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【ジェネリック医薬品 シリーズ1】ジェネリック医薬品とは -国の取り組み編-

ジェネリック医薬品(後発医薬品)についてシリーズで解説していきます。
今回はジェネリック医薬品の定義から、国のスタンスと対策、最新の普及率などをお伝えします。

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調剤薬局に勤務する薬剤師は、ジェネリック医薬品に関して日常業務の中でさまざまな意見を持っていることと思います。

例えば、「最近は、ジェネリック医薬品の%に関して会社からうるさく言われます。」「クリニックの医師が先発指向なのでうちはジェネリック医薬品を在庫しません」などなど‥・。

いろいろと意見はありますが、このジェネリック医薬品に関しては、薬剤師目線と日本国民の一人としての目線と、同時に2つの目を持たないといけない分野だと思います。

 

そもそもジェネリック医薬品とは?

ジェネリック医薬品(後発医薬品)について、厚生労働省はこのように定義しています。

先発医薬品(新薬)と同一の有効成分を同一量含み、同一経路から投与する製剤で、効能・効果、用法・用量が原則的に同一であり、先発医薬品と同等の臨床効果・作用が得られる医薬品をいいます。

先発医薬品は、医薬品メーカーによって独占的に製造・販売できる特許期間等があります。

しかし、その特許期間等が終わると、有効成分や製法等は国民共有の財産となり、厚生労働大臣の承認を得れば、他の医薬品メーカーでも製造・販売することができるようになります。

先発医薬品の特許等の期間満了後に販売される医薬品がジェネリック医薬品です。

研究開発に要する費用が低く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっているのが特徴です。

ジェネリック医薬品の名前の由来

ジェネリックは、英語で「一般的な」という意味を持つ単語(generic)です。
欧米では、お薬を処方する時に、ブランド名ではなく、一般名(generic name)が使われることが多く、「generics」と呼ばれています。
日本でも厚生労働省による指導により、近年では「ジェネリック医薬品」という言葉によって普及されています。

 

厚生労働省はジェネリック医薬品を推奨

国民医療費とジェネリックの関係

近年、厚生労働省の主導によりジェネリック医薬品使用の普及に力が入っています。

それもそのはず、ジェネリック医薬品が普及すると、医療技術の進歩、高齢化などにより増加している国の医療費を抑えることが出来るからです。

国民医療費は最新の統計によると、39兆2,117億円(2012年度)となっています。これは10年前と比べると3割程の増加です。

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※参照:厚生労働省|国民医療費・対国内総生産 及び対国民所得比率の年次推移

医療費は、患者が医療機関の窓口で支払う「患者負担額」の他に、国民保険組合・健康保険組合等の「保険料」と国や地方の税金である「公費」でまかなわれているので、医療費の増加は国にとって大きな負担なのです。

医療費39兆円の内、薬局調剤医療費は6兆7,105億円(17.1%)です。

もし特許が切れた新薬をすべてジェネリック医薬品に替えれば、国の医療費が年間約1.3兆円も抑えられる、といわれているので節税対策になるわけです。

※参照:厚生労働省|平成24年度 国民医療費の概況

 

ジェネリック医薬品普及に向けた国の対策

日本では1993年辺りからジェネリック医薬品の使用拡大に向けの骨組みを作り、追加変更を重ねてきました。国がジェネリック医薬品使用促進に向けてどれだけの対策を施してきたか流れを簡単に振り返ってみましょう。

 

  • 2007年
    「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」策定
  • 2008年
    処方せん様式の変更…「変更可能の場合に署名」から「変更不可の場合に署名」に変更。
    後発医薬品調剤体制加算…保険薬局のジェネリック医薬品調剤率(処方せん枚数)30%以上に加算。
  • 2010年
    後発医薬品調剤体制加算の段階的評価…処方せん枚数割合から後発医薬品の数量ベース割合に変更、段階的に点数を設定(20%以上6点、25%以上13点、30%以上 17点)
  • 2012年
    後発医薬品調剤体制加算の段階的評価の見直し(22%以上5点、30%以上15点、35%以上19点)
    一般名処方の推進
    処方せん様式の変更(薬剤ごとに変更可否を明示)
  • 2013年
    「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を策定
  • 2014年
    後発医薬品調剤体制加算の段階的評価の見直し(ロードマップで示された新指標に基づく計算方式 55%以上18点、65%以上22点)
    調剤薬局において一般名処方せんの際に後発医薬品を調剤しなかった場合は、診療報酬明細書の摘要欄にその理由を記載しなければならないことを規定

 

これが、最近までのジェネリック医薬品における調剤報酬改定の流れです。

また、医療関係者向けにハンドブック(ジェネリック医薬品への疑問に答えます)を作成したり、セミナーを開催したりしています。

2007年「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」について

2012年度までに、ジェネリック医薬品の数量シェアを30%以上にするという政府の目標達成に向け策定されました。
安定供給、品質確保、情報提供体制等の課題について、国やジェネリックメーカー等が行うべき取組みを明らかにし、目標を設定して各課題への対策を強化すること等、各種の施策によって患者さんや医療関係者が安心してジェネリック医薬品を使用できるような環境整備を図っています。

2013年「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」について

厚生労働省はジェネリック医薬品のシェアを平成30年度までに60%以上(置き換え可能な市場における割合、平成22年で約40%)にすることを目標として「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を策定しました。
このロードマップには①さらなる使用促進の必要性 ②新たな目標の設定とモニタリングの強化 ③国、企業、保険者等の具体的な取り組みおよび課題等について明記されています。

※参照:日本ジェネリック製薬協会|ジェネリック医薬品について

ジェネリック医薬品の普及率と今後の目標

ジェネリック医薬品のシェアは拡大中

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※参照:厚生労働省|ジェネリック医薬品の市場シェア

現在の日本におけジェネリック医薬品の数量シェアは46.9%(平成25年9月の薬価調査に基づく)で普及率は徐々に上がっています。

しかし、単純比較はできないものの、主要国ではジェネリック医薬品の数量シェアが60%以上となっていることを考えると、日本におけるジェネリック医薬品の普及はまだ低いと言えます。

 

目標は高く!ジェネリック医薬品シェア80%

当初、国の目標は「ジェネリック医薬品の使用促進を2012年度までに数量ベースで30%」にすることでした。

しかし、目標は14年に「17年度末までに60%」へと引き上げられました。さらに、今年5月にこの目標の達成時期を16年度末に前倒しした上で、「20年度末までに80%以上」にすると定められました。

国のジェネリック医薬品使用促進に対する強いスタンスを感じます。

 

おわりに

国は過去10年以上の月日をかけてジェネリック医薬品使用の整備と促進に力をいれてきました。

諸外国のジェネリック医薬品のシェアはあくまでモデルで、バックグラウンドとしては国内の少子高齢化と国家予算による影響が強いと考えられます。

これからの薬剤師は、患者さんのことも考え、国の財政も考え、バランスの取れた説明ができることが理想的ではないでしょうか。

 

さて、今回は主にジェネリック医薬品に対する国の取り組みをお伝えしてきましたが、次回はジェネリック医薬品と先発医薬品の違いについて掘り下げていきます。

ジェネリック医薬品を闇雲にお勧めするのが適切でないケースもあることを知っておきましょう。

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