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自動車の営業マンから薬剤師に転身! – ららくま薬局 熊谷信さん【第1回】

今や調剤薬局の数はコンビニよりも多いと言われる時代。1990 年代からその数は右肩上がりで増加しています。

勤務薬剤師の数も年々増えてはいるものの、薬局経営者として「いつかは独立を!」と考えている人も多いはず。

そこで、今回は 2014 年に長野県諏訪市で薬局を開業した熊谷信さんに薬局薬剤師と薬局経営の「今」と「未来」というテーマでお話を伺いました。

 

熊谷さんといえば、『薬局のオモテとウラ』のブログでもお馴染みですよね。

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第1回目の今回は、熊谷さんが薬剤師になった理由、薬学部受験から学生生活について、さらに熊谷さんの薬剤師としての転職活動について伺ってみました。

 

トヨタ自動車を辞めてでも薬剤師になろうと思った

―「社会人から薬剤師になる」というのはかなり珍しいですよね。どうして薬剤師になろうと思ったのでしょうか?

熊谷:

たしかに社会人から薬剤師は珍しいパターンだとは思います。学年で4~5人はいましたが、ほとんどは高校を卒業しストレートで薬学部に、という人ばかりでしたから。

 

実は私、もともとはトヨタ自動車で車を売っていたんですよ。

仕事としては、営業職ですからお客様とのやり取りなどが多く、それ自体はとても楽しくて、仕事も充実していました。

しかし、どこか消えない違和感がありました。今にして思えば、ノルマだったり数字だったり、そういうものに嫌気がさしていたのかもしれませんね。

何か地域に貢献できる仕事をしたいと考えるようになったんです。

 

父が地元の開業医で事務の仕事をしており、家でも病院の話をすることが多っかたので、その影響もあると思います。

ただ、医学部は6年制であるなどハードルが高いと感じまして…
当時は4年制だった薬学部を受験しようと考えたんです。

 

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―当時の薬学部は4年制とはいえ、色々苦労することもあったのでは?

熊谷:

まず仕事を辞めてモチベーションが低下している状態で勉強に取り組むのには非常に困難がありましたね。

私の場合、トヨタを辞めて翌年に受験をしたのですが、会社を辞めてすぐに猛勉強を始めたわけではなく、スイッチが入るまでに3~4カ月はかかったかな。その間は本当に無気力に過ごしていました。

でもその後、経済学部時代の友人に会ったのがきっかけで勉強のスイッチが入りまして。

それまでは無気力に過ごしていて自己嫌悪に陥るような状態でしたが、その友人が非常に逞しく仕事をする姿を見て、「あぁ、これじゃあいけないな」と。

将来の自分がイメージできるようになったことが大きなモチベーションになったのでしょうね。

今にして思えば、それが一番大きなきっかけだったと思います。

1年間という受験期間は自力で勉強しました。ただ正直、頭がついていかなくて、なかなか覚えられず大変でした(笑)

 

―薬学部に入ってからの学生生活はどうでした?

熊谷:

2度目の学生生活ということで、無駄にはできないなという想いが非常に大きかったです。

以前は経済学部でしたが、授業に出ずに毎晩マージャンをやっていて、それでも何とかなってしまったところもありました(笑)

文系と理系の違いということもありますが、薬学部は勉強をしなければやっていけないという環境の違いがあります。実習もあったりとスケジュールもタイトでした。

ただ、周りの人からの助けもあり、とても楽しい学生生活でしたね。
独立、開局という明確な目的があったからこそ、薬学部の4年間もしっかり過ごせたのではないかと思っています。

2度目の学生生活では、特に人のつながりの大切さを感じることが多かったです。

そこで知り合った仲間とは、今はFacebookがあるのでそこでつながっていたり、あるいは学会で顔を合わせたりすることもあるんですよ。

所属していた研究室は3人だけの小さなところでしたし、同じ社会人入試の人もいたので、その仲間とは何かあれば今でも連絡を取り合ったりしています。

何か上手くいかないことがあったり悩みがある時に、薬学部以前の古くからの友人や前の職場の人に連絡を取ったりすることは今でもよくありますし。

何か具体的にアドバイスや解決策を提示されることはなくても、話をすることで気持ちが前向きになれますので、やはり人間関係やつながりは大切だと思いますね。

 

薬剤師としての自分のスタンダード、それは最初の職場にある

4年間の勉強を終え、2002年に国家試験に合格し、晴れて薬剤師となった熊谷さん。
初めて薬剤師として就職したのはどんな職場だったのでしょうか。

―最初の職場として上田市の薬局を選んだ理由は何ですか?

熊谷:

上田市の薬局は学校の先生からの紹介でした。

実家からは少し遠かったのですが、「自分で開局することを念頭に入れ、そのための勉強も含めて就職したい」と先生に相談したところ、その薬局ならいいだろうということで紹介してもらいました。

その薬局では調剤業務はもちろんですが、一般用医薬品の相談や販売、介護用品の販売など、調剤だけではなく非常に幅広い業務を行っていましたね。そちらには2年ほど勤めました。

 

―最初から独立しようと思って薬局に就職したということは、仕事をする上での心構えや視点なども違っていましたか?

熊谷:

それほど特別に意識していたわけではありませんが、

  • 「これは自分ならどう判断するだろう?」
  • 「薬局を開いた時にはどういう形にしたらいいのか?」
  • 「この業務は何のためにやるのか?」

といったことは常に意識していたつもりです。

 

―最初の職場選びについて、熊谷さんは何が大切だと思いますか?

熊谷:

いい意味でも悪い意味でも、最初の職場はその人の薬剤師人生に大きな影響を与えるのではないかと思います。

薬学部を出て、真っ白な状態で職場に入りますので、最初の職場がその人のスタンダードになるわけです。

その人がスタートしていく地点として、その職場の方針などがその人の薬剤師人生の基礎になるといってもいいでしょう。

 

以前、「くすりの福太郎」で薬歴を書く・書かないの問題がありましたよね。

2013年3月、内部調査で発覚した「くすりの福太郎、薬歴未記載問題」のことで、その数は17万件にものぼる。
その理由を、薬剤師の認識の甘さや能力の個人差だとし、しかも、未記載にも係わらず薬歴を記載することで得られる報酬410円を請求していたという。

※参考:「くすりの福太郎」社長、退任へ 薬局薬歴未記載問題 (朝日新聞デジタル)

 

最初の職場がそういうところであれば、風土や企業文化を当たり前のものとして受け入れ、それが自分の標準になってしまいます。

もちろんすべてに優れている企業や薬局はないと思いますが、チェーン店に入ればチェーン店のやり方、門前薬局に入れば門前のスタイルがその人のスタンダードになりますし、OTCやドラッグストアに行けばそういう方面に明るくなります。

最初の職場で何を自分のスタンダードとするか、それによりその後の薬剤師人生は大きく違うと思います。

 

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―上田市の薬局で働き、どのようなことが熊谷さんのスタンダードになりましたか?

熊谷:

これは今でも私の一番の行動や判断の指針になりますが、患者さんのほうを向いて仕事ができているかどうかを常に考えることです。

例えば、処方箋を受けたりして色々な判断をする中で、とにかく処方箋を発行している病院やドクターに気を遣ったり、ドクターのご機嫌をうかがったり…ということではなく、『患者さんのために働けることが一番大切』ということを昏々とその薬局で教えられました。

具体的なスキルというのではありませんが、こうした考え方が私のスタイルになったという意味で、とても勉強になりましたね。

 

転職活動では情報集めとイメージが大切だと思った

薬剤師専門の調査会社『ネグジット総研』のアンケートでは、1~2回の転職経験者が約半数を占めてはいるものの、3回以上の転職経験者は全体の30%にのぼることがわかっています。

熊谷さんの場合は将来の独立を目指し、何度か転職をしたそうです。そんな熊谷さんの転職活動はどんなものだったのでしょうか。

―転職の経験は何回になりますか?

熊谷:

トヨタ時代から数えますと、現在までで5回です。

  • トヨタを辞めて薬学部を卒業後、上田の薬局に就職
  • そこを辞めて独立し、失敗
  • 勤務薬剤師に戻る
  • さらに、もう1回 勤務薬剤師として転職
  • 再び自分の薬局をオープンし、現在に至る

という流れになります。他の人に比べたら、ちょっと多い方かもしれませんね。

転職すると生涯賃金が下がるなどデメリットも考えられます。ただ私の場合、独立という明確な目的があり転職をしたので、転職が一概に悪いとは思っていません。

むしろ、前向きな転職であればいいのではないかと私は思っています。

 

―転職活動はどのようにして行いましたか?

熊谷:

薬剤師会に行った際、そこで知り合った方からのご紹介などですね。

ネットでの転職サイトなども利用したことがありますよ。たしか、前に勤めていた薬局はキャリアブレインさんのご紹介だったと思いましたが、意外にいいなと思いました。

ネット経由ではありますが、実際に面接の段取りや同行をしてくれたり、相手の会社との下交渉などもしてくれたりしますので。

本格的な交渉は実際に面接などに行ってからとなりますが、転職の専門家から色々とアドバイスをもらえるのでとても助かりました。

もちろん、それがすべてではありませんが、転職活動の際に転職サイトを利用してみるのもひとつの選択肢なのだと思います。

 

―転職サイトの担当者とのやりとりで何か印象深かったことなどありますか?

熊谷:

候補となる職場を選ぶ際に、年収がいくらで、どの辺に通いたいのか、自宅の近くがいいなど希望条件を提示したところ、いくつかの求人をピックアップしてくれたのですが、どの求人がいいのか決めかねてしまったことがありました。

そのとき、担当者に「転職後にどういう生活をして、仕事とどのように関わりを持ちたいか」を聞かれましたね。

そして、私の場合は既に結婚して子どももいましたから、若い人が多く競争心に溢れてガツガツしている職場より、アットホームで残業も少ない職場のほうがいいのではないか、といったアドバイスをしてくれました。

そんな風に、会社の雰囲気と自分の価値観を合わせる作業を一緒にしてもらえたのは印象的でしたね

 

―最後に、熊谷さんは転職活動では何が大切だと思いますか?

熊谷:

情報集めイメージ(想像)だと、私は思いますね。

転職活動で、入職前にその職場や会社のことを知るのには限界がありますが、できるだけ情報は集めます。

そして、入職後に自分がどのような仕事や活動ができるのかをきちんとイメージすることが大切なのではないでしょうか。

 

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>【第2回】初めての薬局経営→失敗→再チャレンジ! に続く

熊谷信(くまがい しん)
薬剤師。1973年長野県生まれ。96年信州大学経済学部卒業、2002年東邦大学薬学部卒業。自動車ディーラーの職に就くが、「自分で薬局を開きたい」との思いから、社会人入試を経て薬剤師に。2004年、くまがい薬局を開局したが、3年4カ月で廃業し、勤務薬剤師に。2014年4月、長野県諏訪市にららくま薬局を開局。
ご本人のブログ「薬局のオモテとウラ」が連載中の他、日経DIコラム熊谷信の「薬剤師的にどうでしょう」、薬局新聞コラム「ソーシャルPメンター&ニュース」も執筆中。

[取材・文:川端真弓]

次回は、熊谷さんの薬局経営について、詳しく伺っていきます。お楽しみに!
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現役薬剤師・エリコ

都内の調剤薬局に勤務中。

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