小児薬物療法認定薬剤師制度について

今回は小児薬物療法認定薬剤師という専門薬剤師認定制度を取り上げてみたいと思います。

その名のとおり、小児向けの薬物治療について専門的な知識と利用に際しての能力・適正を有した薬剤師を認定する制度です。認定後は小児科の医療チームに参画し、患者のみならず保護者等に対しても適切な服薬指導をする事ができます。

この制度は、漢方薬・生薬認定薬剤師と同じ日本薬剤師研修センター（JPEC）という財団法人が制定した認定資格です。資格を得るには、同センター及び日本小児臨床薬理学会が実施する規定の研修を修了し、修了試験に合格する必要があります。また３年以上の実務経験が求められます。まだ新しく制定されたばかりで、平成24年より開始すべく準備が進められています。

研修の内容はインターネット研修（ｅラーニング）による34回の講義と、修了試験後に実施する１回の総括講義、及び、当センターに登録された小児科病棟での１日の小児関連実務研修からなります。また、３年毎に更新を受ける必要があり、その際にもいくつかの更新要件が必要となる予定です。認定薬剤師はどれもそうですが、取得するためには大変多くの講習を受ける必要があります。

小児科の分野では、医薬品治療に関しての標準的な用法・用量及び安全性のデータの集積が非常に少ないため、適応外使用（承認された効能以外の目的で使用すること）で医薬品を子どもに投与しなければならない事が常だそうです。そうした事情を背景に、この認定薬剤師制度は生まれました。

慢性的な小児科医師の不足、認可保育園の待機児童の問題など、少子化時代の現代にあって子供の福祉・医療は決して充実しているとは言えない状況にあります。小児薬物療法認定薬剤師は、そうした現状を改善する一助となる事でしょう。

公益財団法人日本薬剤師研修センター（JPEC）
http://www.jpec.or.jp/