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薬局で働く薬剤師のための患者支援の基本的なスキル

調剤薬局で、毎日多くの患者さんへの対応をする薬剤師の中には、患者さんとのコミュニケーションや対応が苦手な人もいるようです。

様々なタイプの患者さんに合わせて、臨機応変に対応をしなければならないので経験をつんで慣れることも必要ですが、うまく患者対応ができている薬剤師は、どんなことに気をつけているのでしょうか?

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今回は薬局で働く薬剤師の患者支援の基本的なスキルについて考えてみましょう。

1.患者さんの反応をみる

患者さんが薬局に入ってきて、処方せんを提出する際の、表情や顔色、声かけの反応をまずチェックしましょう。

例えば、常連さんで、話をするのが好きな患者さんだったら、「こんにちは!」という声かけににこやかに返答し、自分から検査値や処方せんの内容、薬が増えた減ったなどいろいろと話してくれるでしょう。

しかし、全員がそうとは限りません。表情が固かったり、声かけに反応が薄い人もいます。

そのような場合、元々、無口な性格のひとかもしれませんし、嫌なことがあったり、病院の待ち時間が長くて疲れてイライラしているのかもしれないし、体調が悪くてしんどいのを我慢しているのかもしれません。風邪薬が処方されていたら、熱でフラフラで辛い可能性もあります。

そのような場合に、通り一遍の説明をしていては、「わかっているからもういい」だとか、「はやく会計して」だとか、全く聞く耳を持ってもらえなかったり、、、という場合もあります。

患者の反応をよく観察することで、話をしたいのか、話ができる状態なのか?急いでいる様子があるのかなど確認することが大切です。

対応例

  • 薬剤師 : 「こんにちは!○○さん」
  • 患者A : 「こんにちは(疲れた様子)」
  • 薬剤師 : 「いつもより元気がない気がするんですが、どうされました?」
  • 患者A : 「検査値が悪くて、血糖値が高かったの。。。今回は様子を見るけど、次の結果次第では、薬を増やすって先生に言われちゃったのよ」
  • 薬剤師 : 「なるほど、検査値が悪かったんですね?(処方せん、薬歴、お薬手帳などを確認し)
    たしかに、今回は内容は前と同じですね。ご用意しますのでお待ちください」
  • 患者A : 「お願いします…」

ここでのポイント

常連さんなら、できるだけ名前をつけて声かけをしましょう。
また、「どうされましたか?」というような、オープンな質問を投げかけることで、患者さんが一番気になっていることを答えやすいようにすると良いでしょう。

2.患者の現状をきく

声かけをして患者さんの反応をみて、話が続けられるなら、患者さんの現状をききましょう。
患者さんの生活習慣や環境、価値観を知ることで、より良い患者支援ができます。

話をじっくり聞いていくと、「食事が1日2回しかしないため、1日3回の薬がしっかり飲めていなくて大量に余っている」だとか、「先生には悪いから話せていない」など、実は・・・と話し出す患者さんもいます。

対応例

  • 薬剤師 : 「○○さん、お待たせいたしました。先程、血糖値が高くなってしまったとおっしゃっていましたが、思い当たることや、何かありましたか?」
  • 患者A : 「実はクリスマスや正月で、娘や孫が集まる機会が多くて、つい食べ過ぎてしまったの・・・」
  • 薬剤師 : 「クリスマスや正月で食べすぎてしまったんですね。家族が集まる機会はなかなか無いですもんね。イベントがあると、食べ過ぎてしまうことは多いですよね。」
  • 患者A : 「そうなの。良くないのはわかっているんだけど、みんなが楽しんでいるところで一人だけ食べないのも悪いし、ごちそうが並んでいると、つい・・・。このまま検査値が下がらなかったら、インスリンも考えないとダメだって先生に言われて・・・。注射を毎日自分でしなきゃいけないのは怖いから嫌なのよ・・・」

ポイント

患者さんの話を聞くときは、アイコンタクト、頷きやオウム返し、共感を表しながら、話を聞くと良いでしょう。

3.前向きな声かけをする

慢性疾患で薬を飲んでいる患者さんには、「薬を飲んでいるのに治らない」と、体調や疾患が全て薬でコントロールできると思っている人も多く、自分のライフスタイルを見直すことが抜けています。

患者さんができていることや取り組んでいることに対して、「がんばっていますね」「いいことですね」と褒めることで、患者さんのやる気を引き出すことも大切です。

〈対応例〉

  • 薬剤師 : 「○○さんは、インスリンの注射をうつのは避けたいと思ってらっしゃるんですね」
  • 患者A : 「そうなの。飲み薬だけでも忘れないようにしなきゃとがんばってのむので精一杯なのに、その上注射も毎日なんて、怖いし続けられる自信がないの・・・。お正月は食べ過ぎたから、その後は反省して食事を減らしていたのに・・・」
  • 薬剤師 : 「食事を減らしてがんばってらっしゃるんですね!」
  • 患者A : 「そうなの。低GI?とか聞いて、白米に玄米を混ぜて食べ始めたりしてるんだけど」
  • 薬剤師 : 「玄米を食べ始めてるんですね!おっしゃる通り、低GI値と言って、白米より玄米の方が血糖値が上がりづらいと言われているのでいいことですね!しっかり噛んで、ゆっくり時間をかけて食べることで、血糖値の上昇を緩やかにすることもできますよ」
  • 患者A : 「あら、ほんと?早食いだって家族に言われちゃうから気をつけるわ。これ以上、薬が増えないようにがんばらなくちゃ!」

ポイント

患者さんが、自分の病気と向き合い、自主的に行動できるように導くのも患者支援に必要なことです。アドバイスや説明の際は、患者さんの理解力に合わせて、専門用語は避け、わかりやすい言葉で表現できると良いでしょう。

まとめ

患者さんが求めているのは、押しつけの一方的な説明ではありません。患者さんのニーズに合わせて支援するのも薬剤師の大切な仕事ですよ。

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現役薬剤師・エリコ

都内の調剤薬局に勤務中。

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