っています。

――化学より英語ですかぁ。では、化学は2番目ということですか?

杉林:いや、英語の次に大事なのは国語ではないでしょうか。でも、みんなはそう思っていないでしょ?

――だと思います。先生は大学の薬学部長という立場でもありますが、そういうことは学生さんにもお話されているのですか?

杉林:いずれは本学の薬科学科全員が留学経験を持つというふうにしたいと考えています。外国と言っても欧米だけという意味ではなく、他国ではどういうふうにみんなが生活していて、日本はどういう立場にあるのかということを知ってもらいたいんです。20年後の薬学を引っ張っていくのは彼らの年代ですから、今の日本の薬学を見せるだけではなく、日本以外の国を見てほしいですね。

――その中にはアジアも視野に入っていますか?

杉林:もちろんです。21世紀はアジアの時代と言われています。歴史を考えるとわかりますが、世界のリーダーはヨーロッパからアメリカ、アメリカからアジアと移ってきましたよね。現在、世界の経済は中国が2番目で日本が3番目。もし日本と中国が手を組み、そこに韓国、東南アジアが入ればアメリカを抜いて世界一になるわけですから。

これからは6年制薬剤師が大量に社会に輩出されることから、薬剤師としての知識や経験だけでは仕事にさえ就けない可能性も出てくるだろう。しかし英語ができれば、一例として薬事申請のための書類作成といった仕事の幅も増える。

日本で暮らす外国人は2011年9月現在で約209万人になるが、病院でも薬局薬剤師として患者である外国人と話す機会もないわけではない。その際、英語で服薬指導ができれば、就職・転職には有利に働くであろう。杉林博士が語る英語の必要性に比べると、やや下世話な感じではあるが、すでに薬剤師として活躍している人にとっても、これから英語を身につける価値は十分にありそうだ。

[ 取材・文: 川端真弓(ライター) ]

>第5回 調剤薬局の薬剤師が頭を抱えている?!一般名処方の現状 に続く

杉林堅次(すぎばやしけんじ)
薬学博士/城西大学薬学部長/公益社団法人日本薬剤学会長。1951年滋賀県生まれ。’74年富山大学薬学部卒、’76年同大学院薬学研究科修了。 同年、城西大学薬学部助手。講師、助教授を経て’98年教授。 この間、’82,’83年ミシガン 大学、ユタ大学留学。日本香粧品学会および日本動物実験代替法学会理事、日本香粧品学会誌編集委員長。 2英文誌のeditorial board。著書「化粧品・医薬品の経皮吸収」監訳(フレグランスジャーナル社)、「化粧品科学ガイド」(フレグランスジャーナル社)、次世代経皮吸収型製剤の開発と応用(シーエムシー出版)、「生物薬剤学」(エルゼビア)他。
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