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患者さんの命が危ない!薬剤師の身近な調剤ミス事例と防止策

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薬剤師の仕事は、患者さんの命に直結しています。調剤ミスはその命を脅かす危険もあり、あってはならないものです。しかし、調剤ミスがゼロにならないという実態があります。医療事故が繰り返される背景には、医療機関や薬局において「人は間違いを犯す」という基本的なことを忘れ、そのことを前提とした対策が取られていないことが指摘されています。

ここでは身近に起こりやすい調剤ミスの事例を見ながら、ミスを防ぐ最善の方法を考えていきましょう。

“ヒヤリ・ハット事例”からみる薬剤師の調剤ミス

みなさんは「ハインリッヒの法則」というものをご存じでしょうか。1件の「重大事故」の背後には、同種の事故原因による「軽度な事故」が29件あり、さらに事故には至らなかったものの、ヒヤリとしたり、ハッとした事例(ヒヤリ・ハット事例)が300件あるという法則です。日本医療機能評価機構では、薬局でのヒヤリ・ハット事例収集・分析した集計報告を公表しています。ウェブ上に公開しており、誰もが参照できる仕組みになっています。

「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」の第11回集計報告によると、2,413件の報告の中、一番多かったのは「数量間違い(727件)」。次いで「薬剤取違え(410件)」「規格・剤形間違い(365件)」でした。また、発生要因は「確認を怠った」が圧倒的に多く2,150件でした。

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※参照:日本医療機能評価機構 | 「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」第11回報告書

数量間違いの実例

それではここで、集計結果1位となった数量間違いの実例を紹介します。これはヒヤリ・ハットでは済まない重大事故となったケースです。

ワーファリンのケース

ワーファリン錠1.5mgの処方に対し、ワーファリン錠1mg1錠と0.5mg1錠を調剤すべきところを誤り、ワーファリン錠1mg1錠と5mg1錠を調剤し、交付しました。その後1 か月後に、患者は大量出血で死亡しました。事例では、特に安全管理の必要な薬剤(ハイリスク薬)であるワーファリン錠の規格を誤り、0.5mg錠と5mg錠を取り違え、結果的に本来の4倍量のワーファリン錠を投薬し、患者に重大な結果を招きました。

薬剤取違えの実例

次に、集計結果2位である「取り違えミス」の実例を二つ紹介します。

「アルマール」と「アマリール」のケース

実は、投薬ミスが複数発生し、薬剤師や医師からの指摘によって薬の名前を変えた薬があります。それが、一例目の「アルマール」と「アマリール」です。

「アルマール」は主に血圧を下げる薬で、「アマリール」は糖尿病治療薬です。あまりに名前が似通っているため間違えやすく、医師の処方ミスに薬剤師が気付かず、そのまま投薬してしまうミスが複数報告されました。このミスは最悪の場合、命を落とすことになります。何としても防がなくてはならないことから、2012年6月、アルマールは「アロチノロール塩酸塩」という一般名を使用することになりました。

「アモリン」と「アモバン」のケース

二例目は「アモリン」と「アモバン」です。やはり、似ていますね。「アモリン」はペニシリン系抗生物質で、「アモバン」は超短時間作用型睡眠導入剤です。ただしこれは今現在、名称変更の動きはありません。その理由は、注意をすれば防げると判断されているからです。

先にあげた「アルマール」と「アマリール」は両方とも錠剤でした。そのため余計にミスに気づきにくかったのですが、「アモリン」と「アモバン」は剤型が違います。「アモリン」がカプセルで「アモバン」は楕円形の錠剤。そのため「アルマール」と「アマリール」ほどの頻繁なミスは起こっていません。

 

このようなミスは誰にでも起こりうる事です。それでは、ミスを防ぐためにはどのようにしたら良いのでしょうか。

日本薬剤師会の示す 調剤ミスを防ぐための4つの基礎ポイント

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日本薬剤師会では調剤事故を起こさないための行動規範を提唱しています。

1.最終的なチェックは、必ず患者とともに行うこと

“人は必ず間違えることがある”という事実があります。薬剤師だけではなく、患者自身に薬物治療の内容を理解してもらい、双方の目で確認した医薬品を手渡しましょう。

2.取り間違えを防ぐポイントは誤認しやすい名称を知っておくこと

薬剤師が混同しやすい薬剤の名称や含有量を把握しておくことは、処方せんの判読ミスや薬剤の取り間違えを防ぐ重要な情報となります。薬局内の類似医薬品の名称を調査し、「類似名称有」、「他規格有」、「相互作用有」等の警告ラベルを薬品棚に掲示するなどの工夫をしましょう。

3.重大な健康被害を招く医薬品は区別すること

重大な健康被害を与える可能性のある医薬品については特に認識を強め、薬品棚に識別しやすいような色・印・線等をつけて、他の医薬品と明確に区別しておくことが大切です。

4.薬袋・薬剤情報提供用紙等についても確認を怠らないこと

薬袋・薬剤情報提供用紙等に記載された内容の確認や、薬剤の薬袋への充填業務においても、必ず再確認する作業手順を確立し、誤記入・入れ間違いを防止しましょう。

 

※参照:日本薬剤師会|「調剤過誤を防ぐための4つのポイント」

同じく日本薬剤師会は、より詳しく防止策を記したテキストを用意しています。
※参照:日本薬剤師会|「新任薬剤師のための調剤事故防止テキスト」

 

そして、これらの基礎ポイントの他にも薬剤師として留意しておきたいことがあるのでお伝えします!

他にも身につけたい 調剤ミスを防ぐための心構え

1. 患者さんを守るため、小さな疑問でも疑義照会をしよう

処方せんを見るときは、「間違った処方が書いてある」ということを前提にひとつひとつ丁寧にチェックするよう心がけましょう。

処方せんはほとんど印字ですが、中には手書きのものも混ざっています。読みにくいとき、「何とかして読み取ろう」と懸命になる人が多くいますが、これはミスの元です。少しでも疑問を感じたときは、必ず疑義照会をするのが鉄則です。

中には「医師は忙しいし、これぐらいのことをわざわざ聞くとめんどうがられるのではないか」と考える人がいます。しかし、少しでも疑問を感じたら疑義照会をしましょう。何よりも優先するべきなのは「患者さんを守る」という意識です。「これぐらいのことで…」という感覚は捨てるようにしましょう。

2. 複数の医療機関からの処方せんには細心の注意を払う

患者さんの中には、複数の医療機関の処方せんをもってくる方がいます。
こんなときこそ薬剤師の職能を発揮すべきときです。細心の注意を払いましょう。

まず通常通り、各処方せん内の薬剤間の薬の飲み合わせ(相互作用)や同じ成分の薬が重複していないかなどを確認します。同じく、複数枚の処方せんに処方されているすべての薬についても確認します。

今は多くの患者さんが“お薬手帳”を持参するようになりました。
お薬手帳が普及する前は、患者さんからのヒアリングでは不十分な情報しか得られず薬剤師は併用薬剤の情報収集だけでも時間がかかっていました。お薬手帳が普及したことで医師も薬剤師も投薬の内容を手帳により確認できることが以前にくらべて容易になりました。

しかし、「お薬手帳があるから安心」と安易にお薬手帳にだけ頼るのもいけませんね。

3. いつも通りの処方という思い込みは禁物

もうひとつ、調剤ミスが起きやすいケースがあります。それが何度も顔を合わせる患者さんへの処方です。

はじめての患者さんの処方せんを見るときは自然と気も引き締まり、緊張感をもって調剤します。ところが患者さんが常連となり、処方せん内容が長く変わらないときは危険です。処方せんの絵や写真、または薬剤の冒頭部分を見ただけで「いつもの通りだ」と思い込むようになり、印字への注意が欠落してしまいます。

例えばこれまでは「アマリール(1)」だったのが、「アマリール(3)」に変更になっていることがあります。慣れてしまうと、この変更に気づかず見落としてしまうのです。

4. コミュニケーションの大切さを考える

ミスの発見には、患者さんとのコミュニケーションが役立つことがあります。お薬を渡した段階で患者さんが「なかなか血糖値が下がらないから、先生がもう少し強い薬にしましょうねって言われたのですよ」といった会話があれば、再度処方せんを確認するきっかけとなり、調剤ミス、更には処方ミスに気付けるのです。

調剤ミスを防ぐための施策まとめ

  • ヒヤリ・ハット事例からよくある調剤ミスを知っておく
  • 最終的なチェックは、必ず患者とともに行う
  • 取り間違えを防ぐために、あらかじめ誤認しやすい名称を知っておく
  • 重大な健康被害を招く医薬品は区別する
  • 薬袋・薬剤情報提供用紙等についても確認を怠らない
  • 患者さんを守るため、小さな疑問でも疑義照会をする
  • 複数の病院の処方箋を持ってきたときは、相互チェックを念入りにする
  • 常連の患者さんに対して、いつも通りの処方と思い込まない
  • 患者さんとのコミュニケーションを密にし、ミスを防ぐ

薬剤師は「医療人」です。自覚をもった行動が患者さんの命を守ります。調剤ミスまた処方ミスを防ぐために薬剤師間の連帯はもちろん、医師や看護師との連携をさらに強化し、医療人全体で患者さんを守りましょう!

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